片づけても、片づけても…
土曜日から月曜にかけ、実家に片付けの手伝いに帰った。手伝いといってもやるのは私一人。
約30年間、一度も掃除や片付けをしてことがない父の部屋。この猛暑の中エアコンが故障してしまい、近々新しい物を取り付けてもらうという。
だが、設置場所を確認に来た業者の人は彼の部屋を見るなり、「まず片づけてください。これではエアコンを運び入れることすらできません」。
業者の人が帰るとすぐ、母から私にSOSの電話。「お父さんの部屋片付けに帰ってきて」。
以前にも一度記事に書いたが、私の家族は掃除が大の苦手。家族の中で、それが出来るのは私だけ。何故なら風水掃除の本で学んだから。
父の部屋は、物が積み上げられている。基本的に捨てられない本やCD、古いカセットテープ、その他電化製品。このタイプの人は、「これ必要?」といちいち確認していると、どれも「必要」と言って捨てないことを知っている。
なので私は片っ端からボンボン大きなビニール袋に入れて処分していく。たまに、弟が「汚部屋」にしてしまった客間を、来客前に掃除させられることがある。だが弟は基本的に「散乱型」なので、床の物を黙々と拾って捨てて行けば良いので簡単。
だが父の部屋はかなり手強かった。何せ、ブロック塀のように物を積み上げてプチ要塞を作っているので、時間も労力も奪われる。また掃除の途中から、「本だけは捨てないで!」と抗議してきた。
本は重たい。またこれら大量の本を、エアコン設置のために一時別の場所へ移動させるとなると一苦労だ。私は、ブックオフに売ってはどうかと提案したが、「本は大切な資料なんだ!」と一歩も譲らない。
仕方なくその条件だけはのんだ。それにしても物が多い。本を収納するために衣装ケースや踏み台、ゴロゴロ付きの板が無数に駆使されており、それらゴミの山で、廊下は人が通るスペースを失い、既にある程度のゴミを移動させた倉庫もほぼ満杯。
掃除が終わったらゴミステーションへ捨てに行く予定だったのだが、もう今この瞬間にゴミを置いておく場所がない。急遽、業者に粗大ゴミ用のコンテナを持ってきてもらい、出てきたゴミをその中に移動させる。
エアコン設置のためのスペースと、業者さんが作業できるスペースを確保するために、丸二日かかった。粗大ゴミ用のコンテナは見事に溢れかえっている。
しかも不思議なことに、あれだけ大量のゴミが出た割に、綺麗に片付いたのは畳たったの二畳分。出来上がったスペースと、そこから出たゴミのアンバランスさに、父を含め、家族全員が首を傾げる。
掃除も終わり、ビールを飲みながら一息ついていた夜。予感はしていたが、案の定父は、懐中電灯片手にゴミコンテナを漁り始めた。
捨てられた物の中に、お気に入りだった、遠くの物を取るためのマジックハンドがあったらしい。しかもそれを別のマジックハンドで漁っている。呆れてものが言えない。
私は父に、最新のマジックハンドは磁石やLEDライトが付いているから、そちらを買い直せば良いとなだめ、ゴミ漁りをやめさせる。
そして帰る当日、私は一応父の部屋を最終確認するため見に行く。すると、新たにできたスペースを良いことに、既に踏み台を使ったミニテーブルが設置されていた。テーブルにはお茶まで置かれている。
憤慨した私は、さっさとミニテーブルを解体し、それをコンテナに捨てに行く。全く油断も隙もない。
母にも、業者さんが来るまで、あの部屋をちゃんと見張るよう告げる。頷く母。そして次の瞬間、何とも言いにくそうに「あのね、実はあの部屋、エアコンを設置してもらうついでに破れた障子も張り替えてもらうのよ。だから、窓の障子の付近も片づけてもらわないといけないの」。
その言葉に、私は白目をむき固まった。何故最初からそう言わなかったのだ?私に匙を投げられたら困ると思ったのだろうか?
結局また来週も片付けに帰らなければならない。父よ、お願いだからもう物を溜め込むのはやめてください。散らかすのは簡単、でも片付けるのは大変なんですから。