フィンランド映画「TOVE/トーべ」をみて
とても楽しみにしていた『TOVE/トーベ』が10月1日からロードショーされたので早速観てきました。
この映画はムーミンの生みの親、トーベヤンソンが激動の第二次世界大戦から解き放たれ自由になったヘルシンキの様子から始まる。トーベの30代から40代の頃のお話です。
おせっかいかも知れないが、この映画を「ムーミンの作家」という知識だけで観てしまうと「え、ええーーー」と度肝を抜かれるかも知れないw
ある程度の予備知識を入れて行った方が良いか、はたまた真っさらな状態で、第二次世界大戦後のアーティストの人生と捉えて観た方が良いのか別れるところである。
オフィシャルサイトにはイントロダクションが書かれているので読んでから観た方が深みがでて面白いかも知れません。
さて私の感想はというと・・・
世界大戦後のフィンランド、想像もつかないような制約がたくさんあったのだろうなあと。今や男女平等、ジェンダーギャップが少ないことでも有名なフィンランドでも「女」が生きにく「表現者」にも厳しく、同性愛なんて精神疾患認定だけでなく犯罪だなんて。
アーティスト「トーベ・ヤンソン」はそんな苦しい時代の中、自分に正直に行動し、自分の意思を貫くなんたる強さがあった人だなあと。そして何よりそこには常に「愛」があったこと。すごいエネルギッシュなんですよ!
かっこいいなあ。
その頃のフィンランドより令和を生きる私はずっと制限がないのに、自分に正直に貫いているだろうか。ちゃんと行動できているだろうか。考えちゃいました(発奮してもっと自分らしく頑張りたいよー)
またトーベヤンソンはムーミンの世界観そのものなんですよね。だからムーミンが単なるアニメに留まらず哲学的なバイブルになっているのだと改めて感じる映画でした。
ネタバレになるのであまり書きませんが予習をしてみるとめっちゃ面白いかもということで、登場人物とムーミンのつながりを書いてみます。
■ヴィヴィカ・バンドラー Vivica Bandler
トーベの人生のキーパーソン。舞台演出家。既婚者だったがトーベと恋に落ちる。終わった恋を封印してしまうのではなく作品に反映していくところが強いアーティスト魂を感じる。ムーミンではビフスランのモデル。ちなみにトフスランはトーベヤンソン自身。
■アトス・ヴィルタネン Atos Wirtarnen
トーベの良き理解者。雑誌編集長、のちに政治家。アトスとはパーティで出会い直ちに恋に落ちる。結婚まで考えたが生涯にわたり良き理解者。ムーミンの親友スナフキンのモデル。
■ヴィクトル・ヤンソン Viktor Jannson
トーベの父。著名な彫刻家。トーベとは価値観や考え方に違いがあり衝突する場面も。また才能は認められながらもアーティストの収入は不安定。そこを妻が支える。
■シグネ・ハンマルステン=ヤンソンSigne Hammarsten Jannson
トーベの母。挿絵画家として家計を支える。彼女も元はアーティスト。留学時代のパリにてヴィクトルと出会う。ムーミンママのモデル。
■トゥーリッキ・ピエティラTuuliki PetIlä
フィンランドを代表するグラフィックアーティスト。トーベとはパートナーとなり生涯を過ごす。映画の中では少ししか出てきませんが、トーベの人生において彼女の存在がどれだけ大事だったことか。トゥーティッキは彼女がモデル。
登場人物とムーミンの世界を照らし合わせると面白いですよー。
またこの映画はスウェーデン語で作られています。フィンランド映画ですがスウェーデン語です。実はフィンランドの公用語はフィンランド語とスウェーデン語なのです。これはスウェーデン統治時代が長く続いたことや文化の浸透からスウェーデン人の移民者も多く、今でも街でみる標識はフィンランド語とスウェーデン語の表記で書かれています。映画でもトーベ一家はスウェーデン系です。スウェーデン人のコミュニティは少数派だったことがわかります。この社会背景の中、葛藤しながらもアーティストトーベが自分に正直に情熱的に過ごしたのか、どんな人柄だったのか、この映画から読み取ってほしいなあと思ったのでした。
トーベの書籍が読みたくなったなあ・・・めちゃ積読があるのだがどうしようかwww
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