ずっとずっと大好きだよ

第6話 シニアにはシニアの楽しみがある

7才を過ぎたからと言って、全く何もしないわけではない。私は、まだまだ走れるしジャンプも出来る。

ママは、そんな私に「次は、ママと一緒にドッグダンスをしようね」と言った。
ドッグダンス?私がダンスするの?私はママの顔を見上げた。
何だか分からないけど、ママがしようというのだから楽しいことだと思った。

ドッグダンスを始めるので、教室へ通うことになった。
ドッグダンスとは、犬と飼い主が曲に合わせて踊ることだ。
ママは人間だから踊れる。私は、ママのダンスに合わせて一緒に歩いたり、ターンしたり、ママが歩く足の間を右に左にくぐりながら歩いたり、時にはバックしたりと色々なトリックを曲に合わせてする。

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フリスビーやアジリティーに比べると足腰に負担の少ないスポーツだ。ママは曲を選んだり、振り付けやトリックを考えたり、楽しそうにしていた。ママとお揃いの服を着て、ダンスの発表をしたこともあった。
私は、また、新しいことにママと一緒に取り組むことが出来るので楽しかった。

ドッグダンスの他にはノーズワークも始めた。

ノーズワークとは、人間の1億倍ともいわれる犬の嗅覚を使ったドッグスポーツだ。犬の得意分野である嗅覚を使うのでシニアになっても長く続けられるよとママが話してくれた。

最初に私がチャレンジしたのは、10個の容器の中の1個にだけおやつが入っている容器があり、それを匂いで探し出すというものだ。
床の上に並べられた容器の匂いを嗅ぎおやつの入った容器を見つけたらその前で伏せて待つ。
そうしたら、ママが「カチッ」というクリッカーの音で合図してくれるよ。その合図の後、容器をあけるとおやつが出てくる。そのおやつは私が食べる。
「何て楽しいゲーム」と私は思った。
だんだんと上達してくると、容器の数がどんどん増えて、おやつ入り容器の数も増える。
ますます、私のやる気も出てくる。

ドッグダンスにしてもノーズワークにしても、小さいころのトレーニングのおかげで何も苦労せず楽しむことが出来た。
何よりも、ママと一緒に過ごせることが一番うれしかった。

一つだけ小さい頃からずっと続けていることがある。それは、水泳だ。初めて泳いだのは、生後8か月の時だった。先輩の犬たちと川へ行った。みんなが次々と川へ飛び込むので、私も飛び込んだ。最初は泳げなくて前足をバタバタと動かしても溺れそうだった。
見ていたママは「さくらが溺れる」と叫んだらしい。でも、私は物の数秒で前足をバタつかせることなく泳げるようになっていた。それからというもの、4月から10月までの間色々な所へ泳ぎに行った。

4月はいつも琵琶湖だった。まだ、人間が泳ぐには冷たい季節だが私にとっては快適な水温だ。
ママは私を車に乗せてよく連れて行ってくれた。人間が泳ぐ季節にいかない。

2011.7.琵琶湖1

5月~7月はプールで泳いだ。

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8月は信州のきれいな川で泳いだ。

2011.8.夏旅行4-7


9月になり人間のシーズンが終わるとまた琵琶湖で泳いだ。
足が弱くなってきても水の中なら、体重がかからないので泳ぐことがリハビリになった。
13才で歩けなくなったとき、ママは毎週のようにプールへ連れて行ってくれた。そのおかげで、また、歩けるようになった。
私が最後に泳いだのはプール。

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15歳8カ月の時だった。私は泳ぐこととお水が好きだった。
雨上がりの水たまりのなかをバシャバシャ歩くのも好きだった。

お水が好きな私は、入ってはいけない所へ入って何度もママをびっくりさせたことがある。
一番びっくりさせたのは、宿泊していたホテルの前の人工池に飛び込んだこと。
その池には大きな鯉が何匹も泳いでいた。私はすぐに池から飛び出したが、一緒に飛び込んだ弟の凪は池が深くて飛び出せずにいた。慌ててママは凪を引き上げた。
真冬の2月だった。
ママは藻がついた私の体をシャンプーしながら
「さくらはお水が好きやね。でも、真冬に飛び込むのは止めてほしい」と私に話しかけていた。

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