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人生の主役はだれのもの

「だって、やってみたかったんだもん」

友達に「今度スタジアムDJやるんだー」って話した時に
「は?お前どこ目指してるんだよ」って笑われたけど、目指すところなんてなかった。単純に「だってやってみたかったんだもん」しかない。

私はサッカースタジアムのアナウンスが大好きだ。
YouTubeの再生履歴の10個に1個はどこかの選手紹介アナウンスだし、マリノスとシティ戦のアナウンスなんて大袈裟でなくもう100回以上見てる。
音楽もそうだけど声にも疾走感ってある。SEとハマった時は気持ちがいい。
そんな動機でDJをやりたいだなんて怒られるかなって思ったけど
「ささゆかさんほどピッタリな人いない!」って喜んでもらえたしハッピー大団円だった。

みんな目指すものとか考えながら生きてるのか。
そうだよね、人生逆算しながら生きて「○○までに××を成し遂げたいから今何をする」とかやってるもんね。偉いな。
何度かやろうとしたこともあったけど何故かそれは自分に向いてなかった。
計算するのも下手だし、予期せぬことが起きて達成できないと自分が嫌いになっちゃうし。
出来る人はとってもすごい。出来ない自分は違う方法でやる

行動力なんて大層なものなのかな

基本的に人生思いつきで生きてきた。
計画性がない私でもカンプノウでメッシを見られた話は大袈裟でも非日常の出来事でもなく、いつものヒトコマだ。
私の友人達は「だってゆかちゃんだもんね」と大して驚かないが、
母親は几帳面で計画的に物事を進めるタイプだから毎回慣れないようで新鮮に驚いてくれる。嫌がっても見えるけどそろそろ諦めてるっぽい。柔軟に受け止めてくれてありがたいな。

この前は急に前日に思いついてベトナムに飛び立つことに決めた。
それを決めた自分よりも送り出す側の方がすごくない?とすら思うのだけど、どうやらこの行動力は「なかなかないこと」らしい。

当人が思うのは「行動力」よりも「衝動性」に近い感覚で褒められたものじゃないな、なんて感じる。
でもどうしても航空券が取りたかった。
近頃、何だか生きていることが苦しくて、誰かの手でプールの底近くに頭を沈められているかのように息ができない。
ベトナムに「酸素」があるかなんて分からないけれど、とにかくその自分の頭を押さえてる何かは取り払いたくって、その手段が航空券だと思った。

旅先では不思議とよく息ができた。
パーフェクトな旅ではもちろんない。
「世界どこでもクレカ使えるっしょ!Uber入ってるし!」と文明に頼ろうとしたらクレカもUberも全然使えなくて両替の不十分さに泣くとか、英語が全然通じないとか。
相手が英語出来ないみたいな書き方したけど2年半旅行していないおかげで自分の語学力は地に落ちているし、海外旅行の勘みたいなものも鈍ってるし。着いて早々タクシーにぼったくられてウケちゃった。
でも確実に自分の両足で立てている。頭を抑える手はそこにない。
この感覚、なに?

私にはいつも運命みたいなことが急に降ってくる

ベトナムに行く前の夜、PCR検査が高すぎて心が折れかけてた時に母親が
「ベトナム行ったらその話を文章にでも書いて足しにしてもいいじゃん」と励ましてくれてだいぶ救われた。
noteに連載形式で書こうかな、YouTubeにまとめてもまだ稼げないんだよな、なんて考えてたら成田からタンソンニャット空港に行くまでの5時間の間に渡航ツイートを見たフットボリスタ編集部から連絡が来て記事依頼があったのだ。

私の人生、こういう時に運命みたいに素敵なお仕事や声がかかることがよくある。もちろん書くことなんて決まってないけれど二つ返事でOKした。

そうして5日間、ベトナムで過ごしている間に新しく決まった仕事がもう1つある。それがスタジアムDJだった。
どうやらチャリティーマッチにスタジアムDJが必要だよね、でも誰も心当たりがない!といった状況のようで募集ツイートが流れてきたのである。

