千客万来
職場に近い街中のアパートに住むと、しょっちゅう人がくる。忘れ物を貸してくれ、とか家の鍵を無くしたから今晩泊めてくれ、とか祝日の公演のあと酒が飲みたいが店が閉まっているとか。今日も緊急で印刷したいプリントがあるから寄ると言ってやってきた同僚が20分滞在して
どこかへいった。
まぁ、よい。一人暮らしは人とコンタクトを持つように心がけるべきだ。そうでないと社会的な顔を表に持ってくることが減って、変人になりきってしまう。本当はみんな変人なんだけど、一応社会的に普通なところも準備しているものだ。時々変人が行き過ぎると家族と喧嘩になったりパートナーと喧嘩になったりするが、一人で全く誰の干渉も受けずに暮らしているとつい変人を野放しにしてしまう。
歳をとって自分の弱点や苦手なことへの克服を諦めてしまった上、自分の嫌なところを人に指摘されなくなると、いくらでも嫌なやつになれそうな気がする。その上、人に嫌われることなど、へのかっぱになってしまった私の怖いもの無し感。自分で戒める心を持たないと、とんでもないクソババアになりそうである。そういう未来を望んでいるわけではない、というのが唯一の歯止めだ。
うちでよく酒を飲む友人がシャンパングラスを置いていった。お前んち、この手のグラスないからさ。
よかった、ここがまだ私の家だとおぼえていてくれて。