会津磐梯地域プロジェクト進行のための2日間のフィールドワークに参加!
7月29日〜30日、株式会社LIFULLと磐梯町・七ツ森関係人口まちづくり協議会が主催となり、観光コンテンツ創出プロジェクトが開催されました。
開催場所はLivingAnywhere Commons会津磐梯拠点で、総勢26名の方が参加。バスで移動をしながら各観光資源の視察とコンテンツづくりのワークショップを行い、充実したプログラムで盛り上がったイベントとなりました。
フィールドワークイベント概要
今回のフィールドワークは、磐梯山エリアやその周辺エリアに住む住民の方を対象にした、観光コンテンツ創出を支援するためプロジェクトの1つ。
地域の魅力を再発見するため、現地に足を運び、参加者で意見を交換し合います。ゲストスピーカーの古田秘馬さんからは、コンテンツ作りのノウハウを学び、実際に参加者も手を動かしてプロジェクトを考えました。
磐梯山エリアにある観光コンテンツや自然資源をどのようにコンテンツ化させてプロジェクトとして進めていくのか?そのために必要なノウハウや気づきが数多くあったフィールドワークイベントでした。
ゲストスピーカー古田秘馬さんとは?
古田秘馬さんは、地域プロデュース・企業ブランディングを手がける株式会社umariの代表取締役。農業実験レストラン「六本木農園」や日本の食文化を次世代に継承する三世代で学べるレストラン「むかしみらいごはん」など、都市と地域、世代をつなぐ仕組みづくりを行っています。
古田さんが手がけた中でも印象深いのが「UDONHOUSE」のお話。
”うどんが作りが楽しめるゲストハウス”をコンセプトに体験型宿泊施設を作り、非観光地エリアにも関わらず、多くの外国人観光客を誘致しました。
当イベントでも、「地域プロジェクトを企画する上でこのエリアにしかできないこと、それを特化するのが大事」とおっしゃっていました。
磐梯山エリアの視察とワークショップが組み込まれた2日間のイベント内容
■磐梯町ってどんなところ?
人口3,500人の小さな町ですが、年間113万人もの観光客の方が来ています。(昨年2019年調べ)
加えて磐梯町は磐梯山の恩恵を受け、「水」が綺麗なことで有名な町。
水が綺麗なので、米、野菜、果物、酒、花、はちみつ、そば、カメラレンズ(SIGMA)などが特産品となっています。
「共通資源である磐梯町の自然を今後どのように生かしていくのか?」
これが今回の地域コンテンツづくりのワークショップで最も重要なポイントです。
参加者たちはこのポイントを軸にしてアイデアを練り上げていきます。
1日目午前:古田秘馬さんから、コンテンツ作りノウハウを学ぶ
今まで数多くの地域プロデュースを行ってきた古田さんから、地域コンテンツづくりのノウハウを学びます。
「そもそもコンセプトとアイデアの違いは何か?」と古田さんが参加者に問い、参加者がそれぞれ「アイデアは考えること、コンセプトは目標?」など答えていきます。
古田さんはコンテンツを作る上で、この違いを明確に知っておくことが大事だと言います。
コンセプト:WHY、プロジェクトの本質、哲学、意味づけ
アイデア:HOW、具体的な企画内容、演出、仕掛け
以上のコンセプトとアイデアの違いは、それぞれ4つの言葉で表していました。
「プロジェクトを『なぜやるのか?』と『どうやってやるのか?』の違いです」
という古田さんの言葉に参加者も頷いていました。
「子供たちの笑顔溢れる街にしたい」→方法がなければ成功しない。
「ゆるキャラを作りたい!」→手法は良いが、目的がないと成功しない
コンセプトとアイデアを分けて、双方をしっかり考えなければプロジェクトは成り立たないことを学びました。
古田さんのプロジェクトの実例紹介をもとに「どのようにコンセプトとアイデアを考えていくのか」を深堀りしていきます。
▼古田さんが手がけたプロジェクト
【丸の内朝大学】
https://youtu.be/gCyPQPILVS8
・コンセプト:プライベートでも仕事でもない、大人の朝大学
・アイデア:思うように時間の使えない会社員の朝の1時間を有効活用。会社員が行き交う「丸の内」にキャンパスを設ける。
古田さんは、自身のプロジェクトを紹介しながら、「このプロジェクトは、誰にとって価値があるのか考えるのが大切」とおっしゃっていました。
例えば、”海辺のボロボロの空き家”は多くの人には価値がないものに見えるかもしれないが、サーファーにはめちゃくちゃ価値のあるものかもしれない。などターゲットを明確にすることで、資源に付加価値をつけられます。
自身のプロジェクトにどんなユーザーが当てはまるのか、参加者も想像を膨らませていました。
コンテンツづくりで重要な要素を学んだあと、参加者に配られたのは、この2枚の用紙。
【1枚目(写真左)】
■みんなが感じる地域の現状の課題とは?
