![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/67526555/rectangle_large_type_2_b98c608f01af1dc3381693e7ecec6039.jpg?width=1200)
人との出会いから自分の種が見つかる場所へ | LAC和歌山コミュニティマネージャー・宮原崇さんインタビュー
「自分らしくを、もっと自由に」をテーマに、自宅やオフィスにしばられないオフグリッド生活を推進する”LivingAnywhere Commons”。
2021年10月には新たに拠点が5つ、11月には2拠点が加わり、全国約27ヵ所の滞在先で宿泊が可能になりました。
今回はそんな全国にあるLACの拠点のなかから、和歌山県和歌山市にある「LivingAnywhere Commons和歌山」(以下、LAC和歌山)のゲストハウスRICOさんをご紹介。
コミュニティマネージャーを務める宮原崇さん(以下、宮原さん)にインタビューをするなかでみえたLAC和歌山の魅力についてお届けします。
設計事務所での独立を視野に和歌山へ。ゲストハウスRICO開設のきっかけとは?
ー宮原さんがゲストハウスRICOを立ち上げたきっかけを教えてください。
私は地元が和歌山で、大学卒業後は大阪の設計事務所で約8年間働いていました。
働いて4〜5年経ったころかな?そろそろ和歌山に戻って、設計事務所を立ち上げようと思っていたんです。
そんななか、2015年にゲストハウスを作るというプロジェクトがスタートしました。そこに参加したことがゲストハウスRICOをつくったきっかけになります。
ー宮原さんは設計のお仕事をされていたんですね!現在はゲストハウスのなかで宿泊や飲食のお仕事もされていますが、もともと興味はあったんですか?
はい、設計事務所で独立しようとした時、どうせならちょっとコーヒーが飲めたり、昔からの友人が宿泊できたりと、人が集まれる場所にしたいと思っていたんです。
ゲストハウスを運営することになって、当初想定していたよりも規模は大きくなりましたが、バルや宿泊業をやるなど、当時描いていた夢が叶いました。
LAC和歌山は「泊まる・働く・暮らす・食べる」が揃う全国的にも珍しい複合の場
ーゲストハウスRICOさんの施設概要を教えてください。
ここはもともとアパートでした。
1階を昼はコワーキングスペース、夜はバルとして活用し、2〜3階は賃貸、4〜5階はゲストハウスとして利用しています。
実際に僕らもこの建物に住んでいますし、もともと借りていた人もそのままここに住んでいます。
LAC和歌山のホームページに記載はありませんが、他にも中長期滞在者向けのキッチン・家電付きの部屋、和歌山市に移住したい人向けのお試し居住のための部屋もありますよ。
ー飲食と宿泊が併設したゲストハウスはよくありますが、もともと住んでいる人がいるのは面白いですね!
そうですね。ゲストハウスRICOは「泊まる・働く・暮らす・食べる」の全てが揃う複合の場なんです。
ここに集まる人は、年代も違えば住んでいる場所も違います。地元の人がいたり、海外の人がいたり、本当に幅広くて面白いんです。
多様な人が集まる場だからこそセレンディピティを大切にしたイベントを開催
ー実は私、以前LAC和歌山にお邪魔したことがあるんです。その時1階のバルでイベントをしていて、それをきっかけに素敵な出会いがありました。ゲストハウスRICOさんでは、定期的にイベントを開催しているのでしょうか?
はい。私たちがやっているイベントには、「ムモクテキ会」「持ち寄り朝ごはん会」などがあります。
また1階のコワーキングスペースをレンタルスペースとしても貸出しているので、みなさんの持ち込み企画も歓迎です。
ー「ムモクテキ会」「持ち寄り朝ごはん会」とはどんなイベントなんですか?
RICOに集まる人々が本当に多種多様で面白く、なにか交流できる場を作りたいというところからこのイベントがはじまりました。
ゲストハウスRICOでは、人との偶然の出会いによってもたらされる“セレンディピティ”(※)や“Find your Seeds”というコンセプトを大切にしています。
(※)偶然出会ったり、予想外のものを発見すること。ふとした偶然をきっかけに、幸運をつかみ取ること。
これはつまり「偶然の出会い」のなかで場の共有、時間の共有、体験の共有を通じて「自分の種、大切なもの、自分の軸を見つけよう」ということなのですが、「ムモクテキ会」「持ち寄り朝ごはん会」は、そんな想いを軸に行っています。
みんなで朝ご飯を食べながら交流したり、目的なくその場に集まった人同士で話したり。
今はコロナもあって回数が減っていますが、落ち着いたらまた再開したいと思っています。
ー実際にそういった偶然の出会いのなかで、宮原さんの印象に残っているエピソードはありますか?
