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東京藝大ウィンドオーケストラ 藝大定期 吹奏楽 第97回+管打楽器シリーズ2024 7.10

今年は吹奏楽の演奏会によく行ってる。たまたま魅力的なプログラムが続いていて、こちらもプログラムに惹かれてチケット取りました。

東京藝大ウィンドオーケストラ
藝大定期 吹奏楽 第97回+管打楽器シリーズ2024
於:東京藝術大学 奏楽堂

J.P.スーザ/時の勝利
A.リード/吹奏楽のための第7組曲 飛行の世紀
P.スパーク/トロンボーン協奏曲
P.A.グレインジャー/コロニアル・ソング
P.A.グレインジャー/岸辺のモリー
P.A.グレインジャー/不変のド
P.A.グレインジャー/ガムサッカーズ・マーチ
田村文生/葵上
C.T.スミス/華麗なる舞曲

EC. W.ラーゼロムス/マジック・スライド

トロンボーン独奏:オラフ・オット
指揮:大井剛史


自分的注目だったのは、リードの第7組曲、スパークのトロンボーン協奏曲、田村文生、スミス。

リードもまだ聴いたことない曲けっこうある。「吹奏楽のための第7組曲 飛行の世紀」は、2003年に能登空港開港を記念して輪島吹奏楽団からの委嘱で作曲されたそうな。ライト兄弟による世界初の有人動力飛行から100年の年でもあったらしい。

第1楽章「プロローグ:大空を見上げて」
第2楽章「間奏曲:輪島の風と波」
第3楽章「行進曲:鷲の翼で」

第2楽章ではウィンドマシーンを使用。ウィンドマシーンというとアルプス交響曲の嵐が思い浮かびますが、ここでは強風ではなく、ちょっと強めのそよ風って感じでした。
カッコいいファンファーレ、長閑な間奏曲、元気ハツラツのマーチという構成で、いかにもリードらしい曲。
能登半島地震から半年、復興を祈ってのプログラムでしょうか。


スパークの「トロンボーン協奏曲」のソリストはベルリンフィル首席奏者のオラフ・オット氏。
オラフといえば雪だるまのイメージですが、氏は身長2メートルぐらいあろうかという大男。どんな圧倒的な音が飛んでくるのかと思いきや、どちらかというと伸びやかで懐の大きい、包み込んでくれるような音でした。
その本領を最も発揮してたのは第2楽章だと思う。世界的プレイヤーの音色と歌心に聴き惚れる。曲としても綺麗ですごく良かった。伴奏のトロンボーン3本と四重奏が奏でられるシーンもあり、面白い協奏曲です。
第3楽章のサンバも面白かった。こちらも伴奏のトロンボーン3本との掛け合いがある。ソロトロンボーンが奏でたソロを伴奏トロンボーン隊がスタンドプレーで対抗して真似るのが何回か続き、最後はソロが超絶技巧をかまして伴奏隊は参りましたと大人しく座る演出。顔演技も含めて伴奏隊もブラボーでした。
第1楽章はスパークらしい速くて細かいパッセージの応酬でしたが、オラフ氏のすごさがもうひとつ伝わってこなくて勿体なかったかも。スパークの速いセカセカしたところ個人的にはあんまり好きじゃない。スパークはむしろゆっくりなところのほうがメロディもハーモニーも美しい。


グレインジャーって19世紀生まれでほとんどの曲が20世紀初頭に書かれたのですね。もっと最近の人かと思ってました。
今回のプログラムでは「ガムサッカーズ・マーチ」以外は全て初聴き。一度に4曲もまとめて聴けたのは嬉しかった。
その中でも「不変のド」が面白かった。故障で「ド」の音が止まらなくなったオルガンからヒントを得たそうで、フルートやトランペットによって「ド」の音がずっと伸ばされている中で音楽が進む。ずっと耳鳴りがしてるみたいだったけど(^ ^;) アクシデントからも音楽は生まれる。


「葵上」
田村文生は相変わらずホラー映画の音楽みたいですごく良かった(笑)
葵上は「源氏物語」の光源氏の最初の正妻。光源氏が葵上と結婚する前に××な関係だったのが六条御息所で、葵上が六条御息所の祟りに苦しめられるエピソードを曲にしたもの。平安の奇々怪々な怪談…というよりももう恐怖の心霊特集。バスクラのおどろおどろしいソロ、ピッコロやEsクラの高音も恐怖心を煽る。拍子も激しく変拍子だし和音も怖い。
技術的にもかなり難しそうでしたが見事な怪演奏でした。この曲では雅楽器の笙が活躍。藝大なら雅楽器奏者も伝手に困らないですね。


スミスの「華麗なる舞曲」もちゃんとした上手な生演奏で聴くのは初めてかも。かつて挑戦したことがある曲でもあり(遠い目)、聴いていて昔のことを思い出してジーンときてしまったり (´;ω;`)
ってか挑戦したことだけは覚えてるけど、どうやって吹いたのかは頭も身体もすっかり忘れてる。もしかして夢だったのかしら。
いやしかし豪快で痛快な素晴らしい生演奏で聴けて幸せでした。若き才能たちの洗練された音色と音楽性、自信、それと演奏を楽しんでいるのが十分に伝わってきた。

我々世代にとってこの曲のファーストインパクトは、京都洛南高校による92年の吹奏楽コンクール全国大会での演奏です。
え?(;゚Д゚))自分と同世代の高校生なのに何コレ?え?って感じでした。

これ相当テンポ速いですけど、藝大ウィンドもこれに近い速さでした。
高校生のコンクール演奏と比べるのもなんですが、やはり藝大生は流石だと思いましたね~。

最後、アンコールで再びオラフ氏登場。大井さんの発案で藝大中のトロンボーン奏者を集め、オラフ氏と一緒に生徒も先生も総勢18名のトロンボーン奏者が並んで「マジック・スライド」を聴かせてくれました。トロンボーン充。

先月に聴いた東京佼成ウインドオーケストラの演奏会がかなり衝撃的で、自分の中の管楽器演奏の限界が更新されていたところ、素晴らしい演奏を聴かせてくれた藝大生にもまだまだ伸び代を感じたりして(何様のつもりかの上から目線)、彼らのさらなる飛躍とこれからの充実した演奏家ライフを願うのでした。(余計なお世話)

楽しい演奏会をありがとうございました。

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