松竹大歌舞伎「二代目松本白鸚・十代目松本幸四郎襲名披露」2019年4月24日
歌舞伎を観に行ってきました。
昨年発表された、高麗屋の「親子三代同時襲名」。
・松本幸四郎 改め 二代目松本白鸚
・市川染五郎 改め 十代目松本幸四郎
・松本金太郎 改め 八代目市川染五郎
その襲名披露公演が、佐賀市文化会館で行われていたので、行きました。
1.襲名披露口上
二代目白鸚を中心に出演者が並び、
二代目白鸚と十代目幸四郎の襲名披露の口上。
「高麗屋!」「十代目!」の声が響いていました。
ちなみに座席がS席2列目という良い位地で、間近に見ることができました。
2.菅原伝授手習鑑 :すがわらでんじゅてならいかがみ
「菅原伝授手習鑑」は、もともとは人形浄瑠璃の脚本として書かれた「義太夫狂言」であり、かの有名な「仮名手本忠臣蔵」、「義経千本桜」と並んで「三大・義太夫狂言」の1つに数えられる作品。
内容は、菅原道真が藤原時平の陰謀で太宰府に左遷された「昌泰の変」にまつわるあれこれ。
全五段あるうちの、今回は、初段の中にあたる「加茂堤」、三段目の口にあたる「車引」が演じられました。
①「加茂堤」 :かもづつみ
菅原道真の養女、苅屋姫と、時の天皇の弟、斎世親王が恋仲になってしまい、菅原道真が失脚する原因が生まれる場面。
驚いたのが、苅屋姫を演じた中村梅丸の美しさ。
つい目で追ってしまうほどの美しさで、周囲からもため息が漏れていました。
こちらの左。顔の丸さに女性らしさがあり、ぜひ一度生で見てみてほしい。
②「車引」 :くるまびき
藤原時平の陰謀によって、菅原道真が流罪になったのちの話。
菅原道真に仕える梅王丸(=松本幸四郎)、斎世親王に仕える桜丸が、
藤原時平に仕える松王丸(=松本白鸚)と対峙する。
同時襲名した親子の共演です。2人ともさすがの存在感でした。
梅王丸の、赤を基調に、梅をあしらった衣装。
松王丸の、白を基調に、松をあしらった衣装。
この対比が美しかったです。
3.奴道成寺 :やっこどうじょうじ
能の演目「道成寺」に基づく「京鹿子娘道成寺」の立役(=男役)バージョン。
舞踊がメインの作品であり、十代目松本幸四郎が狂言師左近として華やかな舞踊を披露。
特に見どころだったのが、松本幸四郎が遊女、客、太鼓持ちの3つの面を使い、一人三役で踊り分ける場面。
素早く、次々と面を取り替えていく様は圧巻で、並々ならぬ稽古の成果だろうと感じさせられました。
同時に、その松本幸四郎の背後で後見として面の交換をサポートしていたのが、先ほども触れた中村梅丸。
素早い交換のためには後見との連携が不可欠であり、緊張感ある役目を中村梅丸は見事にこなしていました。
というわけで、新たなスタートを果たした十代目松本幸四郎の実力と、中村梅丸の思いがけない魅力に出会った公演。
本人のサイン入り(!)の「十代目松本幸四郎への軌跡」も購入し、大満足でした。