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エッセイ 生まれて死ぬまでが人生

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Our life is our art. 「僕らの人生は僕らのアートなのさ」ジョン・レノンの言葉、これこそすべて。難しく考えるから、ややこしくなるのよ、見失うのよ。哲学しない日…
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映画「Fishmans」佐藤伸治が残したモノ

映画「Fishmans」佐藤伸治が残したモノ

少し無理をすると翌日ぐったり疲れる歳になったこの頃、偶然に、しかし必然であるかのように、佐藤伸治の横顔が大きく映った「映画Fishmans」の予告ポスターを見た。

Fishmans(フィッシュマンズ)。「バンドブーム」「渋谷系」という言葉がお洒落の代名詞のように溢れていたあの時代、彼らは東京のライブハウスで「イイ感じ」のサウンドを鳴らして揺れていた。

その頃の私は、秋に自転車を漕げばバッタと衝

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私がCOVID-19ワクチンを打たない理由

私がCOVID-19ワクチンを打たない理由

私がCOVID-19ワクチンを打たない理由。これほど「ワクチン」と「陰謀」という言葉を見た1年は無い。これまでのような日常を過ごしていれば、まったく接点のない二つの単語が吹き荒れている。あたかも「ワクチン接種」VS「非接種」が泥試合をしているような様相だ。

ある時、SNSに「ワクチンを打つつもりはない」とコメントしたら「頭が悪いアホ」だのなんだのと罵る「荒らし」達がやってきた。もちろん、この手の

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Being(在り方)より大切なモノなどないと思って生きている。

Being(在り方)より大切なモノなどないと思って生きている。

これまでの人生、自分は人を嫌いになる事が少ない人間だと思って生きてきた。

決して博愛主義者ではないし、菩薩気質でもない。むしろ短気でしょっちゅう猛毒を吐く。友人に「いつか刺されるよ」と忠告されたこともある人間だが「嫌いだ」と思う人は少なかった。きっと「コイツには近づかないでいよう作戦」が功を奏してきたのだと思う。

ところが、だ。何の因果か「大嫌いじゃー」と感じる人々と出会ってしまい、この1年半

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トンビの野郎にパンを盗まれたので、決闘を申し込もうと思う。

トンビの野郎にパンを盗まれたので、決闘を申し込もうと思う。

「鴨川でパンを食べてたらトンビがパクりにくるから、気をつけるんよ」何年か前に京都に引っ越してきてすぐ、地元の方にそう言われたことがある。

京都市民の憩いの場、鴨川の上空にはいつも優雅に曲線を描きながら、トンビがゆらゆらと周遊している。なんとものどかな情景だ。

しかし、ある日、事件は起きた。
二条VIVI(商業ビル)の1Fにあるパン屋さんで、ベリーデニッシュとカスタードクロワッサンを購入し「袋は

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ディープ京都: 見たこともないスキルを持ったコンビニ店員。

ディープ京都: 見たこともないスキルを持ったコンビニ店員。

ある日、ネット販売で購入した物品の返送をしようとミカン箱サイズの箱をかかえて行った近所のコンビニで、私は生まれて初めての経験をした。

レジの隅っこで着払い伝票を記入し、店員がメジャーを引いて箱のサイズを測り、料金を記入するのを眺め、ピッと引きちぎられた何枚目かの複写伝票を「控え」として受け取った。

特筆すべきこともない「普通」の流れを済ませ、飲み物コーナーでペットボトル類を一瞥し、冷蔵スイーツ

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「無意識」が過ぎて、ティッシュを箱ごと洗濯機に投げ込んだ清々しい月曜の朝。

「無意識」が過ぎて、ティッシュを箱ごと洗濯機に投げ込んだ清々しい月曜の朝。

洗濯機がお仕事を終えたので洗濯槽の蓋をあけたら、どえらい事になっていた。

絡まりあった洗濯物に大きな白い花びらのようなモノが膨大な量で付着している。もつれたオレンジ色のトレーナーの袖を引っ張ると、綱引きの縄のように連なったシャツやパジャマや下着と一緒に白いピレピレがへばり付いて出てくる。

なんじゃ、こりゃ?

洗濯槽の奥に手を突っ込んで、衣類の底からひっくり返してみる。湿り気を帯びた紫色の厚紙

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わらび餅が他力本願で「美味しい」の地位に君臨している疑惑。

わらび餅が他力本願で「美味しい」の地位に君臨している疑惑。

友人と素敵なカフェで食っちゃべっている時に(食べる+喋るのことです)こんな話題になった。

「わらび餅って美味しいって言われてるけど、わらび餅自体は味ないよね?」
うぉぉぉおおおおー。確かに、確かに、確かに!
言われてみれば、わらび餅は「喉ごし」は良いけれど、これと言った味覚を思いだせない。

美味しいのはわらび餅 itselfではなく、自我を主張することなく、わらび餅に寄り添っているきな粉と黒蜜

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永遠のソール・ライター京都展、私は、尽きせぬ喜びを追う旅をする。

Saul Leiter(ソウル・ライター)の写真が好きだ。

前年にコロナパニックで中止になった彼の写真展が、JR京都伊勢丹の7階にある「美術館えき」で開催されると知り、平日を狙って足を運んだ。

ソウル・ライターは人生をの大半をニューヨークのマンハッタンで過ごした。彼が写真家として活動を始めたころのニューヨークは治安も悪く、地下鉄車両はグラフィティ(落書き)で埋め尽くされていたような時代である。

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「紀里谷 和明」という人、そして、私の「遊園地」

「紀里谷 和明」という人、そして、私の「遊園地」

「宇多田ヒカルの元ダンナ」程度の認識しかなかった自分を叱りたい。

ある日の「Clubhouse」で紀里谷氏は人生を遊園地にたとえた。

結局のところ、人生は遊園地に行くようなものだ、と。そこには色々なアトラクションがあって、何を体験するかを自分が決める。退園するときには誰であっても、物質的なモノを遊園地から持ってでることはできない。持って出れるのは体験と感情だけだ、と。

財産、肩書、認知度、社

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既読スルーは女の精神を崩壊させる

既読スルーは女の精神を崩壊させる

「既読スルー」とは、時に女の精神を崩壊させる21世紀の新たな脅威のことである。

「既読スルー」とは、時に恋する女がグーグル検索エンジンに「既読スルー 男 心理」という検索ワードをタイプしたくなる誘発性の高い行為である。

「既読スルー」とは、女に「男女脳の違い」等という書籍を購入させ、無意識に低迷しつつある出版業界に貢献する間接的経済活動である。

「既読スルー」とは、女の日常の時間感覚を鈍らせ

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去年のあした、私は彼に出会った

去年のあした、私は彼に出会った

これは、わたしの物語で、わたしは今、わたしの物語を生きている。

去年のあした、私は大好きになる人に出会った。

まったくもって好みの風貌ではない彼から目をそらせなかった。
声がとても心地良く聞こえたことを覚えている。

彼に自分の存在を知らせたくて、話しかける機会を猛スピードで探した。そして、猛スピードで彼の「ものがたり」に飛び込んだ。

恋になると終わりがくる。
ずっと一緒にいたいから、友達に

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