冬の衝撃
子供の頃、父親が音楽好きだったものの自分はまあまあで
「いい曲だな」と思ったものは父親にくっついて店に行き、レンタルで済ませていた。
音楽番組などを観てのレンタルだったから
SMAPとかスピッツとか、その時の流行歌が中心。
そんな頃
両親と兄弟がスキー旅行に行く中、冬期講習のため自分は残って勉強。
合間に付けたテレビで衝撃の出会いを果たす。
シャ乱Qの「ズルい女」
髪の毛をワックスでツンツンさせ、化粧を施し、他に着るとしたら美川憲一ぐらいでは?(当時)としか思えないビカビカの衣装。
なんかよく分からんけどねっとりした歌い方。
後ろに控えるメンバーたちも金髪ロン毛だったりグラサンだったり、なんかちょっとマトモそうな人もいるけど(まこっちゃん)、この中にいるのだからマトモではないだろう…。
でも何か凄い!!
何が凄いんか分からんけど、かっちょいい!!
え、逆にクールじゃね?
と思ったかどうかは忘れたが、とにかく田舎のダサ小学生には何から何まで衝撃すぎた。
一言で言えば「つんく最高!」となった。
その後は年末だけあって音楽特番は山盛りで
新聞のテレビ欄で音楽番組をチェック。
勉強の合間にシャ乱Qを観るという生活。
スキーから帰ってみれば、トンチキな格好したオッサンにどハマりしている我が子を見て両親の胸中はいかばかりかしれない。
というか、内心修羅場。
そんなことは露知らず、興奮冷めやらぬまま年明けてお年玉を握りしめCD屋に向かい、レンタルではない自分だけのCDを手にしたのは言うまでもない。
そして祖父からお古のラジカセをせしめ、自分だけの部屋がなかったため畳の間の仏壇から電源を取り、狂ったように「ズルい女」を聞きまくる毎日。
ご先祖様もさぞ、困惑したことだろう。
シャ乱Qは百歩譲っていいとして、何で「ズルい女」よ!!
と、きっと誰もが突っ込みたかったはず。
小6にあの歌詞が分かるのか?と。
しかし、そこからさらにヒートアップしアルバムを買い、続くシングル「いいわけ」「涙の影」を買い、仏壇前でのシャ乱Qタイムは続投。
流れるCDを聴きながら、仏壇前でシャ乱Qを口ずさむ小6。
カオス。
しかし、このシャ乱Q好き。
親も先祖も困惑しかなかっただろうが、素敵な繋がりも生んでくれた。
当時読んでいた雑誌で、漫画家さんの近況に「シャ乱Qが好き」の一文を発見し、興奮してファンレターを送付。
漫画の感想を書きつつも、自分もシャ乱Qのファン!と併記したらキャライラスト付きで返事が届いたのだ。
そして、まるで文通のように数回に渡って手紙のやり取りができたのはいい思い出となっている。
ファンレターを出すことなど後にも先にもこれだけなので、その漫画家さんの対応は良くあることなのか神対応なのかは分からないが
「雑誌に載ってる漫画家さんと交流できた」という貴重な体験を、シャ乱Qはもたらしてくれた。
そして、プロは鉛筆描きでも神イラストだなと知ったのもいい経験。
手紙には「ライブ行くよ!」とも書いてあり「大人の財力!!」とはなったものの、当時の自分にはライブなんて訳分からん世界過ぎてCDの方が身近だったことも若干記憶に残っている。
羨ましいよりも「そういうところに行けるの凄い」って感想。
そんな年代の初CD話。
余談だが、講習のため残った時に祖母がとった店屋物の鍋焼きうどんが美味すぎてシャ乱Qと同じくらい印象に残っている。
冬期講習のことは欠片も覚えていないため、小6の冬休みの思い出は鍋焼きうどんとシャ乱Q。
(大家族だったので鍋焼きうどんを宅配したのなんて最初で最後。未だに冬の宅配鍋焼きうどんは至高の一品すぎる)