君のたばこ
6ヶ月ぶりに、別れた君に会った。
久しぶりに会った君は、すっかり変わっていた。メッシュパーマでチャラそうだった君が、ぺたんこな黒髪センターわけになっていた。
就活生らしい。
中学時代の君を思い出したよ。
付き合ってた当時、私がたまに吸ってたタバコ。
君があの時、眉をひそめて嫌そうな顔をしたね。
私はそれを見て、タバコを吸うのを辞め、
そっと車に片付けた。
でも今日、君のカバンから出てきたのは、
あの時私が好んでいた、あの銘柄のタバコだった。
一切、タバコを吸わなかった君が火をつけた。
私は見て見ぬふりをした。
匂いだけが 私の鼻に届いて、あの時の記憶を蘇らせた。
私は、帰りの車の中でひとり、静かにあのタバコを取り出した。
そして懐かしい匂いが車中に満ちていく。
助手席にまで漂っていく その香りは、まるで君の記憶を運んできたかのように、私をそっと包み込んだ。
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