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【アートのミカタ16】五美大展DM

【概要】Twitterバズり案件

毎週書いているブログですが、今回はちょっと異質な題材で行こうと思います。
「五美大展」とは、多摩美術大学、女子美術大学、東京造形大学、日本大学芸術学部、武蔵野美術大学といった、東京の私立美術大学が合同で行う卒業・修了制作展です。
私はデザイン系の学科だったので、ゴビテンは関係なかったのですが。

これまで美大出身者、またはそのご家族にしか恐らく認知されていなかったであろう卒展が、今年は恐ろしく話題に上がっているようでした。

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思わず二度見してしまうほど突き抜けたDMが物議をかましているようです。

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率直に言うと、私はこのDMは素敵だと思いました。
しかし、確かにわかりやすく「かっこいい」訳ではないかもしれません。

そういえばこのブログで「アート」と「デザイン」の違いについてあまり言及していなかったと思い、とても分かり易いこの機会にまとめておこうと思います。
なぜこのDMが素敵なのか、アートとデザインの違いは何か。お話しして行きます。

なぜ美的センスをくのか。科学の発展に伴い、心を作る芸術的思考もより広く知ってもらいたい。
このブログは、歴史上の偉大な画家たちをテーマに、少しでも多くの人にアート思考を築くきっかけにならないかと書いています。
まずはそれぞれの画家の特徴を左脳で理解し苦手意識を払拭するのがこのブログの目標です。その後展示等でその画家に触れる前の下準備として御活用下さい。私たちの味方となり、見方を変える彼らの創造性を共有します。


目次
【概要】Twitterバズり案件
【背景】アートとデザインの違い
【核心】現代アートはスピーチである

【背景】アートとデザインの違い

先に答えを言ってしまうと、アートとは自己実現でデザインとは相手がいる仕事であると言えるでしょう。

このブログでは何度か登場している産業革命以降の職の広がり。
爆発的な機械産業の発展により、第三次産業などが登場し、劇的に仕事の幅が増えたかと思います。

芸術の分野も同じく、芸術家(ここでは便宜上、18世紀以前の画家を芸術家とします)が「アーティスト」と「デザイナー」に分裂し、それぞれで仕事の幅を広げてきたようです。

実は、これまで「芸術家≒アーティスト」のように解釈されていましたが、文献を漁ると、どうやら「芸術家はデザイナー寄りの考え方だったのではないか」と思います。もちろん両方を保有していましたが、
この辺は長くなるので、また次回お話しできたらいいなと思っています。


マズローの欲求五段階説(手垢がついてると言われる程有名な説ですが)では、自己実現欲求はピラミッドの上に位置することを考えてもお分かりのように、「アーティスト」とは、近代現代の豊かになった世界で築かれた、万人を相手にしていない職業です。

100人に1万円で売る仕事ではなく、1人に100万円で売る仕事です。
こうゆう仕事は、色々転がっているようですが、私たちのような一般庶民には気づきもしない領域にあるようです。貴族画家が描く作品が、一般の目に入るようになったのは近代に入ってからのようです。


ちなみにデザイナーとは「相手がいる仕事」です。
企業がデザイナーに依頼する様子や、インハウスデザイナー(デザイン会社に仕事を頼まなくても、自社にデザイナーがいる場合を、こう呼びます)が自社のお客さんに合わせてモノづくりをする様にです。

アーティストと違い、デザイナーは自分の自己実現ではなく、お客さんの自己実現欲求を満たすのが仕事です。

そして断っておきますが、ゴビテンはざっくり分けてしまうとアーティストの卵(またはアーティスト)の作品展です。


【核心】現代アートはスピーチである

さてここからは私の持論になってしまいますが、
現代アートの見方を言葉にするとすれば、「超シンパ型」か「超アンチ型」かを考えると良いと思っています。

芸術家自身は、あまりこうゆうことを説明したがりません。
自己実現欲求って結構自分の真相に迫る部分なので説明したくないされたくないんですよね。フェチとか性癖とかの領域と言えば分かりやすいでしょうか。理性の域ではないので、褒められない感情が作品の原点と言うことだってありえます。そのためここからは、私のアートに対する解釈であることをご了承ください。


「超シンパ型」
何かがめちゃくちゃ好きで、共感した時に起こる自己実現の形。
「〇〇にインスパイヤされた〜」とか「シンパシーが云々」とかの感じです。会田誠の美少女ばっかりの作品など、殆どのアーティストがこっちだと思っています。

「超アンチ型」
何かがめちゃくちゃ嫌で、異論を唱えたい時に起こる自己実現の形。
正直こっちだけを描き続ける人は少ないと思います。
炎上するとしたらこちら側の作品ではないでしょうか。


今回のDMは「超アンチ型」に分類されるのではないでしょうか。
つまり、伝えたいことは、このDMから受ける印象の反対にあると言うことです。

私が受けた印象から解を導くとすれば、こちらのDMは
「稚拙/下書きのよう/言ってることは分かり易い」です。
この反対で当たる「大人びて/完成され尽くして/分かりにくい」こそがDMの訴えたい内容です。

私たちは「アート=美しいもの」だと思いすぎているのではないでしょうか。
まるでスピーチを聞いてるが如く、その人の言いたいことに耳を傾けてガツンと響けば、例え言葉遣いが悪くても発音がおかしくても、素晴らしい主張だと感じるはずです。

しかしこと芸術作品となると、美しいことが当たり前になり、スピーチの主題が曖昧になりがちではないでしょうか。
SNSでいいねが欲しい感覚とは違うのだと思います。アートが語る話に心を打たれたかどうかが、現代アートの見方に繋がるのではないでしょうか。

今回のDMの主張が、より多くの人の心を動かさんとしているのでしょう。


ここまで読んでくださってありがとうございます。
画家一人一人に焦点を当てると、環境や時代の中で見つけた生き方や姿勢を知ることができます。現代の私たちにヒントを与えてくれる画家も多くいます。
また次回、頑張って書くのでお楽しみに。

展示会情報

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平成30年度 第42回 東京五美術大学連合卒業・修了制作展2019年2月21日(木)~2019年3月3日(日)  国立新美術館

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らち
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