見出し画像

AI x BI x ヒューマノイド 30年後のリアル 第8話

目覚めて初めて施設の玄関から外に一歩踏み出すと、視界に広がったのは懐かしさすら覚える風景。日本の地方都市らしい佇まいだが、まったく見覚えのない街だった。それでも、線路沿いを貨物列車が静かに走り抜けていく様子や、ゆったりとした坂道がどこか心地よい。目の前の長い坂を登り、少し歩くと、右手には賑やかさを感じさせる町並みが見えてきた。

「アーティ、人が多いところに案内してくれる?」
「右方向に進んでください。」

アーティに促され、街の通りを歩いていると、周囲にはいろいろな形や大きさの車が行き交っているのが目に入る。小型の一人乗りバイクや、十人ほどが乗れるバス、二トントラック。しばらく眺めていると、運転席に誰も乗っていない、もしくはロボットが運転席にいる車が多いことに気づいた。

「アーティ、あれってロボットが運転してるの?」

アーティが答える。「はい、ほとんどが自動運転やロボット運転の車です。ガソリン車は2050年に廃止されて、今は電気で動く車ばかりです。自動運転車やロボット運転車には免許が不要で、事故のリスクが高い自動車の運転免許取得には厳しい条件があります。」

安全性で人間がロボットに劣る、そんな未来の常識に軽い衝撃を受けた。自分で運転したい人には一人乗りのモビリティやバイクがあり、レンタルもできるらしい。さらに、自転車まで運転免許が必要だという。
信号が変わると、すべての車が整然と動き、街全体が緻密に管理されていることを実感する。

しばらく歩くと、目の前にコンビニが見えてきた。財布がないのを思い出し一瞬戸惑ったが、アーティが教えてくれる。「タツヤさん、限度額内ならベーシックインカムが使えますよ。左腕の装置で生体認証が完了していますので、そのまま支払いが可能です。」

なるほど、腕に装着したデバイスをかざせば、僕もこの未来の生活で買い物ができるらしい。しかし、ベーシックインカムとは一体なんだろう?そのうち聞いてみよう。

未来の街での最初の買い物に、少し胸が躍っていた。

(続く)

#近未来 #生活 #SF #AI #BI #ベーシックインカム #ヒューマノイド #ロボット #AIアシスタント #SF小説

いいなと思ったら応援しよう!