自分らしく、新しいライフスタイルがここにある | LAC信州乗鞍・山本拓郎さんインタビュー
岐阜県と長野県の県境、標高3000m越えの乗鞍岳の麓に広がる乗鞍高原に、Living Anywhere Commons(以下、LAC)の拠点が新たに加わりました。
乗鞍高原は、登山やハイキング、温泉やスキーといった、観光とアクティビティが一年中楽しめる場所です。目に飛び込んでくるダイナミックな尾根が連なる景色は躍動感があり、都会にはない静寂さは心を落ちつかさせてくれます。
LAC信州乗鞍でマーケティングマーネジャーとして働く山本拓郎さんも、この乗鞍の自然にある「静」と「動」に魅了されたお一人。そんな山本さんに、乗鞍でみつけたという理想のライフスタイルについて、また乗鞍の魅力や地域が抱える課題についてお話を伺いました。
<山本拓郎さん>
千葉県から2021年4月に乗鞍へ移住。現在は、ゲストハウス雷鳥の運営やマネジメント、ジェラート&カフェ「GiFT NORiKURA」のコンセプト設計やオペレーションなどを担当。
自分の理想のライフスタイルを求めて
――山本さんが乗鞍に移住された背景について教えてください。
一番のきっかけは、Raicho Incの代表者である、藤江さんのブログにたまたま出会ったからですね。藤江さんが「これからの世の中のライフスタイルを変えていきたい」と発信されていたのをみて、自分も自分らしく生きてみようと思いました。
またRaicho Incでは、年に2回の1ヶ月休暇制度や定期的な連休が取りやすい働き方だったことも、ほかにはない魅力的でした。
というのも、前職は千葉県や茨城県など、おもに関東地方のキャンプ場やホテルの運営会社でいまと同じような仕事をしていて、比較的に自然に近い場所で働いていたので仕事内容に不満はなかった。ただ唯一、長期休暇が取れなかったことに、このまま歳を重ねていくだけの人生でいいのだろうか、と不安があったのです。
そんななか、藤江さんが発信されていた乗鞍での暮らしぶりや、藤江さんの乗鞍をより良くしていきたいという想いにインスピレーションを受け「自分らしく生きるために、より自然に近いところで暮らしてみたい!」と思った。
そうして最終的に乗鞍へ移住するきっかけになったのが、今年2月に初めて乗鞍を訪れたとき。それまでただイメージだけだった乗鞍という場所が、想像以上にスケールが大きく、一瞬にして心をつかまれてしまいましたね。
――実際に乗鞍に拠点を移されてみて、仕事や暮らし方の印象はいかがですか?
実は乗鞍に来たのはまだ今年の4月からですが、仕事も暮らしもいい意味でギャップを感じています。
藤江さんのこだわりや想いも、一緒に仕事をしていくことでより真剣さが伝わり、僕自身も目指したいところがより明確になってきています。仕事も徐々に任せていただいているので充実していますよ。
生活面も、藤江さんにはここに来る前からコンビニは車で40分かかるぞ、と脅されていましたが、都会のように便利なものがない暮らしのほうが自分に合っているなと。
以前のようなコンビニでご飯を買う生活から、地元の食材で自炊したりスタッフ仲間と一緒に食事したりと、前よりもあきらかに健康的でストレスフリーな暮らしができています。
自然はありのままの自分を出せる場所
――自然という言葉からは「癒し」や「リフレッシュ」を想像させられるイメージがありますが、山本さんは自然のどういったところに魅力を感じられますか。
大自然のなかにいると、自分がありのままの姿でいられるところですね。小さな悩みや不安は、自然のスケールに比べるとほんの些細なことだと考えさせられます。
僕はもともと青森県出身で自然豊かな場所で育ちました。大学進学で東京進出という人生で大きなチャレンジを経験したわけですが、いわゆるその経験が、いまの自分の姿へ通じるきっかけだったのかもしれません。
大学ではバイクで一人北海道へ旅行に行ったり、ブレイクダンスで自分を表現することが個性でありのままでいいんだという考え方に変わったりと。それまで内気だった自分がチャレンジしたことで解放できた感覚と、大自然のなかで自分らしくいられるという感覚とが同じだった。最近そんなふうに振り返ったりもします。
――自分らしく生きるって大事ですよね。ゲストハウス雷鳥を訪れる方も自分のライフスタイルを変えたいなど、リフレッシュ目的で来られる人が多かったりするのでしょうか。
ゲストハウスを利用される方は女性の割合が多いですね。驚くことにみなさんとても朝が早くて、5時から上高地へ散策ツアーに参加してから、戻ってきて9時ころから仕事という過ごし方をされています。
ここ乗鞍は標高1500mの国立公園のなかにあるため、雑多な音がなく、鳥のさえずりや新鮮な空気を吸って仕事に集中できる、というゲストの声も多く寄せられています。
そのため、普段の仕事や人間関係から解放されたい人がリトリート目的で訪れることもあります。
――乗鞍は自然が豊富な場所なので、親子ワーケーションとしての利用もよさそうですね。
そうですね。スタッフの一人が元小学校教諭の経験を活かし、自然保育サービスを提供しているので親子でご利用いただくのもおすすめです。
お父さんお母さんは日中ゆっくり自分達の時間を過ごし、子どもは乗鞍の自然のなかでのびのびと楽しむ。そして夕方にはまた家族そろってご飯を食べたり温泉に入ったりというように、まさに暮らすように滞在できます。
ゲストハウスには10台のモニター設置済みのワークスペースがあり、お部屋でも仕事ができるようにゲストルームにもデスクを設置しています。またより快適に長期間ご利用いただけるようにと、洋室のベッドをクイーンベッドにして質のいいマットレスを使用するなど、ワーケーションに適した環境整備に力を入れています。
乗鞍は決して交通便利とはいえない立地にあるため、もともと長期滞在向きの場所です。ご家族やグループで、ゆっくりとした時間を過ごしリフレッシュしてもらう。ここ雷鳥で実現できるように、ご自身の新しいライフスタイルに気づいてもらえるきっかけになるといいですね。
――LAC信州乗鞍で、山本さん一番のおすすめはなんでしょう?
