【アートのミカタ10】ルドゥーテ Pierre-Joseph Redouté
【人物】貴婦人に愛されたバラの画家
ナポレオンやマリー・アントワネットなど、誰もが一度は聞いたことがある貴族の下で花の絵を描いていたのが、ルドゥーテです。美しさと正確な描写力により、植物学的にも高く評価されている珍しい宮廷画家と言えるでしょう。
また現代では絶滅したとされる品種の花も描いたとされ、その価値は益々価値を高めることでしょう。
最高峰とされる『ばら図鑑』は、ルドゥーテの作風や暮らしぶりをたっぷりと含んでいます。
これまでこのブログは、首都圏中心の企画展に合わせて書いていましたが、今回は地元静岡の展示と関連した画家にフォーカスしましょう。
ピエール・ジョゼフ・ルドゥーテ Pierre-Joseph Redouté(1759~1840)
なぜ美的センスを磨くのか。科学の発展に伴い、心を作る芸術的思考もより広く知ってもらいたい。
このブログは、歴史上の偉大な画家たちをテーマに、少しでも多くの人にアート思考を築くきっかけにならないかと書いています。
まずはそれぞれの画家の特徴を左脳で理解し、苦手意識を払拭するのがこのブログの目標です。その後展示等でその画家に触れる前の下準備として御活用下さい。私たちの味方となり、見方を変える彼らの創造性を共有します。
目次
【人物】貴婦人に愛されたバラの画家
【背景】画家というより図版職人?
【核心】陶器のような廃れない美しさ
【背景】画家というより図版職人?
1759年生まれ。当時フランスの支配下にあったベルギー生まれの画家の息子でした。
父の仕事を13歳で手伝う(修行)傍、王立植物園(現パリ植物園)で花の絵を書いている生活をしていたそうでうす。
そこで出会う、ある植物学者(シャルル・ルイ・テリティエ・ド・ブリュテル)が、後のルドゥーテのキャリアを築くフックになります。
ちなみに国視点で当時を振り返ると、所謂「ロココ美術」が尾を引くあたりだったと思います。
政権はルイ〇〇世がつらつらと名を揃えていた時代から一変し、
ナポレオン1世(市民改革)が登場したり、その25年後には王政復古したり、第二帝政が起きたりと…激動の時代に当たると思います。
バラ図鑑/1817-1824/全3巻
植物学者(レリティエ)は独自に植物の研究をしていました。
その著書の挿絵を描いたのがルドゥーテです。また植物学者は王妃マリー・アントワネットに推薦したこともあり、宮廷画家としてキャリアをあげることになりました。
更に革命後のナポレオン1世の皇妃(ジョセフィーヌ・ド・ボアルネ)の目にも止まり、世界中から集めた珍しい植物園の図版を作成することとなります。
ロサ・スルフレア/銅板画
【核心】陶器のような廃れない美しさ
彼の魅力は「宮廷画家」も「図録の挿絵画家」も言葉足らずな印象を受けるところではないでしょうか。
当時の画家が辿った作品と並べるとどこか無機質ではあるが、単に挿絵では美しすぎる。
銅板画(スティップル・エングレーウィング/点刻彫刻)に水彩絵の具で描く表現は、当時の時代背景を象徴するようにも思います。現代とも違い、油絵の一品物らしい珍しさとも違う。繊細な時代のはざまを感じます。
更に、彼の偽りのない描写は息をのむものがあります。
当時はすでにカメラ技術が登場してくるはずですから、単に図版ならカメラでもよかったかもしれません。
しかしこの独特な、陶器のような無機質な美しさはカメラでは表現できなかったでしょう。
そこが、貴婦人たちに愛された由縁だったのではないでしょうか。
【追記】どうやら当時のカメラ技術が、まだ画家を脅かすモノではなかったかもしれません。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
画家一人一人に焦点を当てると、環境や時代の中で見つけた生き方や姿勢を知ることができます。現代の私たちにヒントを与えてくれる画家も多くいます。
また次回、頑張って書くのでお楽しみに。