続・函館バス闘争2023

　先日お話した私鉄総連函館バス支部の一連の労使緊張の闘争劇。私鉄総連のホームページでもトップに載っているほど力の入れ具合でこれはPRUにとって西武・そごうになるぐらい大変なことになるという気合の入れようでした。現在ホームページに統一指導委員会はトップページではなく「その他」をクリックしてみることができます。思えばかなり歯切れが悪かった統一指導委員会。地方の単組から1000万円以上のカンパ（集めようと思えば集めることができます。私鉄総連は友好組織もそこそこ）を函館バス支部に寄付。そればかりか２億円近い貸付も行う予定でした。これは別に組休や委員長の再雇用問題だけではなく、少なくとも私鉄総連と函館バスの労使を正常化するための資金でした。函館バスの社長は元々労働組合側。そして経営者ならここらでうまく落とし前をつけてくれるはずだと思った矢先に衝撃的なニュースが飛び込んできました。

函館バスに経営資金がない？

　函館バスは民業圧迫（当時何かと公務員は敵視されました）といわれた市営バスを行政主導で吸収合併させ、株式の一部が函館市にあるなど民間企業と言えど行政の支援を得た半官半民に近い企業です。最近地方のバス会社なんて人手不足だけではなく、人口流出のあおりを受けて売り上げは壊滅状態。私も今ある地域のバス会社の助っ人のために地方出張をする羽目になったのですが、函館バスはほぼほぼバス事業は独占に近い形であり有体に言えば最悪労使関係はお金で解決できると私どころか統一指導委員会の役員も思っていたはずです。10月10日に委員長の再雇用のための未払い賃金530万円の回収のために強制執行が行われました。回収できた金額は27万円でした。函館1番のバス会社に現金がたったの27万円！うまく隠したのか、そもそも見つけることができないぐらい執行官のポカが多かったのか？
　経営主導の新函館バスユニオンのTwitterは完全に停止状態です。地元の人の話ではダイヤがかなり減便になっているということも聞きました。現地に行ってないので真偽のほどは分かりませんが・・・
　ある仮説が生まれます。本当に函館バスの経営状態は大丈夫なのか？というよりこれって「使」は当然として「労」の側もある程度掴んでいたのでは？それで組休で揉めるって・・・多分この件真偽不明ですが裏があると思います。

歯切れが悪すぎる統一指導委員会

　普通争議になれば徹底的に「労」側をかばう産別幹部ですが、この件に関して言えば「お互い至らないことあったよね」ぐらいの忠告しています。珍しい言い方です。経営主導の組合にボロボロにされた既存組合は労働運動的にはかなりタブーを行った函館バスは労使関係を戻すと言っても、それなりに誠意を見せるまでコールを上げ続けるのが通常ですが、今回場合によっては新組合の方は無罪放免みたいな意見も出ています。実際私鉄総連が新組合をどうこうできる問題ではないですが、正直超少数派で残っていても仕方がないので労使協調なら「函館バス支部に組合員を戻す」ぐらいの条件をつけてもいいんですが、新組合に対する決断も今までと違う緩いものです。
　会社の経営状況はここまで情報を集めるとかなり悪いです。労使紛争している場合ではありません。ある程度組合も会社に協力する面も出てくるでしょう。私たちも会社あっての労働者ですから雇用を守るために権利は一時制限し、立て直すことができたなら要求を増やすぐらいのことはやっていいはずです。私たちは別に経営陣を倒してとってかわろうという団体ではないのですから。函館バス支部は経営に関することを逐一聞いているはずです。経営側がなぜ急にたかだか組休ぐらいで懲戒解雇までやってのけたのか疑問でした。2020年まで労使関係はよかったという証言があり実際交渉の際は労働組合側も「会社に出せそうな賃金はこんなもんで、なるべくそれにイロをつけてもらおう」という策略ぐらいは練ります。つまり組合側は経営の細かいところまで経営陣から聞かされているはずなのですよ。

今の段階では不明な点も多い争議

　中央はどういう判断をしているのかまだまだ地方支部まで情報が入りにくいのが現状です。潰れそうな会社の親子喧嘩ならそれこそ「労」も「使」も自制が必要です。これは私の予想なんで真に受けなくてもいいです。ただやっぱり「労」側も何か隠している。「使」側はおかしいのは当然として一夜にして多数派組合だった私鉄総連函館バス支部が崩壊したのは絶対に「労」側の失策です。経営側の組合は強制執行されたので沈黙せざるえないでしょう。彼らは経営陣と同一なのですから。職場の正常化のために統一指導委員会のやらねばならないこと多いです。少なくともひと段落ついたら函館バス支部の再建です。そしてその執行役員にはやっぱり新しい人がやってほしいと思います。