その30)タイムリッチ2・となり近所の活性化
ベーシックインカムになるとタイムリッチの人が増えます。それはとりも直さず時間を持て余す暇な人が増えるということでもあります。好きなことに没頭できる人は良いですが、暇な時間をどう使えばいいかわからない人も出てくるでしょう。
一方で、ベーシックインカムの給付額は1人暮らしをするには厳しい金額にると思われます。これは、家族で暮らせば光熱費など共有できるところが増え多少楽になります。そして、ベーシックインカムをそれ以上に効率よく消費するには近所同士で協力し合う体制が不可欠になっていきます。協力し合う家庭は2軒が3軒になり4軒になり・・・という感じで協力体制が膨らんでくるでしょう。理由は簡単で、家計は節約したいし、時間があるからです。
例えば、家族がなくなったとします。ベーシックインカム社会では、葬式にお金をかける余裕はありません。昭和時代のように、ご近所の協力で公民館やお寺を使って葬儀をするようになるでしょう。香典は、葬儀に必要な費用を協力世帯で出し合う感じになります。
皆が別々の野菜を作っていれば、お互いに融通し合うでしょう。これが食費を軽減します。暇だとしょっちゅう顔を合わせることになるので、町内のイベントなどを通じて、皆が親睦を深めます。食べることにはなんとか困らずに入るけれども、濃厚な近所付き合いをしているという状況になるでしょう。
協力し合うメリットは大きいので、連携する人は多いでしょう。雇用が無くなる代わりにそのような交流社会が生まれるのです。その中にリーダーになる人や、ルールを考えつく人、世話を率先してしたがる人、それを手伝いたい人などが出てきます。学校のクラスの中で、こうしたグループができていくのを経験した人はたくさんいるでしょう。
そんな学級会運営のようなコミュニティが10〜40軒単位くらいで出来上がっていく可能性が高いと考えられます。このコミュニティは生活を助け合うのが目的なので、所属する恩恵はかなりあると思います。
ここまで読んで「うわー、面倒くさい」と思った人もいるのではないでしょうか。ここからは、そんなコミュニティには属したくないという人はどうするかということを考えていきます。人間関係は面倒だけど、生活費は浮かしたい・・・これは人間関係が苦手な人の領域です。そんな人達が逃げ込むコミュニテイがメタバースです。
メタバース希望者専用の建物に入居し、クラウド上で交流します。アバターを使うので独立を守ります。ご近所づきあいはありません。ただし、施設は汚れるしゴミなどは出るので、最低限のルールは存在します。人間関係はクラウド上でのコミュニティです。肉体は維持できればいいので、食事は運ばれてくる給食や物資で賄います。
これらは両極の例です。その中間的な自治体とか、自治体に定住することを嫌って流れ者になる人もいるでしょう。ベーシックインカムの場合、そのどれもできてしまいそうなところが面白いと思います。ただ、どれにも共通しているのは人々がなにか関係し合って、生活の質を良くしていこうといるところです。
次回は、活性化した自治会の掟社会化とかカースト化について考えていきます。