アヤックスから学んだ近代的なアカデミー構造と8〜19歳までの選手育成
1月12日、28日に元アヤックスアカデミーコーチのヴァン・スカイク氏とのZoom交流会が行われました。
今回はこの交流会のレポートを@kaneko_lafresaがお届けします。
なお、交流会のアーカイブ映像はこちらのラフレサ公式LINEから無料で視聴が可能です。
交流会前に行ったヴァン・スカイク氏へのインタビューもご参考ください。
選手への教育
最初に取り上げられたテーマです。
フットボールの育成とはどう考えるべきでしょうか?
育成と大人のフットボールの違いは?
大事なのは個の育成?それともチームの育成?
練習をする目的
スタッフの役割
など、まずは育成の「キホン」の話から始まります。
コアビジネス
アヤックスに限らず現代のフットボールクラブでは、選手の移籍金が収入の柱の一つになり、よりアカデミーの重要さが増しています。その中でしっかりとしたアカデミーの基盤やマネージメントが重要になります。
クラブ組織図
多くのクラブでは、組織図の中でアカデミーはトップチームの下に位置づけされていますが、アヤックスでは全く違った配置になっています。それによってアカデミーダイレクターのクラブ内での立ち位置、権限、取締役会との距離やコミュニケーションなどが、他クラブとは異なっていることが分かりました。この組織内での配置によりアカデミーのクラブ内での優先順位が非常に高く、上記のコアビジネスの1つになっていることが分かります。
アカデミー組織図
能力のある選手はドンドン上のチームに吸い上げられる。これはよく聞く話ですが、その為にはクラブスタッフ間でのしっかりとしたコミュニケーションが欠かせません。各チームの監督やコーチだけでなく、アカデミー内に数名いるマネージャーの役割が重要だそうです。また、日本ではジュニア、ジュニアユース、ユースとカテゴリー分けがされているますが、アヤックスではどのようにに選手を分けているのでしょうか。
大事な基準
アヤックスやオランダでは選手を評価する時に、どのような基準で選手を見るのでしょうか?ここでは大きく分けて4つの基準が紹介されています。その中でオランダでよく話されているのが「インサイト」です。日本語では「認知」や「インテリジェンス」に近いニュアンスでしょうか。
トレーニング内容
ジュニア年代のトレーニングの順番や内容について話されています。オランダではコロナ禍の前と後で、トレーニングの順番や内容が変わってきているようです。社会や選手のニーズによって、クラブや指導者も変わっていく必要があります。ジュニア年代でのヘディング練習の必要性についても少し話されています。
期待する成果
上記のトレーニングにおける指導者が選手に期待する成果が紹介されています。ただ単にコーチに言われたから選手が動くのではなく、選手がそれぞれのトレーニングをなぜ行っているかの「WHY」の部分をしっかり言語化出来なくてはいけないそうです。そのためにはコーチから選手への問いかけやコミュニケーションが大事になってきます。
8-12歳「ゴールデンエイジ」フットボールの土台
ここではジュニア世代をさらに7 – 8歳、 9 – 10歳、11 – 12歳に分けて、それぞれの年齢の子供にはどのような特徴があるのか、それに沿ってどのようなトレーニングが必要なのかをご紹介しています。アカデミーの選手とまずは1人の「子供」として向き合うことで、それぞれの年代で優し過ぎず、難しすぎない練習を提供できるのだと思います。
プレーする場所
オランダでは天然芝や人工芝のインフラが完備されているクラブが多いですが、同じような環境や表面でのプレーでは選手にマンネリが出るそうです。アヤックスではストリートやインドアフットボールなどを不定期で行うことによって、選手に刺激を与える環境作りをしています。それぞれの環境で行うメリットは何なのでしょうか?そのあたりもお話いただきました。
快適・ラーニング・パニック