生半可な気持ちで送っちゃダメ案件だよねーと思いつつ、こういう募集かけた時に変に遠慮されちゃって誰も応募してこない悲しみも知っていたのでひとまず望愛さんにDMしてみた。
もしももっとふさわしい人がいたらちゃんとその人を選べる力がある方達だし。あなたの力になりたいって気持ちがあることだけでも伝わったら別のお仕事で関わるきっかけになるかもしれないし。
ウグイス嬢のバイトとか大学のサークルでのラジオ経験くらいしかないって正直に書いてみたら次の日には「よろしくお願いします」って返事が来ていた。

望愛さんしか見えていなかったけれど、実行委員会には今までDMやリプライでやり取りした方が複数いらして私のキャラを知ってくれていたらしい。
どうやら、運命みたいな話って急に降ってくる訳ではないみたいだ。

オーシャンズ8に加入していた

千葉望愛さん発起のこのプロジェクトはPROTAGONISTA(プロタゴニスタ)といい、海外で活躍する女子サッカー選手のドリームチームである。
海外の中断期間の6月に女川の新スタジアムのお披露目や被災地支援を叶えながらチャリティーマッチを行い、スポーツ選手を夢見る若者たちに女子サッカーや海外での活躍が遠い世界の話ではなく身近にあると感じてもらえるようにするエンパワメントな企画だ。

スペインにいる望愛さんはじめスタッフは8〜10人くらい。みんな場所はバラバラだけどzoomなどを駆使しながら密に連絡を取り合っている。

この関係性が私にはとても心地よくて、不思議なことに既視感があった。
映画の「オーシャンズ8」だ。
この物語は一見噛み合わないような人達の集まりだけどカルティエのトゥーサンを盗むその目的だけで団結する。
私たちは盗みこそしないが、個性がとにかく豊かだ。
しかしチャリティーマッチや若者の夢の後押しを成功させたいその一心で揃っているし、その目的はそれぞれが違ってとても良い距離感なのだ。
一人ひとりに得意分野があって、それを認め合い信頼につながっていて、もしも不安があれば絶対に誰も見捨てずに助け合える。

慣れないアナウンスは練習するほど苦しさでいっぱいになる。
深夜に泣きそうになったらスタッフの寺田さんと初めてzoomした時に「ささゆかちゃんのような個性の人がいてくれて嬉しい。」と言ってもらえたことを思い出している日々だ。

#人生の主役は・・・周りのみんな?

なんだか自分の個性や持って生まれたものが好きになれなかった。
昔からどうしても目立ちやすい。
マインドは陰なのに「主役ぶる」ようで居心地の悪さが残る。

「キラキラしてる」なんて聞こえの良い言葉は自虐風自慢に聞こえるかもしれないから補足すると、実際はクラスで悪事が起きた時に何もしていないのに真っ先に主犯格だと疑われるお調子者ポジションだ。
聞けば私の母もいとこも全く同じで先生から無実の罪を疑われていたらしいから血筋なのかもしれない。

芸能マネージャーの仕事をやっていた頃はアーティストよりも目立つことでよく怒られていた。服装を地味にするとか、話し方を変えるとか端っこにいるとか努力したけれどどうしても難しい。
日常はシンデレラの舞踏会じゃない、
目立てば得するどころか恨みを買うだけ。
ちょうど日本語にぴったりの言葉がある、「悪目立ち」だ。

その直後、祖母のお葬式があった。
名前も知らない親戚の老人が自分の噂話をしている。
みんなと同じ喪服を着ていても、大好きだった祖母が亡くなってズタボロに泣いている時に噂話をされる環境で全てを諦めた。
もう個性や存在を隠したり変えようとするのは限界だ。
だったらその個性が武器になる仕事をしよう、とマネージャーはやめて企業広報になった。

その頃の経験が活かされてか、PROTAGONISTAのスタジアムDJツイートにはそこそこの反響がありスタッフの方々がとても喜んでくださった。
「悪目立ち」の呪いが少しだけ消える感覚だ。
今までフォロワー数が多いことも何だか罪悪感みたいなものでいっぱいだったから不思議である。
というか目立つのって悪いことじゃないんじゃない?意地悪な日本語!
ここで初めて #人生の主役はわたし と言うスローガンに救われたのである。

