美味しすぎない「カツサンド」
幸いにもこの街はまだ外出制限が掛かっていない。散歩がてら不要不急のパンを買いに行こう。東北も枝垂桜は九割がたに咲いており、道中、老舗の和菓子屋の前は例年どおりに賑わっている。
歩くこと三十分ほど。正午すぎに着いたパン屋にはパラパラと商品が残るのみだった。おそらく店主の娘であろう子どもが辿々しく接客している。
天然酵母も自家製酵母もうたうことなく、国産小麦や天然水についての蘊蓄も見当たらない。高等学校のそばに店を構える「ぱんくらす」にとっては、若者の胃を満たすことが生きる道