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海苔巻き外交

日本に行ったドイツ人が、日本って飲食店がやけにおおいよね、と言っていた。テレビもずっと食べ物の番組ばかりだったそうだ。
あたりまえじゃないか。日本人同士寄ってたかった時もかならず食べ物の話をして、日本からもってきたお菓子なんかをわけあって喜んでいるし、日本人は筋金入りの食いしん坊だ。
だいたい、海外邦人の料理スキルのたかさときたら、目をみはるものがある。蕎麦を打つくらい普通で、アンパン、メロンパンを焼き、大福をつくり、納豆を作り、しばらくしたら味噌を作り出し、カッペリーニをラーメンに変えてみたりしている。日本で好きだった物が手に入らないと果敢に挑戦し、試行錯誤の末、周りをうならせる得意の一品をかくしもっていたりするので侮れない。
それに、海外の大多数の日本人は海苔巻きがうまい。寿司作れる?という無茶ぶりに必死で応えているうちに、カニカマにアボカド巻くくらいは朝飯前になっていく。新しい職場で初めてよばれたパーティーにはカルフォル二アロールと決まっている。

日本人同士のポットラックパーティーだと、みんな自慢の一品を持ち寄るので、大概おいしいものにありつけるが、ドイツ人しかいないパーティーはよくない。洗面器サイズのチーズが一個とナイフがおいてあり、横にパン、あとは袋入りのチップスにビア樽という無愛想なパーティーにでた経験がある。パーティーはみんなとおしゃべりするのが楽しいんだからこれでいいんだそうだ。でも、内気でいまいち言葉に自信のない日本人がそんなパーティーにでて一体何をしゃべれというのか。
そこで必殺の、カルフォルニアロールだ。どうやって作るのか、どこで米が買えるのか、どのくらい時間がかかるのかとか色々話しかけられて、会話の中心にいることになる。私は本当に寿司でしこたま友達を作った。時々恋人もひっかけた。
これから海外に行く皆さん、海苔巻きの練習してください。語学も大事ですけど、海苔巻きもおんなじくらい重要です。

余談だが、一度、寿司の巻き方を教えたことがある。
何を巻いても結構おいしく食べれるよ、日本にはシュニッツェル(とんかつ)を巻いたお寿司もあるよ、などと説明したらバナナはどうか、ときいてきた猛者がいた。お前の味覚は壊れとるんか。びっくりするわ。


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