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mojyanote
打楽器とは。
オーケストラの大体の楽器は名前がいえるが、打楽器はだめだ。あのセクションは音楽の成分の中のetc.が全てつまっている。
おもちゃ屋さんのようにたくさん道具が並んでいるので、見るのは楽しいが、見ただけでは奏法が謎のものなどもあるし、この楽器の記譜はどうなっているのかと首を傾げることも度々ある。
タンバリン、マラカス、カスタネット、トライアングルなんかは端役とは言えまだいい方で、どでかいハンマーや、謎の筒、箱、そして今日は石が出て来た。
指揮者が、石のところだけど、と言うから、石??と団員全員が振り返ったら打楽器奏者が石ころを二つ持っていた。
「そう言えば劇場の入り口の石畳が歯抜けになってた。」
「あの石、楽器保険かけてあるのか。」
などと軽くざわついた。
そして、指揮者の言う部分を演奏し始める。
「あいつ、石うまいな。」
「非常に芸術性が高い演奏。」
などと言ってみたりする。
普通は団員の契約には特定の楽器を指定されているので、それ以外の楽器は一切弾かないものだが、あのセクションだけはなんでもありだ。楽譜に載っているもので、ほかの団員たちの楽器で弾けるもの以外の全てが担当である。カッコーカッコーっていう笛を鳴らしてみたり、タイプライターをガチャガチャしてみたり、布を擦ってみたり、打楽器セクションといいながら全く打におさまらない活動ぶりなのである。
コンサートに行くことがあったら、舞台の一番後ろにいる彼らに注目してみると意外と楽しいかもしれない。