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イラン人との結婚No8

いつもイランでの土産話をするときは、ビックリしたことや面白かった事しか廻りにに話さない。
心配かけたくないし、愚痴を言うと彼は孤立無援になってしまう。

新婚時代も私の我が儘で地元を離れることを譲ってあげなかった。

それが負い目で様々な夫婦間でのことは極力彼の希望に沿うようにしてきた。
それが後に自分の心に檻を作ってしまう事になるとも知らずに。

国際結婚だと相容れない事柄が沢山ある。でもそれは日本人同士でもよくある事だ。そう。育ってきた環境が違うから。まるでセロリだ。

反面、良いところもある。だって見るからに違うんだから。無理やり折り合いつけずに何だかすんなり納得してしまう部分もある。

よく彼は「差別されている」と嘆く。あまりにも聞き過ぎて「そうか、そうか」と言いながら心の中では『またかよ。何だかんだ言っても日本で仕事もらってんじゃん。世話にもなってるじゃん』と思ってしまう。

ある時、イランの父方の田舎に行った時に自分の人生で初めて差別をされた。

大抵日本人には友好的なイラン人が多い。しかし、外国人から見ればアジアでも何処の国の人が判別がしにくい。

親戚達とプールに行ったとき、(やはり男女別なので知人の女性と親戚の女の子Hちゃんと入ってた)母親は脱衣所にいたので子供プールに一人で遊んでいたHちゃんが心配で一緒に入っていたら、監視員に外人は消毒の強い大人プールへ行けと言われた。

私の語学力もさほどではないので聞き返した。子供プールには他にも沢山の大人もいる。
「イラン人しか居ちゃいけないの?」「そうだ。」と言われた。Hちゃんはまだ1年生で一人では危ない。そう説明しても同じ回答が繰り返され、頭にきてプールから出た。

夫に事情を説明したが「子供は危ないから大人のプールには入れないんだって 。」と話が通じない。「違う!それなら話は理解するけど子供のプールに私が入ってはいけない。と言われたんだよ。外人だから!」と悔し涙を流しながら訴えた。

やっと理解した夫と一緒に管理責任者の部屋へ乗り込んだ。事情を説明したらその時の監視員も呼ばれた。

彼女は語学力の乏しい私の聞き間違いだと言う。間違いかと思って私はあの時聞き返したのだ。
水掛け論で泣き寝入りするところで思わぬ救世主が来た。

Hちゃんだ。いつもは恥ずかしがってあまり話さない子なのだが、きっぱり「あの監視員のおばちゃんがLaboが外人だからあっちへ行けって言ったんだよ。私もハッキリ聞いたよ。2回同じ事を言っていたよ。」と。

監視員の嘘が露見され、今直ぐクビにする事も出来ると言われたが、断った。そんな事は望んでいない。

差別された。初めて。こんなに悲しく胸に突き刺さる事だったのかと身にしみた。

帰ってもまた泣けてきた。

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