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『ロックマンエグゼ1』をクリアした感想

 『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』が発売され、まずどのナンバリングから遊ぼうか迷うことはおかしい話ではないはずだ。

 『エグゼ』の対人戦を未経験なため、なんとなくいちばんオンライン対戦が盛り上がりそうな雰囲気のある『6』からやるか、とやんわり考えていた。

 しかし手に取ると気が変わるもの。「まず『1』からでは?」という心の奥底に潜む原理主義者の声が響く。自分は『エグゼ1』のみ未プレイだ。シリーズ一発目故、『2』以降とは仕様の違う点が多いと聞く。Youtubeで動画を見ててもそんな節はある。じゃあ……やってみて確かめたいよね?

確かめた

 かなり面白かったが、かなり荒削りなゲームだ、というのが正直な感想である。思ったより長くなってしまったので章ごとに分けて話をする。


1. ゲームバランスに関して

 今回、『アドコレ』に搭載された新要素である「バスターMAXモード」を大いに利用して快適にプレイしたが、このゲームを小学生(おそらくメインの購買層であろう)がバスターMAXなしで遊ぶのは結構大変だったんじゃなかろうか。

 ※バスターMAXモードはバスターの威力が100倍になる公式チートみたいな機能だ!本来は1~5のダメージしか出ないバスターが100~500の超火力になるぞ!あんまり使いすぎても興ざめだけど稼ぎはすっごい楽だからこの機能があって良かった!ありがとうカプコン!※

〇戦闘に関して

 『エグゼ1』、全体的にゲームバランスがよくない。ウイルス、他のRPGで言うところの雑魚敵は攻撃速度が速く、隙もあまりなく、威力は高い。こちらが同じ横軸に立つと回避する動きを取るウイルスも多い(ような印象を受けるが実際に検証してはいない)ため、こちらからの攻撃が当てづらい。さらに複数体が一度に出現することも多く、波状攻撃に晒されて焦っていたらデリート、というのはもう『エグゼ1』に限らずシリーズ恒例だ。勘弁してくれ。

 とはいえ、『エグゼ1』は戦闘後にHPが全回復する仕様だ。なのでウイルスにどれだけ苦戦しても勝ちさえすれば問題なし、という寸法である。それを前提にした”スゴさ”なのだろう、と思えばまぁ話は分かる。この点に関しては戦闘後もHPの減少を持ち越す『エグゼ2』以降の方が難しく、それゆえにリカバリー系のチップやサブチップでHPを回復しながらインターネットをうろつく必要がある。そこがストレスでもあり面白さにもなっているため、一長一短ではある。

 対してナビ、つまりボスとの戦いは……あまり難しくない。HPはウイルスに比較して高いものの、こちらの使えるチップも高性能だ。きちんと当てられれば1ターンで倒しきるのも珍しくない。そしてこちらの攻撃を回避するような動きはあまりとらず、攻撃パターンさえ覚えてしまえば攻撃を当てるのも躱すのもそこまで困難ではない。そもそも、このゲームはチップの威力が基本的に高い。当てに行くと躱されるウイルスよりも、タイミングの取りやすいナビのほうが与しやすい印象を受ける。

 ……という感じで、戦闘に関してはまぁこんなもんでしょという印象を受けるもののインターネット、つまりダンジョン探索に関してはもうちょい何とかならんかったんかと思ってしまう。

〇ダンジョンに関して

 ダンジョンには16のエリアからなるインターネットと、現実世界のさまざまなものにプラグインして訪れることのできる個別の電脳が存在する。この前者後者は、ともに問題がある。

 まず前者、インターネット。とにかくめちゃくちゃ現在地が分かりづらいしめちゃくちゃ迷子になる。先述の通り、インターネットは16のエリアからなる。そのすべてのエリアの道・背景が同じだ。これはすごいことだ。マジで迷子になる。しかも道の造形は一定せず歪で、上下左右に入り組んで高低差まで存在する。高い位置の道で低い位置の道を隠していることもある。とくに探索の必要もないのなら構わないのだが、無論ストーリー上で探索を強いられる。「あっちに行くと〇〇方面ですよ」と言ってくれる一般ナビが居たりするものの、そんなこと言われても現在地の表記がないので本当にその言葉が合っているのかも分からない。

 以降のナンバリングではエリアごとに道の造形や背景が異なり、メニューを開けば「〇〇エリア1」とか表記されたりする。一目で自分の居る場所が分かる。これって当然のことだと思っていたが、そんなことはなかった。誇張なしでこれが無いと迷うし現在位置も分からないのでどう動けば目的地に行けるのかも検討がつけられない。本当に困る。

