Jサポ全員必読!サッカー好き目線から「シン・浪費図鑑」を勧めたい
2018年10月17日、とても楽しみにしていた本の発売日である。
それは「シン・浪費図鑑」という書籍。
様々なジャンルを愛する人が寄稿し、ポジティブに推しへの愛を語るという内容だ。
第1弾は重版出来、その人気から今回第2弾を発売したのである。
浪費とタイトルには付いているが決してお金持ち自慢などではなく、むしろ趣味を肯定してくれるシリーズなので読んでいて自信がわいてくる。
その中でも今回、私も大好きなJリーグマスコット「マリノスケ」についての寄稿があるとのことで発売日前日にフラゲを決め込んでしまったのだ。
マリノスケについての記事は素晴らしかった。
しかし他の文章もサッカーファンに通じるところがある。むしろこれ一冊サッカーファン心理を文章化したものなのではないか…?
ここでしっかりレビューを書けば「マリノス好きじゃないし、マスコットは興味ないな」と思っている人にも「この本買って良かった!」と言ってもらえるはずだ。多分『平畠啓史Jリーグ54クラブ巡礼』や『サポーターを巡る冒険』とともに全Jリーグサポーターの本棚に並ぶだろう。
ネタバレはしない方向でサッカーファンの自分に響いた箇所をいくつか挙げていきたい。
マリノスケに浪費する女
サッカー好きの大多数って戦術好きや選手サポだから、マスコット好きはハッキリ言って"異端児"だ。
日本ってかわいいゆるキャラ大国だから、何もサッカーのマスコットに入れこまなくても…と思うが、この文章で答えが出た。
Jリーグの敷居の高さとして言われ続けているネガティブなことも書いてある。でもそれを認めて改善していかなければいつまでも「Jリーグカレー」の頃が一番盛り上がってた衰退ジャンルとして先細りになるだけだ。
マスコットってただのピエロじゃなくて共に戦い、共に感情を共有するサポーター仲間で、ふるまいがお手本になるロールモデルなのかもしれない。
海外サッカーを見た後だと、子供や女性だけでなく大人だって男性だってマスコットと共にサッカーを楽しめるJリーグって最高だなと思う。
強さやかっこよさも素敵だけど、何より大事な自分らしさを思い出させてくれるのがJリーグマスコットなのだ。
東京ヤクルトスワローズで浪費する女
同じスポーツジャンルであり、何度か観戦に行っているヤクルト。
(毎年始球式に出る氷川きよしさんを見に行っている)
「野球って降格がないから良いよなー」と思っていたが、実はサッカーよりもシビアな世界なのかもしれないとこの文章で分かり反省した。
スポーツジャンルは他のジャンルに比べてファンの声をしっかり汲み取ってくれるイメージがある。
それは"要望に応えないと試合結果で人気が左右されてしまう"脆いジャンルという言い替えでもあるのだが、Twitterで運営や広報、グッズの改善案を出してファン同士盛り上がれるのが楽しくてスポーツジャンルにハマってしまった私のような人間もいる。
また、ヤクルトのグッズは確かにめちゃくちゃかわいい。
ヤクルトとマリノスには「チームカラーがトリコロール」「勝ったら傘を回す」という共通点がある。(だからヤクルトとマリノスどちらも応援しているファンも多いのだ)
見よ、このヤクルトグッズ。YSはヤクルトスワローズのイニシャルだ。
そのお陰でこのヘアゴムをつけてマリノスの応援に行くこともある。
そんなにヤクルトに縁があるならファンになれば良いじゃんと思われるだろうが私はベイスターズファンである。初めて見たチームを親だと思い込んでしまうヒヨコみたいな女なので仕方ない。
とにかくこの文章の1番目の注釈が面白すぎるので読んで欲しい。
フィギュアスケートで浪費する女
選手の怪我、判定のグレーさ、競技を見る視点の違いで生まれるファン同士の言い合い、そして一期一会の演技(試合)の為の遠征…。
ジャンルが違えどもスポーツファンとして悩ましいこと、そして喜ばしいことは同じらしい。そのどれもに共感してしまう。
特にこの文を書かれたウェッデルさんは観戦観が達観されていて、サッカーファンが一番見習いたい姿勢を貫かれている。
