2月26日

休館日のフロアは広い。
管理庫の鍵を持って、ずっと先の曲がり角で作業してる人の姿を見ながら、斜めに灰色の床を切っていく。非常扉のついた大きな、3階建ての高さほどある可動式の壁を動かして、安全点検をしているようだった。傍から階段をあがると掃除婦の女の人がちょうど身をかがめている体勢で、おつかれさまですと挨拶をし鍵をあける。暗がりの、埃と鉄の混淆した匂いがする。前から計画していた書架の再構築というか、哲学の棚を一段増やすために、棚が1枚必要だった。勘を頼りに、幅や奥行きに間違いのない棚を2枚取る。こういう時に、きちんと採寸してくるというのをなかなかしないのは、よく言われる面倒とかではなくて、勘を頼りにしていたい気持ちがあるからだ。もちろん、間違えたときには少しだけ後悔もするのだけど。
現場に戻る。採寸はあっていたみたいだ。一番メジャーな棚サイズだから、ほとんど間違いようもなかったかもしれない。本を抜き取り、いちばん下の段を床スレスレに調整する。上2段の特集用の棚も、無理のない程度を考えて上げる。微調整しながら全段をし終えると、危惧していたほどには、縦を圧迫しあって詰まったような感じにならなかったので安堵した。新しい本の購入を控えてしまうくらい、スペースは限られてきていたから、それをクリアするためにつくった一段が書架の印象を損なわなかったのは、嬉しい。
肩からセーターのふわふわ編みこみを、がちっと出したくて、今日は黒いベロアのワンピースの下に波のような編み目にぽんぽんのついたお気に入りの白セーターを着ていて、一日気分がよかった。

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