美味しすぎない「お子さまランチ」
福島駅東口から徒歩10分ほど。今では「カロリー」という単語に良いイメージを持つ人は少ないと思うが、昔はハイカラなワードだったのだろう「菊原キッチンカロリー(1961年創業)」。同じく福島県矢吹町にも「キッチンカロリー(1967年創業)」があるくらいだから、時代がつくった店名なのだろう。
古めかしいビルの階段を下ると、艶っぽいショーケースの中に食品サンプル。このお出迎え感こそ昭和のレストランだ。本来はココでワクワクとオーダーを悩むべきなのだけれど、今回は心に決めたメニューがあった。その名も「ゴールデンランチ(800円)」。給仕のお姉様が「大人のお子さまランチと呼ばれてるんですよ」とにっこり微笑む風景は、まるでつげ義春の漫画のひとコマのようだ。
大皿にいっぱいの洋食たち。何が盛られてるとかはどうでもイイ。冷凍だとか手づくりだとか詮索する必要もない。ひと口ごとに異なる味が訪れ、自然と笑顔になる。大人がお子さまに帰る瞬間だ。
「美味すぎない」で由とする価値基準を持つと、色んなことが見えてくる。外食しても疲れない。心なしか笑顔の客が多い気がする。福島弁のおばちゃんとの会話ががあたたかい。うん、また来ます。
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