組織が運営されるということ
この前の戦争が終わった後、一宗教一宗派のくびきから解かれた数名のプロテスタントの人々が海の街に教会を建てた。はじめは個人の家の一室で祈るだけだった。指導者もいない。
同時並行で、幾多の話し合いを経て、その教会の所属する日本キリスト教会という会派が使徒信条と規約を定めた。やがて神学校が整えられ、牧師にたつ方もあり、祈りの会は礼拝堂と牧師館をたてて牧師を迎えた。 教会員が持ち寄った基金の運営なので、そして人(牧師)一人とその家族の生活をお預かりしてのことなので、会の運営は何事も話し合いを重ね規約を整えつつ進められた。
教会員はその地に住み、聖餐を受けている人。献金は義務ではなく、それぞれの無理のない範囲。毎週の献金額は伏せられるが、クリスマスやイースターの節目に捧げられたまとまった金額は氏名とともに週報に記載される。日々の決定は「長老」が行う。長老は明確な選挙ではないが、毎年総会で拍手をもって決められる。壮年会、婦人会、青年会はそれぞれのもつちからに応じた働きをする。毎年春に行われる総会では、教会の修繕や牧師の給与といった主な予算と決算の詳細が決められた。牧師は、自らの給与の内容が議論される間は退出する。
会員数が100人に満たない小さな教会の、これが運営だった。