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阿蘇山:中岳、高岳(2022.8.8)①
地元の方や登山する方はご存知だと思うが、阿蘇山という山はなく、阿蘇五岳という代表的な5つの山から成っている。
その五岳を、2021年10月から2022年8月にかけて、3度に渡りやっとコンプリートした。中でも、2021年10月に中岳が噴火したことによってしばらく中岳、高岳へは登頂が叶わず、熊本には何度となく行っていたのにこんなに遅くなってしまったというわけだ。
ちなみにこの期間、仕事で熊本に6泊しており、8月8日が3日+3日の仕事の合間、唯一のオフだった。ちなみに仕事では阿蘇の南外輪山に毎日行っており、唯一のオフにも登山に行くと言ったら「本当に山、好きなんですね」と呆れているのか感心しているのか、ほうっと息をつきながら言われた。7日間毎日山に行く生活は初めてだ。なんて幸せな夏だろう。
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仕事で泊まっているホテルを出発し車で1時間半、仙酔峡の登山口へ向かう。途中、異様な雰囲気の仏舎利塔の横を通る。廃墟のようである。
駐車場は思いの外空いていた。真夏は逆にシーズンオフなのだろうか?阿蘇山ともあろうところが、両手で数えられるくらいの台数しか車が泊まっていない。
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下調べの結果、仙酔尾根は結構きつそうだということがわかり、めずらしくピストンになるルートを選択。
これまた廃墟になっているロープウェイ跡を上り、仙酔尾根コースと合流するルートだ。おそらくほとんどの人は上りを仙酔尾根、下りをロープウェイ跡というルートで行くらしく、上に着くまでほとんど誰にも会わなかった。
廃業になったロープウェイの醸し出す異様な雰囲気も相まって、まるで人類滅亡後に一人歩いているような気分になった。
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ロープウェイはかなりの廃墟感だったのでいつ閉業になったのか後から調べてみたところ、最後に運行したのは2010年とのことだ。
施設というのはたった十数年でこんな異様な雰囲気になるのか…と驚いた。
また、草千里側にある阿蘇山ロープウェーについても2014年に廃業しているそうだ。そこで気づく、私は閉業の1年前にロープウェー乗り場に来たことがある!
2013年夏、その時が私にとって初熊本であり、大観峰を抜けてこのエリアにもドライブに来たのだった。しかし当時の火山レベルが3くらいありロープウェーは運休していて、乗ることは叶わなかったのだった。
あの時の生きた建物の様子がなんとなく思い出され、今後の人生、こういうことが増えていくのかもしれないなと思った。
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ロープウェイの廃墟の他にも、噴火から身を守るためのシェルター跡みたいなものもあり、ますます異様な光景だった。ちょっと『火の鳥』っぽいな、と思った。
火山ガスも想像以上に絶えず噴出していて、風向きによってはしっかり息苦しくて命の危険を感じた。湿らせたハンカチを口に当てるとかそういう知識がこの時はなく、しかしその翌々週の十勝岳では発揮できたので良い学びになった。
つづく。