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【ヒストリア⑨&⑩&⑪】歴史に埋もれているブル中野「幻」の金網ギロチン/京子&貴子が100代王者目指し王座返上ワンデイトーナメント優勝で公約達成!/なぜか最後まで正式なペア名がなかった豊田&山田組


歴史に埋もれているブル中野「幻」の金網ギロチン

ブルが生涯決めたのは合計で3発だった


 伝説となったブル中野の金網ギロチン。平成2年11月14日、横浜文化体育館でのことだ。金網最上段で祈りを捧げ、横たわるアジャコングのもとへ、4メートルダイブしたシーンは今も語り草として何かと話題に上ることがある。ブルは金網ギロチンを振り返り、
「金網のてっぺんに登ってみたら、金網プラス自分の身長があって、目線がすごく高かったんですよ。下にいるアジャがすごく小さく見えたんですね。ああ、これは何かしないと飛べないなって思ったんで。それで、無意識で手を合わせて拝んで。この手が離れたら飛ばなくちゃいけない。もうこれで死のうって思って」。と、その覚悟を振り返っている。
 その翌年、ほぼ1年後となる平成3年11月21日川崎市体育館でのブル中野&モンスターリッパー対アジャコング&バイソン木村戦でもフィニッシュはこの技で終わっており、これを記憶している人も多いだろう(延長戦で行なわれたブル中野対モンスターリッパー戦での出来事であるが)。その間に
もう一つ、金網最上段ギロチンがフィニッシュとなった一戦があることは全女の歴史に埋没されてしまっており、
知る人は少ない。
 それは平成3年1月23日、兵庫・尼崎市体育館におけるブル中野対堀田祐美子戦だ。この前年、9月1日大宮スケートセンター、11月14日横浜にてブル対アジャとの金網2連戦が行なわれている。
 そのなかでこの一戦は突然行われた。
特に堀田とブルの間に因縁があったわけではない。金網で戦う必要性はないのだ。強いてあげれば、尼崎が堀田の地元ということ、またフジテレビの中継が入っていたことくらいか。
関西地区で初めての金網マッチということもあり、急きょ決まった対決ではあるが、そこから前売り券、また当日券は伸びて会場は超満員となった。
 試合はスタートから堀田がローキックをブルに畳み込み、積極果敢に攻めていく。だがブルのほうがしたたかだった。ヌンチャクやチェーンでお返しし、金網に堀田の額を打ち付け、主導権を握っていく。
 エスケープルールということで、堀田は何度かエスケープを狙ったが、ブルが引きずり落とし未遂に終わる。
 ブルはパワーボムでたたきつけると、
トップロープからのローリングギロチンを敢行、最後は金網最上段に上り、
4メートルのダイビングギロチンで堀田をKOした。ブルはこの後、エスケープに成功。16分29秒で勝負はついた。エスケープ後、控え室へ戻るブルに関西のファンは殺到し、「ブル」コールが沸き起こった。関西のファンもまた生で観た金網ギロチンに感動を覚えたのである。

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