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vol.3 チーム編成って難しい
小学生スポーツのチーム編成について、コーチたちは苦慮しているのではないでしょうか。
編成によっては多方面から、「あの子とこの子は差が少ない」、「コーチの子どもだから優遇されているのでは」など、様々な思いをぶつけられたり聞こえてきたり...場合によっては、これが火種となりチームのバランスが崩れてしまい危機へとなってしまうこともありそうです。
チームを編成することはとてもデリケートです。子どもの数が多くなれば
悩みます。でも、編成することは不可避なので必ずクリアしなければなりません。
僕が担当しているラグビースクールは4年生が31人です。7人制なので3チーム編成ですが、5年生からは9人制となるので2チーム編成で対応しようと考えています。
そこでチーム編成と試合のエントリーをどうするかの試行錯誤が始まりました。今回はその流れをご紹介します。
✴︎チーム編成の方向性✴︎
3年生
子どものスキルの凸凹は多少ありましたが、均等に3チーム編成としました。試合については3チームともにBカテゴリー(B=中レベル)でエントリーしていました。
3年生も後半になると、凸凹差が開いてきました。その差の要因はいくつかありました。①「ラグビーへの熱中度」これはルールの理解、戦術等の理解の高低へとなりました。②「体格差」個人差なので何ともできないことですが、「当たり強さ」が大きな要因でした。
そんなある日、ある子どもが「大きい子やあたりが強い子が怖い」と訴えがありました。コーチとして、恐怖感を「頑張れ」と乗り越えさせようとするのは現段階では違うのではないかと考えました。
気づき
大人が考える「平等や公平」=「みんな一緒」と思いがちですが、そうではなく、「楽しめる」ことの「平等や公平」であることであると気がつきました。
個々が楽しめる環境でラグビーを楽しむことが「平等や公平」だと考えました。
そこでコーチたちは4年生に向けての検討が始まりました。
4年生
個々の体格やスキルの凸凹もより大きくなってきました。凸の子どもたちは「少し高いレベルで楽しみたい」、凹の子どもたちは「自分たちが主体的にできる環境で楽しみたい」のではないかとの仮説を立てました。
「A・B・C」から「A・B・B」への試行
チーム編成は習熟度別にA・B・Cとしてみました。
練習や試合でのコーチの配置はBとCを高くして、Aは最小限で対応することにしました。狙いとしては、「楽しみながらレベルアップ」です。
試合については、Cカテゴリーがほぼないので、Bカテゴリーでエントリーをしました。結果は連戦「ボロ負け」状態でした。
この経験から分かったことは、いくら主体的にラグビーに取り組めても、「ボロ負け」となれば、子どものモチベーションの維持は難しくなるということでした。
そこで、第二期のチーム編成時に「BとC」から「B1とB2」にして2チームのバランスの均一化をしました。試合として成立はしますが、凸凹が分散されるので、なかなか「勝つ」という結果には結びつきませんでした。
「結果」を残すための試行錯誤
秋の公式戦がひと段落したところで、交流戦(練習試合)でAから4人ピックアップしてB1、B2へ各2人ずつ配置し、B1、B2から2人ずつピックアップして4人をAへ移動させてみました。
見事に機能して3チームとも勝つことができ、子どもたちは嬉しそうでした。これについては、時折、「刺激剤」として活用できるものであることがわかりました。
✴︎チームを編成の手法✴︎
どのように編成しているかの紹介です。
当初、コーチたちの主観から振り分けることを考えていました。
3年生の最終の保護者説明会であるお父さんから「チーム編成の根拠はどうなりますか」と…そのときは、「コーチたちが話し合いで決めます」と返答したのですが、モヤモヤ感が残りました。
「これは適正ではないのかもしれない」との思いが出てきました。そこで、「可能な限り、客観的にチーム編成をする」方法を見つけることでした。
そこで、「スコア表を作り、コーチが全員で評価し点数化して編成をする」ことを考えました。
評価項目には、「スキル」だけでは凸凹で分けられてしまうめ、マインドやスピリットのようなモチベーションの項目も入れました。
そうして、大項目4つ、小項目15項目による評価を実施しました。1項目4点として合計60点満点です。
それを8人のコーチ(当時のコーチ数)により、すべての子ども31人にスコア入力をして合計点を上位からA、B、Cへ編成する形が完成しました。
これを3期(4-6月、7-9月、10-3月)に分けて3か月ごとに評価して再編成を実施することにしました。
保護者への説明
4月に入り、保護者会での返答を変更し、これらの方法をとるということの説明を保護者へおこない理解をいただくことにしました。
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5年生9人制へ
5年生は2チーム編成での準備を進めています。
これからの挑戦なので、何かお伝えできることがあれば、また書きたいと思います。
ありがとうございました。