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久しぶりに歴史小説を読みながら
新・平家物語(著者:吉川英治)を読んでいる。
もともと歴史小説が好きなほうで、司馬遼太郎の有名な書籍はだいたい読破
してきたが、ステイホームの余った時間を利用しようと、3年ぶりぐらいに
読み始めたのである。(全16巻の大作)
大学生の時や、20代の社会人時代に読むときは、主人公のビクトリーロー
ドページ(栄華)を追いかけていたが、どうも今回は違う。
主人公に敵対する者の気持ちまで察して、哀れな人間社会の業というか情緒
が感じられ、宇宙的な感覚に襲われるのである。
『祇園精舎の鐘の音。諸行無常の響きあり。』
能を大成した世阿弥は、『平家物語の一説はそのまま使えばいい』と言っ
て取り入れたとか。純粋なる人と人とのドラマがこの作品の魅力なのかな。
次に京都を観光したら、景色がまた違って見える気がする。
作者不明で、盲目の琵琶法師が語り継がれたらしいが、当時から現在まで
人の世は変わらずはかない。
『奢れるもの久しからず。』