全員が主役の台本で進めよう

個人的な思想だけどサッカーの主役はあくまで競技であって欲しいと感じていて。競技に向き合う選手や運営してくださるスタッフさんへのリスペクトがあった上で、サポーターが支えるような図を頭に描いていた。

でも、PROTAGONISTAのスローガンを見て考え方を改めた。
もしかしたらサポーターだって主役なのかもしれない
応援の域を越えるような雰囲気の人は少し苦手だったけれど、誰かがその応援に励まされている連鎖があったり、日常生活で抑えているものをスタジアムで放てているとしたらとても素敵なことだ。

応援を合わせることで圧を生み出せるから、私たちってその輪から外れないように、突飛な行動をしないようにって少し右ならえしちゃうところがある。でもそこで個性ややりたいことを抑えてるのって、もしかしたら更なる圧を生み出せる可能性を秘めてるのにもったいないことなのかも。
もちろん人の迷惑になってしまうことは良くないけれど、誰かのやりたいことや、ありたい姿を笑うなんて超ダサい。

もしかしてプールで頭を抑えてきたあの手の正体って「やりたいこと」を抑えて、周りに遠慮しちゃう自分のマインドだとか環境だったのかもしれない。気遣いと遠慮の境目って曖昧だ。
気持ちが疲れると「やりたいこと」すら分からなくなるしね。
他人が主役のクソ台本演じちゃってたけど、今からでもシナリオの書き直しは間に合うはず。スポットライトを浴びる覚悟さえあれば。

何歳だって、何者だって、何にだってなれる

ここからは突然の言い訳タイムだけど、やりたいの気持ちだけで職業体験荒らしするのはただの迷惑キッザニアなので大前提として現職の方への敬意は忘れたくない。訓練や実績を重ねた方にとって急に出てきた人間が「DJです!」だなんて驚いてしまうことのはずだ。
それと同時に同じ思いを持った若い子がいたら未来ある方に!とポジションを譲りたい気持ちも持っている。

私は今34歳。
この年齢で新しいことに挑戦できるって超幸せだ。
世の中もっともっとそんなケースが増えて良いんじゃないか。
そもそも30を過ぎて新しいことにチャレンジできるってなんで珍しいことなんだろう?みんな子育てとか始まってるから?
こういうケースが増えたら30までに結婚しなきゃ、とかの一種の呪いがもう少し緩和されるんじゃないかなと思ったりして。
少子化に大貢献しちゃっててごめんなさいだけど、多分自殺防止とか楽しく生きられる世界を作ることには貢献してると思う!
産めたら産むね!の大学生の飲み会参加返事マインドだし、若者のチャンスを潰させることはしたくないけど、この年齢だからこその希望があるってことはスーパーボウルのハーフタイムショーでシャキーラとJLoが教えてくれた。だから自分もそれの日本人バージョンとして生きたい。

私たちって「女性の都知事を想像してみて」って言われたら結構リアルに想像できると思うけれど「日本人の女性の総理大臣を想像してみて」って言われたらちょっと難しい。
総理大臣じゃなくても良いんだけど、色んな職業や願いを叶えてるケースを増やすのって選手になりたい女の子だけじゃなくてサッカー周りの職業に憧れる女の子の間口を広げることになるかもしれない。
それって、めちゃくちゃPROTAGONISTAっぽくない・・・?!

私の性格だから、少しでもやり残したことがあったら多分死ぬ時に後悔で成仏できない。葬式の時に棺桶から起きあがっちゃって参列者と孫ビビらせたくないので好きなことやりきって生きるぞ!

というわけで6/19の情報載せておきます。

NS TOOL 日進工具プレゼンツ
欧州組集結チャリティーマッチ 2022 IN 女川

日程:2022年6月19日(日)
場所:女川スタジアム
時間:14:10開場 15:00キックオフ
チーム「プロタゴニスタ」VS 早稲田大学ア式蹴球部女子
チケット価格:1000円
大会概要
公式Twitter

そしてベトナム行くときに航空券取るのミスって
お金が二重にかかって泣いてるので
余裕のある方は任意でサポートいただけるとささゆかは幸せになります ↓ 


ここまで読んでくださって本当にありがとう! サポートも大変励みになりますのでよろしくお願いします。