■課題の原因の深堀り
■課題を解決する方法・機能とは?
■そのサービス・アイデアは誰のためになるのか?
【2枚目(写真右)】
■そのアイデアを実現するために必要なこと
■プロジェクトタイトル
■サブタイトル
■プロジェクトの概要
■地域で決めるべきやりたくないこと
参加者それぞれ、現段階で進めているプロジェクトや、現在地域が抱えている課題などを含めてプロジェクトを考えました。
▼参加者のプロジェクト例
・田んぼクエスト:磐梯町の本当の自然を伝えたい
・オンライン猟師:オンラインでイノシシを捕獲できる
・そばを使った体験:そば作り&そば殻で枕作り
磐梯山エリアでできること、そして参加者が熱量込めてやりたいことを各々発表。
「磐梯山の自然の豊かさを伝えたい!」
「学生がワクワクするまちにしたい!」
という地域おこし協力隊の方々の想いに対し、古田さんは、
「自然を求めて磐梯山に来る人とはどんな人なのだろう?」
「学生は具体的にどんなことでワクワクすると思う?」
など、想いを形(コンテンツ)にするためのアドバイスや深掘りをしていました。
実際に想いを口に出して、意見交換をすることで、プロジェクトに必要な要素を考える有意義なワークショップとなりました。
1日目午後:磐梯町地域おこし協力隊の取り組み視察ツアー
バスに乗り込んで、いざ視察ツアーに出発。
実際にどんなコンテンツが生み出せるか?具体的なアイデア出しを目的として現地視察をします!
磐梯町地域おこし協力隊の方たちが進行させたいプロジェクトを順に視察しました。
▼1日目視察内容
・慧日寺近くの鳥獣仕掛け
・磐梯町駅舎とその周辺
・猪苗代湖、みなとや
磐梯町駅舎視察では、「学生がチャレンジできる場所として、コワーキングスペースを作りたい」と地域おこし協力隊の石田さんが語りました。
現場を見た古田さんが「場所をどうにか活用しよう!という思考ではなく、コンセプトを先に決めるとアイデアが出やすい」と一言。
この一言をきっかけに、
「やる気の出る駅舎はどうだろう?改札入る時は必ず高校生とハイタッチしないと通れないとか?」
「ホームで高校生の応援団が通勤・通学中のみんなにエールを送ってくれるみたいなのがあると面白そう」
など、参加者同士で意見が飛び交いました。
実際にハイタッチして駅舎をくぐってみることに。
「やっぱりハイタッチ気分上がるね!」
「これはやって見たら面白いかも!」
と、アイデア実現に向けて話が盛り上がりました。
2日目午前:磐梯自然資産・地ビール館視察ツアー
2日目も朝9時から始まり、現地視察とワークショップを行いました。
▼2日目の視察内容
・田んぼクエスト取り組み視察
・世界のガラス館、猪苗代地ビール館視察
猪苗代地ビール館での視察では、「駐車場の空きスペースを有効活用してもらいたい」と、担当の鈴木さんが悩みを打ち明けました。
1日目の駅舎視察で学んだように、「スペースを活用する」という思考では、コンテンツも人も集まりません。
ではどうすればいいのか?
