ウーパールーパーの味覚について
ウーパールーパーって味を感じているの?
そんな疑問が浮かぶ方も居るかもしれません。
結論から言うと、塩味は好き、苦味や酸味は嫌い のようです。
静岡大学の竹内浩昭先生の研究 から、ウパの摂食や味覚については以下のような知見が得られています。
・基本的には肉食性。
・イトミミズや水棲昆虫、小魚など水中で動くものに反応して、捕食行動を示す。
・餌が動いた時に生ずる水の微小振動や餌動物の筋肉が発する微弱電流を、体表にある側線器官で検出して、餌捕りに役立てている。
・また、餌を捕らえた後は、餌の味(味覚情報)や硬さ(機械感覚情報)が飲み込むか吐き出すかの決め手になる。
また、味覚神経の神経応答と行動実験の吐き出し率の関係について調査を行われた結果、以下のような傾向を示すことが明らかとなっています。
・ウパは甘味をほとんど感じない。
・苦味や酸味は低濃度でも嫌う。
・塩味を好み、低濃度で積極的に摂取する。
また、文献 (Electrophysiological and behavioral studies of taste discrimination in the axolotl (Ambystoma mexicanum)) の中で、旨味成分の一つであるグルタミン酸やグリシン等には 10~25% 程度とあまり高くない応答性を示したという結果が示されていますが、旨味への応答性・嗜好性については更に詳細な調査を実施できる余地があるようでした。
そこではるらぼでは、これらの知見に加えて ”旨味" に該当するグルタミン酸やイノシン酸、近年第3の旨味と言われている不飽和脂肪酸等の脂質による旨味への応答性について、行動観察調査を行いました。
市販の餌には魚粉等が用いられており、餌を投入すると良く臭いをかぐようなしぐさをしたのち、丸飲みするような摂食行動を行います。
文献にある通り、塩分に対しては、非常に顕著な反応(積極的に匂いを嗅ぎ、食べようとする反応)を示しました。
今回の主な調査対象である肉・魚には旨味成分であるイノシン酸が多く含まれますが、これらの食品に対する応答性を確認した所、非常に顕著な反応(積極的に匂いを嗅ぎ、食べようとする反応)を示しました。
また、ごま油 (リノール酸, オレイン酸) や魚油 (DHA, EPA) への応答性についても、同様に高い嗜好性を示しました。
一方で、苦手とされる酸味や苦味は、やはりこの調査方法でも忌避することが分かりました。
糖質については、やはり報告の通り特に反応しない個体が多く、特段嫌ってはいないが、特に好物でも無いという印象でした。
これらの結果から、ウーパールーパーは、旨味とされるもののうち、グルタミン酸以外の旨味成分(イノシン酸や油脂)に対して、高い嗜好性を示す可能性があることが示唆されました。
ちなみに、今回グルタミン酸Na (所謂、味の素) に対しても応答性を示しているのは文献に記載のあるグルタミン酸への嗜好性の低さと矛盾するようにも見えますが、どちらかというと Na (すなわち塩味) に対する嗜好性の高さが主な理由となっていそうです。
参照
・竹内 浩昭 先生 https://tdb.shizuoka.ac.jp/RDB/public/Default2.aspx?id=11056&l=0&ex=all
・ウパの味覚について Electrophysiological and behavioral studies of taste discrimination in the axolotl (Ambystoma mexicanum), Nagai et al (1994)., Physiology & Behavior 56/ 121-127
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/0031938494902690
・味覚の受容 https://www.umamikyo.gr.jp/knowledge/physology.html
・旨味成分
https://himitsu.wakasa.jp/contents/glutaminic-acid/#:~:text=%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3%E9%85%B8%E3%81%AF%E4%BD%93%E5%86%85%E3%81%A7%E5%90%88%E6%88%90,%E3%81%AB%E6%B4%BB%E7%94%A8%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
・グルタミン酸
(非必須アミノ酸;旨味成分; 神経伝達物質)
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3%E9%85%B8
・イノシン酸
(https://www.kobayashi-foods.co.jp/washoku-no-umami/inosinic-acid) https://www.umamiinfo.jp/richfood/foodstuff/meat.html
・脂肪酸 https://shozankan-shop.com/lab/?p=5115
・オレイン酸 (オメガ9不飽和脂肪酸)
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_kihon/fatty_acid.html
油脂等からの摂取, 人体で生合成可能。
血液中の悪玉 (LDL) コレステロールのみを下げるといわれており、動脈硬化や心疾患の予防に効果が期待できる。
オレイン酸が含まれる代表的な食品:
ひまわり油, オリーブオイル, 紅花油アーモンド
・リノール酸 (オメガ6不飽和脂肪酸)
植物油に多く含まれている。人体で生合成不可能。必須脂肪酸。
不足すると皮膚障害が生じることがある。
血中コレステロールを上げにくい。
オレイン酸が含まれる代表的な食品:
グレープシードオイルやコーン油、綿実油、ごま油、大豆油に多く含まれる。
https://www.nisshin-oillio.com/oil/healthy/linoleic.html
・α-リノレン酸 (オメガ3不飽和脂肪酸)
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_kihon/fatty_acid.html
脳や神経の機能を維持したり、血液の流れをスムーズにするためには欠かせない。
主な効果: 悪玉コレステロールの減少と善玉コレステロールの増加, 同じオメガ3系脂肪酸のDHAやEPAを体内で生合成する際にも使われる。
体内での生合成不可→食品から摂取する必要がある「必須脂肪酸」
α-リノレン酸が含まれる代表的な食品:
えごま油, あまに油, くるみ, チアシード
・不飽和長鎖脂肪酸 https://shozankan-shop.com/lab/?p=5115
- DHA (ドコサヘキサエン酸) /
EPA (エイコサペンタエン酸)
https://www.bee-lab.jp/megumi/dha-epa/index.html https://lpi.oregonstate.edu/book/export/html/2431 https://www.orthomolecular.jp/nutrition/linolenic-acid/
・油は何故旨いのか?
https://aissy.co.jp/ajihakase/blog/archives/17412
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ミネ水 (ミネラル含有水)* によるウーパールーパーの飼育法は、当ラボで調査・開発した手法です。
*汽水条件である0.2〜0.3%になるよう、塩水を作成し、そのままウーパールーパーを飼育する方法です。高ミネラルや浸透圧の効果により、成長促進や細菌感染症予防の効果が期待できます。
当ラボの文献にて、これまでの検証結果を紹介しております。
成長促進効果https://drive.google.com/file/d/1DuwEjMVBZiCRTXLzx_xfjvpl4FKe46mI/view?usp=drivesdk
コラム・総説
https://drive.google.com/file/d/1LBlaC6AJF_CP8K-wAC6VHESk0rUG3acA/view?usp=drivesdk
記事発行元 ❴ウーパールーパー研究室_はるらぼ❵
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【代表: 杉山 遥 (すぎやま はるか); 理学博士 (生物学)】