サッカーってスピード感があるから見ているこちら側も反射的な反応をしてしまいやすい。審判の悪口や選手のプレーに批判的になり、斜めに見る方が「玄人っぽい」感じもしてしまうのだが、それは間違いなのだと背筋を伸ばしてくれるような文章なのだ。必見である。
安室透で浪費する女
最高に笑った。コナンの映画は小学生以来見ていないのに見たくなった。
Jリーグユニフォームを着て世界を歩こうの記事で書いた通り、旅行先でバシバシ写真を撮る自分は共感してしまった。自分の映えはどうでもいい、このユニフォームとNISSANの文字が映える場所に行きたいのである。
HiGH & LOWで浪費する女
2.5次元ミュージカルの沼にいた自分がサッカージャンルにハマるなんて思わなかった。だって、サッカー部の男子ってチャラくていつも群れててスクールカースト上位で超怖いんだもん。
でもなぜか「LDH顔がJリーグ1多い」マリノスを好きになってしまった。
その辺の経緯はこの記事に書いてあるのだが、知ってみると今まで苦手意識でいっぱいだったジャンルも好きになるのだ。神に感謝である。
タカラヅカの娘役で浪費する女
贔屓の選手の引退ってすごく辛い。多分サッカーファンなら共感できる。
引退試合のチケットを死にもの狂いで取ったり、最後の挨拶で大泣きしたり…。その後解説やコーチで活躍してくれるのかは分からない、消息不明の選手だっている。推しはいるうちに応援せよ。
ジャニーズJr.で浪費する女
マスコットの動画を撮っている時、動画ではなく静止画だと思って延々とポーズを取られてしまった時に音声を入れないように(動画だよ!動いて!)とマスコットの前で無言で踊らざるを得ない時がマスコット好きにはある。
Jr.の現場って対人間な上に対イケメンなんでしょ…?もっとハードル高い…でも楽しそう!
パンダで浪費する女
子供の頃から見守り、愛でられるなんてまさに「ユース」だ。
ジャニーズJr.もそうだけど成長を楽しめるのってすごく尊い。
シャンシャンってずっと上野にいるものだと思ってたけどそうじゃないらしい。なんだか選手の海外移籍みたいだ。
スペシャルインタビュー
映画宣伝部の方への取材なのであるが、この時の応援上映の盛り上げ方の工夫がスタジアムの盛り上げ方の改善に繋がりそうな気がした。
ゴール裏内でもパラパラとした手拍子、地蔵問題…そんな時にこのやり方を参考にするのも面白いかもしれない。
劇団雌猫座談会
なんとロシアW杯に行かれた方の浪費エピソードが紹介されている。
この時の劇団雌猫の皆さんの話が本当に一般人なのか?!と思うほど面白いのだがとにかく勝敗の結果に左右されるのがサッカーオタクのお財布事情である。私は大学1年の時にW杯向けのイベント会場内のスポーツバーで働いていた。しかし、その年のW杯で日本は予選敗退。予定していた期間よりも早くアルバイトが打ち切られてしまい極貧生活を強いられた思い出がある。
今回サッカーに絡められず紹介できなかった「美少女戦士セーラームーンに浪費する女」「美容整形で浪費する女」「AV女優に浪費する女」「ホセ・キャリオカに浪費する女」も最高に面白くて、健気で愛を感じる。
どうしてみんなこんなに面白い文を書くんだろう?
「AV女優に浪費する女」に出てくる友達の一言なんて涙が出るほど笑ってしまった。女子会をこっそりのぞいている気分だ。
「男性が買ってもいいの?」と遠慮してしまう人も多そうだが、前作は男性からの支持も強かったと聞く。今回はスポーツジャンルも多く取り上げられ、趣味に愛をつぎ込むのは男女関係ないと思える内容だ。
安心して手に取るべきである。
スタジアムでいつも熱く応援するコアサポーター、ふれあいを大事にする選手サポーター、戦術オタクやユース好きにマスコットを応援する人まで誰でも「あ、これ自分だ」と共感し、自分を肯定できる…そんな一冊だ。
上記、アフィリエイトなどはついていないので安心して買って欲しい。
全国書店でも販売されているし、Kindle版も10/26に発売予定だそう。