「みんなで作り上げるコンテンツがあればいい」と古田さんはアドバイスしていました。
各々が勝手にフリーマーケットをするのではなく、1つのテーマ(コンセプト)を立てて、一緒に取り組むことが重要とのこと。
空きスペース活用したいという課題はどこの地域でもあります。
参加者も同じような課題に悩んでいる様子で、古田さんの話を真剣に聞いていました。
2日目午前:天授ファームにてトマト狩りワークショップ
最後の視察は、参加者全員で天授ファームでトマト狩り。
天授ファームのトマトは磐梯山の美味しい「水」にこだわって育てられたトマトの糖度は7度以上と平均を超えた甘さが魅力です。
天授ファームの鈴木さんからトマトの説明と狩り方のレクチャーを受け、パックにトマトをつめていきます。
ミニトマトも、M玉トマトもパックにつめ放題ということで、参加者も大喜びでトマトを狩っていました。
実際に私も現地でトマトを食べさせてもらいましたが、本当に糖度が高くびっくりしました。皮も薄く、食べやすい「プチぷよトマト」が印象的でした。
磐梯山の美味しい自然の恵を噛みしめ、磐梯山エリアをより一層盛り上げようと全員が思った視察でした。
2日目午後:ワークショップ・発表
最後はLivingAnywhere Commons会津磐梯拠点に戻り、ワークショップとそれぞれ2日間で考えたプロジェクトを発表しました。
ワークショップでは、企画の実施の流れを古田さんから学びます。
▼プロジェクト実施の流れ
①テーマ設定(コンセプト)
②プランニング(アイデア)
③場所、キャスティング
④ネーミング、コピーディレクション
⑤プロモーション
⑥全体プロデュース・統括
⑦アフターフォロー
⑧意思を受け継ぐ人材を見つける→育成する
基本的な進行の流れは変わりませんが、古田さんは「必要であれば、勇気を持って軌道修正をするべき」とおっしゃっていました。
「1回で企画がうまく通るわけはない」という柔軟な気持ちも良い企画運営につながるようです。
プロジェクト進行方法を学んだあと、1日目に考えた地域プロジェクト案をブラッシュアップして参加者同士で発表し合いました。
▼参加者ブラッシュアップ企画案
・食べられる商店街:商店街にプランターを置いて、野菜を育てて食べる
・日常を”藍”で染めませんか?:身近な自分のモノを藍で染める
視察やワークショップを重ね、より多種多様なコンセプトとアイデア案が飛び交いました。
参加者の表情も1日目とは違って、自信を持って発表している様が印象的でした。
まとめ
私たちの施策によって、地域はいろんな形に変えられます。
現地視察で会津磐梯には豊富な自然や観光資源が揃っていることを知り、これらをどうやってうまく使うか?どうやってPRして集客するのか?いろんな人と意見交換する場はとてもいい機会でした。
プロジェクトにおいて見るべき視点は、「私たちの主観ではなく、ユーザー目線で捉えること」であったり、「アイデアとコンセプトを別で考えること」でした。今後プロジェクトを発足させるにあたって必要なノウハウを教えてもらいました。
次回に行われる「サポート人材とのマッチング」イベントで、2日間の学びをもとに考えたプロジェクトがどのように進んでいるのか確認できるのが楽しみです。
今後も株式会社LIFULLと磐梯町・七ツ森関係人口まちづくり協議会主催のもと、プロジェクトを実施すべく「人材マッチング」や「成果発表」イベントが開催予定です。
1つ1つのプロジェクトを地域が一緒に作り上げることで、より良い実現に向けて進んでいくでしょう。
《ライター・三川璃子(りこぴん)》