去年のあした、私は彼に出会った
これは、わたしの物語で、わたしは今、わたしの物語を生きている。
去年のあした、私は大好きになる人に出会った。
まったくもって好みの風貌ではない彼から目をそらせなかった。
声がとても心地良く聞こえたことを覚えている。
彼に自分の存在を知らせたくて、話しかける機会を猛スピードで探した。そして、猛スピードで彼の「ものがたり」に飛び込んだ。
恋になると終わりがくる。
ずっと一緒にいたいから、友達になろう。
そう思った。けれども、そうはならなかった。
どんな関係であれ一緒にいられるのなら、そう、思った。
この人とでなければ見えない景色がある、そう思った。
夏がきて、耐えられなくなった。離れた。
失うのだ、と覚悟を決めた。
彼は、楽しかった頃に巻き戻しをしたい、と言った。新しい物語をこれから、と。二人でそうすることにした。けれども、そんなに簡単なモノじゃなかった。距離が測れない。
あぁ、なぜ、こうなってしまったんだろう。
あぁ、間違えてしまったあの夜に戻りたい。
あの夜が無理なら、あの雨の日でもいい。
戻って全部、やりなおしたい。
好きでたまらないから、ずっと一緒にいられる友達でいたかった。
この歳になっても、まるで10代のころの恋のように、ただ、ただ、好きだ、という気持ちを感じさせてくれる人がいる、一生で好きになる人の数なんてしれている、そんな人が今、そこにいる、それだけでシアワセなことでしょう?
そんなふうには、心がついてこない。
今はもう、つながりすら、消えそうな。
失うかもしれない覚悟と少しの希望にすがって生きている。
これは、わたしの物語で、わたしは今、わたしの物語を生きている。
去年のあした、わたしは大好きな人に出会った。
そして、物語を紡いでいる。
物語は、まだ終わっていない。終わらない。
この人とでなければ見えない景色がある、そう思う。
わたしの「ものがたり」にずっといてほしい。
これは、わたしの物語の備忘録。