お子様の原因不明の発熱は?
新年度が始まりました。幸運なことに、我が家の問題児、担任は持ち上がりで、仲の良い子と同じクラスになることが出来ました。
息子は軽度で発達障害がありますが、長年の経験で、息子にとって、良い先生かどうかは、私への最初の一言で判断できます(笑)
毎年、息子のトリセツを担任にはお渡ししているのですが、昨年から受け持っていただいている現担任の最初の一言は、「お母さんのトリセツ、とても助かります。まだ、理解できてない部分も多いので、またいろいろ教えてください。」でした。
ホントに良い先生は、自分を客観的に見れているので、こういう言葉になるのだと思います。
一番、息子には、ダメだった先生は、「昨年度、発達障害のお子さんを受け持っていますから、ご安心ください。」「私は、小児精神科の先生ともお会いしてわかっていますから、大丈夫です。」とおっしゃった先生でした。発達障害は、そのお子さんお子さんで、困り感も違います。案の定、息子はこの先生方を信頼できず、保健室に逃げる毎日でした。
一番は、こどもが先生を信頼できるか、先生がクラスひとりひとりのお子さんとしっかり向かい合えているかだと思います。
毎年、後者のタイプの先生の場合、37℃後半まで発熱して、早退や欠席することが多いのですが、お子さんが原因不明の発熱で困った経験があるお母さまも多いのではないでしょうか?
いまや成人である長女が、小学校1年生のときに、3週間くらい、原因不明の微熱(37℃~37℃後半)が続いたことがあります。同じクラスの仲良しの友達2人も同様の症状で、日替わりで誰かしら早退していました。感染症があるかどうかは、血液検査で炎症マーカーを調べるとわかるのですが、皆、数値は正常。お友達にいたっては、溶連菌、マイコプラズマなど、ひととおり調べたそうですが、3人とも原因不明。
しかし、学校行事のクラス対抗長縄跳び大会が終わると、平熱に戻ったのです。小児科の先生が、「ストレスかなぁ?」とおっしゃっていたのが、どんぴしゃだったようです。
当時のクラスは、運動神経の良いお子さんばかりで、6年生のクラスと学校1位を争っており、毎日の朝練が必須。おそらく、担任の過剰な期待がストレスとなっていたと思われます
このように、ストレスが原因の発熱の場合、解熱剤は効かないことがほとんどです。細菌やウイルスが原因の発熱は、白血球やマクロファージなどのウイルスを食べてやっつける免疫細胞が働き、「サイトカイン」という発熱物質を作り出します。これは、ウイルスをやっつけるためには、平熱よりも高い温度が必要となるためです。しかし、ストレスが原因の発熱の場合は、ストレスに対応するため、交感神経を経由して、脂肪細胞を燃焼させることで、体温が上昇すると考えられています。
お子様の場合は、成育歴に問題がない過剰適応タイプと成育歴で行動面に課題がある発達課題タイプに分かれるため、それぞれのタイプによって対応が異なってきます。長女を含む女子3名は、当時、クラスの中では「良い子」であり、縄跳びも得意であり、過剰適応タイプでした。相手の要求に合わせ、自分の要求を我慢し、自身への要求水準が高いことが多いです。
このタイプのお子様への対応としては、
①周囲の提案に無理して合わせる必要がないことを本人と確認し、スモールステップをこころがける
②頑張り度を確認し、7~8割方の適度を提案する
③周囲の目を気にすることが多いので、困ったときにどこに行くまたは誰に相談するか決めておく
④体調に合わせて無理に参加せず、休むことへの罪悪感を軽減する
以上4点が考えられます。
漢方薬では、気虚(生命エネルギー、精神コントロール、カラダ全体のコントロール機能である「気」が不足している状態)が認められることが多いので、「補中益気湯」が効くという報告があります。比較的苦みが少なく、服用しやすい漢方薬なので、お子様でも飲めるかもしれません。
余談ですが、翌年も同じ担任で持ち上がりであったため、担任に直接、児童への精神的負担の軽減を訴えたため、朝練はなくなり、発熱者も出ず、長縄跳び大会の成績も、校内歴代最高記録を樹立しています。
参考)中村和弘:ストレス性体温上昇の作用機序―感染性発熱との比較から,Jpn J Psychosom Med 60:203-209, 2020岡田あゆみ:小児の心因性発熱(機能性高体温症)の診断と治療 ―神経発達症との関連について, Jpn J Psychosom Med 60:217-226, 2020高橋昌稔、岡 孝和、辻 貞俊:日本東洋心身医学研究会EBM作業チーム調査報告 心身症およびストレス関連疾患に対する漢方治療のエビデンス 7)心因性発熱,日本東洋心身医学研究 第23巻・第1/2号,93-94,2008