アカデミーの選手はどのような精神状態になると「学ぶ」という過程に入るのでしょうか?その為に指導者ができることは何なのでしょうか?1つ大事なこととして、1つのトレーニングにおいて各選手が陥る精神状態が違うことを、指導者が認識することです。ある選手は簡単にこなし、ある選手には難しく感じることがあります。その時に指導者がしっかり選手ひとりひとりを観察することが必要だそうです。そのあたりも詳しく話をしています。
ジュニア年代から11人制への移行について(開始前に参加者さまからの質問)
ここからは後半戦です。
開始前に参加者の1人が、日本の8人制から11人制への移行の話をしていただきました。オランダでもジュニア年代ではいわゆる「スモールサイドゲーム」が行われていますが、サッカー協会も毎年色々試しながらリーグ戦のルールを決めているようです。ここでは各「スモールサイドゲーム」のメリットや11人制移行への準備の話がされています。
トレーニングの基本
トレーニングに含まれる要素はどのくらいあるのでしょうか?全てを挙げると本1冊書けてしまいますね。その内容をクラブ内で共有するのはとても難しいでしょう。アヤックスではもともとあった本1冊分くらいの内容を1ページにまとめ、スタッフ間で共有しているそうです。シンプルになった方が選手にも分かりやすく良いですね。ここではトレーニングに含まれるべき要素を1つ1つ紹介しています。
13ー16歳思春期
子供の思春期は独特な期間です。親として思春期の子供への接し方は難しいものがありますが、指導者としてもまた違った一面があります。ここでは思春期の選手の特徴を11つの項目に分けて話をしています。ジュニア世代で能力があり期待されていても、この時期に伸び悩んだりプレー自体を辞めてしまう選手もいるそうです。クラブや指導者が選手を理解し、それに沿った接し方やコミュニケーションが必要です。
13ー16歳革新的なアプローチ
この年代では身体的な成長のタイミングにも大きな差が出てきます。例えばU14の練習は、全ての選手が同じメニューを行うべきでしょうか?それとも各選手の身体的な成長に合った練習を指導者が用意するべきなのでしょうか?体の成長と共に怪我が多くなるのもこの時期です。選手として大事な成長期に、ゲガでプレーできない期間は大きな機会損失になります。これを防ぐのがクラブや指導者の仕事のようです。
選手とクラブスタッフの関係性
アカデミーの選手をサポートするために、どのような専門家のスタッフ配置が必要なのでしょうか?またコミュニケーションの矢印は「スタップが選手をサポートするのか」「選手がスタッフを活用する方法を知るべきなのか?」どちらが好ましいでしょうか。育成の最終段階である17-19歳に向けて、クラブ内での選手の自立や大人とのコミュニケーションの取り方も重要になってきます。
生物学的成長:アヤックスの3選手の例
ここでは14歳の選手が3人並んだ写真を用いて、生物学的成長の紹介をしています。この年代は生まれたタイミングが数ヶ月違っただけでも、生物学的年齢が3歳も離れてしまうケースがあります。このような3選手にいつも同じ練習をすることは非常にリスキーです。オランダでは全体練習の後に、生物学的成長やポジションでグループ分けして練習を行っているそうです。
17ー19歳最終段階「フェラーリを作る」
思春期を終えたこの年代では、より「自分」と向き合った成長が期待され、フィジカル系のトレーニングもより行われるそうです。またアカデミーからトップチームへのスムーズな移行を目指し、近年ではU21がアカデミーに組み込まれ、より選手を長く見れる体制になっているそうです。
参加者の声
今回の交流会には延べ約80名の指導者に参加いただきました。
誠にありがとうございます。
皆さんにアンケートのご協力をいただき、 5段階評価で平均4.43の高評価をいただきました。
その中からいくつか参加者の感想をご紹介します。
「チーム・スカイク1ヶ月プログラム」について
元アヤックスアカデミーコーチのヴァン・スカイク氏との交流会を終え、より育成やアカデミーについて深く掘り下げ学べるプログラムのご提案です。
お申し込みはラフレサ公式LINEからお願い致します。
一般の募集についてはまた別のnoteでお伝えします。