ゲストハウスのおすすめは、なんといっても温泉です。
代表の藤江さんは温泉マニア。通常源泉かけ流しの温泉を毎日入れ替えて、清掃しています。「利用者の方々により新鮮なお湯に入っていただきたい」という藤江さんの想いです。
乗鞍温泉は硫黄の香りが楽しめる湯質で殺菌力も高く、いまのご時世でも安心して入浴いただけます。露天風呂は30分単位の予約制にしていますので、ご家族やカップル、お一人で、プライベート感に浸れます。
また乗鞍高原周辺には、上高地といった景勝地をはじめ、ハイキングや登山など四季をとおして見所がたくさんあります。
なかでも僕の一押しスポットは「一ノ瀬園地」。水と大地、そして山との一体感は、言葉ではいい表せないほど美しくまるで外国のような景色が広がっています。
ゲストハウス雷鳥では、冬の時期もスノーシューツアーを実施していて、ウェア類も最低限貸し出ししていますので、寒い時期でも乗鞍の自然の美しさを存分に楽しんでいただけます。
LAC提携は乗鞍の未来を期待して
――Raicho Incでは、サステナブルな地域づくりにも取り組まれているそうですね。
もともと乗鞍の自然の恵みを受けて雷鳥がなりたっているため、Raicho Incとしても乗鞍の自然を守ることこそ「自然と調和する」という考え方があります。
また国が指定するゼロカーボンパーク(国立公園の脱炭素化や脱プラスチックなどサステナブルな観光地づくりを実現していくエリアとして環境省が指定)第1号に乗鞍が登録されたこともあり、Raicho Incが地域の先陣を切ってアクションしていこう!と、動き出しています。
長期滞在やワーケーションの推進もサステナブルな取り組みの一つです。短期滞在の回数を増やすよりも移動回数を減らせる長期滞在へ切り替えるほうが、CO2発生量やCO2消費量を抑えられます。
LACとの提携は、こうした乗鞍の環境維持に関する課題認識と、乗鞍という地域の未来につながると考えたからです。
例えば、一ノ瀬園地にある白樺の森林化問題では、景観を維持するために地域で伐採活動を始めています。LAC会員のみなさまには、この伐採した木材を活用したクラフト体験をしてもらおうと検討中です。
前回試験的に、伐採した木材をそのまま使用したベンチ椅子作りを地元限定で開催しました。天然木だけのベンチ椅子を子どもも大人も一緒に作り、景色がいい場所に設置。
ポイントはただ作って終わりではなく、経過年数とともにベンチが朽ちていく、という自然の流れを体感してもらえるところです。
こうした自然への還元活動に参加してもらうことで乗鞍の魅力がより伝わり、関係人口や交流人口が増えていけば、若い世代の移住者も増える。
少しずつではありますが、乗鞍の未来を変えていくきっかけになるのではと期待しています。
――まさにコンセプトにされている「人と自然が共生する」ための地域づくりを目指されているということですね。最後にひとことお願いします。
乗鞍には、日本各地どこにもないスケールの大自然があります。そんな乗鞍は冬こそ訪れる価値があり、おすすめの季節です。山と大地が真っ白に一つになった景色はいいようがないほど美しく、空気も一層澄みきっている。ぜひそんな自然を体感し、自分らしい新しいライフスタイルをみつけにLAC信州乗鞍を訪れてみてください。
《ライター:りりから》