その53)代わる交通事情
ベーシックインカムが施行されている社会では、自動運転が主流になっている。EVは一時期普及が停滞したが原子力が自然エネルギーへの代替策として生産は復活した。多くの部品はリサイクルによって再生産されている。燃料電池や全固体電池が普及して軽量化したり、充電速度が早くなったり安全性が高まったのも大きい。
自動車の台数は大幅に減っている。コンパクトシティ化で公共交通やシェアライドが主流になった。公共交通は生体認証で乗り降りできる。石油は高騰し自動車税は高くなり、ガソリン車は公道で走れなくなった。自動車産業はEVに移行したため事業規模は大幅に縮小した。自動車を所持する人は減ったが、シェアライドで目的地に行けるため生活に必要な買い物は困らなくなった。ガソリン車は高級な趣味の乗り物としてサーキットなど専用道で走っている。
市民の簡単な移動手段としては自分が運転できる自転車や電動バイクが主流だ。こちらは法規制が厳しくなり、違反には罰金や科料がある。取り締まりはしないの監視カメラとロボットポリスが担っている。違反は補足され本人特定の通知とともに即罰金の支払いとなるので、違反をする人は少ない。ハッキングにチャレンジする若者が後を絶たない。
自動運転の普及によって交通事故が起きにくくなり、道路から信号機がどんどん減っている。道路も脱石油の観点から、アスファルトに代わる環境に優しい舗装が増えてきている。幹線道路は統廃合が進み、必要と判断された道路が再舗装されている。これらの道路は自動運転に最適化されている。
長距離移動は公共機関が主流だが、一部の富裕層はプライベートな車を持ち、それで移動する。自動運転なので、中で仕事や遊びに集中しながら移動するというスタイルになっている。