あなたの知らない京都 前衛なのか、混沌か?アートギャラリー「カオスの間」
京都屈指の観光地「東山」に「それ」はあった。
瀟洒な店構えの画廊が並ぶ神宮道を一本入った静かな通りの雑居ビル。
目印は・・・↓↓↓ コレだ。ハンドメイド感が満載の看板。
適当に作ったのか、世界観を伝えるために「あえて」雑なのか。荒い手書き文字と、剥げ落ちた青い人形が独特の雰囲気。
カンカンカーン、と鉄の音を響かせながら、階段を上がると「カオスの間」と書かれた木製看板が正面に見えてくる。そっと、ドアを引くと目の前に広がる景色がこちら↓↓↓ マネキン、足、人体模型とよく分からないシロモノがズラっと(笑)
「こんにちはぁ~。ちょっと見せてくださーい」と間延びした挨拶をすると、映画の「ヘルレイザー」みたいなアート作品の奥から店主が現れた。「いいけど、500円もらうよー。」「あ、コレ、俺がつくったんよ↓↓」
愛想のいい店主が「どっから来たんやー?」と声を掛けてくれる。カオスなギャラリーの中で、さらっとした人当たりの良さが印象的。
「インスタとかやってる?撮った写真、載せてな!宣伝になるから。それ見て、みんな来てくれるからな~。さっき来た人も喜んでくれてたわー」とかなんとか。そんな話を聞きながら目のキョロキョロが止まらない。
すっきりしたお顔立ちの人体模型の横には、美脚が便器に突っ込まれている。その向こう側には多種多様なフラスコと洋画ホラーの主役をが務まりそうな・・適度にバラバラな人形。
こ、怖い・・・ガクガク((( ;゚Д゚)))ブルブル
グラス系のシロモノが上に並ぶ六人掛ほどのテーブルは重厚だが、表面のガラス面はバッキバッキに割れている。その割れ具合も妙に空間に馴染んで芸術的に見える。手を切らないようにだけ気をつけよっと。
「音楽もあったほうがええな?!」と店主がどこやらのスイッチをいじって、ミュージックON。ギャラリー奥の青光りするゾーンから、ドンワァンドンワン♪と暗い低音が響いてくる。この時点で異様さMAX。そして、壁にはフェミニスト団体がブチ切れそうな「縛り画」。
絵の隣には「猥褻(わいせつ)室」が・・・今のところ、猥褻室の中は空っぽらしい。ひねりのある猥褻を演出したいそうで、電気椅子の設置を検討しているが「電気椅子がなかなか見つからん」そうな。
そして、更に奥へ。
この辺りから人形とマネキンの数が増えてくる。\(〇_o)/コワイヨー。
スピーカーやら蓄音機やらの中に、レトロなスタンドマイクを発見したので、その前で歌ってる風の写真をパシャリと数枚、撮影。気分はスピッツ 草野マサムネ氏。
薄青い足元には結髪の美女の首。退廃的な妖気が漂い・・・淫靡だわ。
更に進んで、ロックテイスト、マネキン、分娩室表示、エロ画、アンティーク人形と鎖。・・・訳が分からなくなってきた。
そして、これまた良い具合にバラバラに解体された「呪怨」に出てきそうな顔の人形とお花柄の便座。便座ときたら、やっぱりヌード。
おどろおどろしい一角の隣には、普通にアンテークのコレクターが喜びそうな品が並んでいるコーナーがある。
気怠くアンニュイなブルー系の美女人形とピンク男が座敷に腰掛ける一角は西洋画と欠けまくったタイル壁に応援されて、ギャラリーの中でも一際目立つ「映える」スポット。
うつむき加減なブルー系美女の足元には、一世を風靡した面影も消え、消費社会の残酷さを全身全霊で表現しているかのような「リカちゃん人形」のピラミッド。
子供頃にはキラキラと輝いて見えたリカちゃん。世界に一人しかいない、と思っていた「リカちゃん」が様々な風貌で山積みにされている様は物悲しい。
黒髪のリカちゃん、茶髪のリカちゃん、金髪リカちゃん。ほとんどのリカちゃんがセミヌード、または全裸。足が長くて適度なバスト。スタイルが良い。リカちゃんのパンツは白い。
「ここ、どのアングルから撮ってもアートな仕上がりになりますね!」
「そうやろ~、そこは自信あるわ!」
カオスという言葉の元に計算されつくされた空間は、フォトジェニックだ。
気温が30度近くになったこの日、クーラーのない「カオス」で背中を流れる汗が増してきたので、名残惜しくはあるものの、退場することにした。
入口へ引き返しながら、改めて鑑賞をすると、入場した時には気づか無かった「秀逸なブツ」があちこちに配置されている。
この顎なし鉄仮面は、かつて、歯科技師さんが義歯を作るときに使用していたらしい。ライトの光が当たらない場所で、銀色の顔だけを浮き上がらせて、入り口を見つめている。
ほー、と何気に天井を見上げると「東寺DX拷問ショー」のポスター。京都で唯一となったストリップ小屋のイベントらしい。細部までこだわりが感じられる。
そのすぐそばの壁には、このオブジェとこのポスター。いや、もう、なんというか、京都は奥が深いっ('◇')ゞ
「楽しかったですー。ありがとうございましたぁー」
「うん・・長いこと、おったなぁ」
だって、こんなスポット、他にある?しかも、京都に?
帰り際に振り返って見えた世界を改めてパシャリ。東山にこギャラリーを作ったセンスに脱帽しつつ、汗を拭きながらカフェへと向かった日曜日の午後のお話。