 さらに、インターネット上に点在するショップで買い物をしないとロックマンを強化できない。HPメモリもバスターアップもほとんど入手できず、ダメージを半減してくれるアーマーに関してはショップで買う以外に入手手段がない。アーマーは無いとその辺のウイルスに2~3回触られただけでお陀仏になったりするのでわりと必須だ。ウッドマン戦あたりで急に敵が強くなったな? と首を捻ったのは記憶に新しい。

 後者、個別の電脳にも問題はある。ここで取り上げたいのはストーリー上攻略必須のナビ戦が存在する電脳だ。どれを取ってもまぁ面倒くさい、後半になればしかも難しい。有名なのは発電所の電脳だが、水道局や信号の電脳も結構すごい。面倒で言えば学校の電脳もなかなかだ。いや、レンジの電脳も少し間違えると最初からやり直しになるし面倒だな……。

 全部だ。ダンジョンは全部面倒であった。そして最終ダンジョンであるWWWの電脳ではそれらのギミックの凝縮されたダンジョンを順に攻略していくことになる。発電所の電脳はそこそこ簡単になっているものの、面倒くささは大差ない。

 そう、とにかく面倒くさいのだ、ダンジョンが。それぞれに大なり小なりの謎解きの要素があるし、道中でウイルスともエンカウントする。謎解きを考えながら初見のウイルスに手間取ったりすると、フと思考がすっぽ抜けたりする。余計に謎解きに手間取り、エンカウント数が増え……、となることもある。『エグゼ1』はエンカウント頻度も高めで、先述の通り慣れていないとウイルス戦でもちゃんとピンチに陥るため、面倒に拍車がかかる。

 ちゃんと謎解きが難しいダンジョンもあるため、(自分が小学生だったら投げてたかもな……)という気持ちと(小学生舐めたらアカン適当総当たりパワーでなんやかんや突破しとるで)というふたつの気持ちが遊んでいる間は相克していた。

2. シナリオに関して

 また、シナリオもシンプルだ。当然ながら、のちのナンバリングでは当たり前にあるような様式美が出来上がっていない。こんなにもベッドで寝ないとは思わなかった。

 全体的に「主人公である熱斗が活躍する=小学生が単身で世界的犯罪を計画している犯罪組織WWWに立ち向かう」という構図があるため、プレイヤーの年齢が熱斗から離れれば離れるほどツッコミどころが浮き彫りになる。が、これにとやかく言うのはお門違い。熱斗とロックマンはヒーローなので、多少の無理や無茶には目を瞑ろう。

 しかし、終盤に判明する熱斗とロックマンの関係性の真実は、人によっては受け入れがたそうな話題だ。これに関しては「鶏が先か卵が先か」……とは少し違うのだが、「人間を模したネットナビを作ろうと理論提唱したことが先か、人間のDNA情報を組み込んだネットナビを作ったことが先か」で印象が異なるのではなかろうか。

 本編では前者が先にあって後者を実行することになったために「自らの理論を証明する機会を得た科学者が生命倫理にもとるような行動を実行に移した」という印象を受けがちで、「こいつの倫理観どうなってんだよ」みたいな反応をしたくなりがち(自分もちょっとそう思った)だが、仮に後者が先で前者の理論があとからついてきた場合はどのように受け入れられていたのだろうか。結果としては双方ともに「子を想う父の行動であり、ストーリー上重要なイベント」として片づけられる話なのだが、現在の形よりは”科学者としての行動”ではなく、”父としての行動”であることがクローズアップされるのではないだろうか。とはいえ、発想の順序や関係性を踏まえればストーリーに採用された形が自然である。あまり気にしすぎもよくないだろう。展開としてはアツいんだし、ね?

3. おつかれさまでした

 『エグゼ』シリーズには一貫してやり込み要素があり、『エグゼ1』も例外ではない。しかし後発のナンバリングに比べると濃度自体は薄く、チップコンプリートくらいしか要素がない。ストーリーもなく、ただ見知らぬ無言のナビと戦えるだけである。

 ……のだが、そのそっけなさがなんだか心地よく、ぼちぼちチップを集めている。エネミーサーチのないV3ナビ狩りはとにかく時間の浪費が激しいうえ、ウイルスからも低確率ドロップがあったりする。いつまで経ってもマジックマンV2とテンジョウウラが入手できない。

 適当なところにして、さっさと『6』で通信対戦をやりたいところだ。ギガントフックが使いたいから『グレイガ』にしたいけど未プレイの『ファルザー』でも遊びたいし、どうすっかな~。

堂々とオタクと言うのがむしろ珍しく感じる今日このごろ
今だとこういうテキストは書けなさそう

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