そうですね。以前、ムモクテキ会に参加してくれたプログラマーさんがいたんです。
その方は宿泊で来てくれたんですが、よくよく話を聞くと、本当はネオン菅のデザインをやりたくてアメリカで修行した経験もあると話していて…。
そんな話を聞いて、私の知り合いに和歌山でLED照明をやっている知人がいたので工場見学に行けるよう手配しました。
その後彼は工場見学に行ったのですが、そこの社長がたまたまネオン管デザインの日本の巨匠と知り合いで。
結局その彼はわずか2週間でその巨匠に弟子入りし、長崎に移住してしまったんです。
ムモクテキ会では、その人の人柄や何をしたいのか?をじっくり聞いていきます。あの会をきっかけに、良い結果につながったのはとてもうれしいですね。
スタッフ全員がコミュニティマネージャーの意識を!宮原さんが教える相手を尊重する大切さ
ー実際にLAC和歌山の拠点になったあと、宮原さんはコミュニティマネージャーとしてご活躍されていますが、コミュニティマネージャーとゲストハウスオーナーで仕事の違いはあるんですか?
正直、特に違いはありません。
私は、RICOに関わるスタッフ全員がコミュニティマネージャーと呼べるような振る舞いをしていると思っています。
新しくRICOに来たスタッフには、最初オリエンテーションでRICOの理念である“Find your Seeds”をしっかりと説明し、それを実現するために必要な人との関わり方や環境の作り方についても細かく共有します。
その結果、一人一人が私と同じく、コミュニティマネージャーとしての役割を果たしてくれているなと。
ー私もLAC和歌山を利用した際、関わってくれる全てのスタッフさんの絶妙な距離感がとても心地よく感じたんです。実際に宮原さんがスタッフさんを育てるなかで大事にされていることはありますか?
相手を尊重し、寛容であれという話はよくしていますね。
何に対してもチャレンジしやすい環境を作ること、それぞれの人が思い思いに過ごせる場所を作ること、そういった話を通して、スタッフ一人一人がお客様との距離感をよくみて動いてくれているんでしょうね。
みんなの種を見つけるために!課題は30〜40代の利用を増やすこと
ー宮原さんは普段ゲストハウスRICOのなかでどういったお仕事をしているんですか?
ゲストハウスの運営や清掃、コワーキングの管理などは今いるスタッフに任せています。
私は予約管理などの事務的な仕事をしたり、飲食やイベントの企画をしたりしています。あとはそれ以外に建築設計、不動産に関わる仕事、和歌山市がもっと活性化して楽しくなるように、行政からの委託事業等をしています。
とにかく自分が楽しいことを!本当休みなく働いてますね(笑)。
ーゲストハウスの運営で課題に感じていることはありますか?
RICOのコンセプトは“Find your Seeds”なんですが、現状としてまだまだ自分の種を探しているような若い世代の利用が多いと感じています。
LACの拠点になってから、すでに軸が定まっている30〜40代の利用者も増えました。そんな30〜40代の利用者さんの話は、若い世代にとても刺激になるんですよね。
だからこそ30〜40代の利用を増やし、もっとみんなにとって種をみつけやすい場所にできたらいいなと思います。
一緒に仕事をしたい人も募集!いろいろな関わりを通して和歌山の魅力を知って欲しい
ー宮原さんの考えるLAC和歌山や和歌山県の魅力ってなんですか?
和歌山って、すごくちょうどいい街なんですよ。
少し行けば海も山も川もある一方で、都会の良さもあります。
釣りやサーフィンなどのレジャーも豊富で、わざわざそのために近隣の県から移住する人もいるくらいなんです。
あとは、みんなすごく穏やかでゆったりとしているのも魅力ですね。「和歌山時間」という言葉があるくらい、おおらかで温かい人が多いので。
ーRICOに来た方にぜひ行ってほしい宮原さんのおすすめスポットやグルメを教えてください。
少しRICOからは離れますが、世界遺産の熊野古道はぜひ行って欲しいですね。
また、那智勝浦という港では、マグロがすごく有名で美味しいですよ。自然もたくさんあるので水上アクティビティや川下りもできます。
ぜひ仕事をしながらも色んな和歌山を楽しんでほしいですね。
ー最後にLAC和歌山の利用を検討している方にメッセージをお願いします。
そうですね。今RICOでは、色々なプロジェクトにLACの会員さんも巻き込んで、一緒にお仕事をする機会が増えています。
2021年11月にも和歌山市移住定住戦略課の事業で、古い商店街の空き店舗に移住したい人がトライアルで出店してもらうイベントを開催したのですが、そこにLACの会員さんも関わってくれています。
宿泊だけでなく、一緒に何かプロジェクトをやってみたい!という人もぜひ声をかけてくれたら嬉しいですね。
一緒に仕事をすると、もっともっと和歌山の魅力を感じることができると思うので。
《ライター:蓑口あずさ》