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【アートのミカタ23】野田弘志

【概要】平成天皇の肖像画

平成の世も終わりを迎え、令和に向かって期待が膨らむこの頃。
そんな中、先月3月に天皇に収められた肖像画が話題を集めています。

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今回は、この写真を超えた美しさを誇る写実画家のお話をしていこうと思います。

なぜ美的センスをくのか。科学の発展に伴い、心を作る芸術的思考もより広く知ってもらいたい。
このブログは、歴史上の偉大な画家たちをテーマに、少しでも多くの人にアート思考を築くきっかけにならないかと書いています。
まずはそれぞれの画家の特徴を左脳で理解し苦手意識を払拭するのがこのブログの目標です。その後展示等でその画家に触れる前の下準備として御活用下さい。私たちの味方となり、見方を変える彼らの創造性を共有します。


【背景】エリートの境地

1936年、韓国の西南に位置する全羅南道生まれ、広島(上海も)育ちの野田さん。東京芸大の油絵を卒業し、その後も内閣総理大臣賞・白日賞受賞・宮本三郎賞などを受賞されているようです。他にも朝日新聞朝刊で連載された加賀乙彦の小説『湿原』の挿画を担当されたり、

いや本当に、芸術の世界には極端なエリートと極端なハミ出し者しか後世に残らないのかと、つくづく思います。そうでないと天皇の肖像画なんて描けないでしょうが。

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芸大進学前に、油絵家の森清治郎さんを師としていたそうなので、思春期真っ只中の時代から既に英才教育を受けて居たのではと推測されます。ちなみに森清治郎とは欧州各国で高い評価を受けた1921年生まれの画家だそうです。親交の深かった藤田嗣治は、このアートのミカタでも取り上げたことがありました。


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【核心】写真を超えた命の存在感

「1枚描くのに1年はどうしてもかかる。」
「肖像を描いているようでいながら、人間そのものを描いてる」

「黒の絵画」「金の絵画」「TOKIJIKU 非時」「THE」「聖なるもの」「崇高なる もの」など時代によってその作風を変えていった野田さんですが、その作品に一貫して現れているのは、命を感じさせる存在感です。

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対象が花であろうが山であろうが、大きな命の流れが私たちに押し寄せて来るような作品です。

日本では引き算の美が育まれてきた経緯もありますから、このような超写実主義は、よくレオナルド・ダ・ヴィンチと並んで賞賛されることも多いようです。しかしここ日本の、天皇の肖像を描くことにも繋がった野田さんの作品は、日本人の美意識を否定しない素直な感動を与えてくれるのではないでしょうか。

日本のトップである将軍お抱えの画家といえば狩野派でした。
まさに引き算の美の象徴とも言える屏風絵の歴史を考えると、今回の天皇皇后両陛下の肖像に至った素晴らしさを感じさせます。

私たちの美意識の進化、他国の美を受け入れた上での発展の先に、この写実画家の存在もあったのかもしれません。

ここまで読んでくださってありがとうございます。
画家一人一人に焦点を当てると、環境や時代の中で見つけた生き方や姿勢を知ることができます。現代の私たちにヒントを与えてくれる画家も多くいます。
また次回、頑張って書くのでお楽しみに。






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らち
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