「ゆるしてから」ではなく、「ゆるしながら」進めばいいのだと思う。
サロンで人の体と心に触れる仕事をしているとその中で「ゆるし」という言葉に出会うことが多々あります。
きっとわたしも、あなたも、色々のレベル、スケールで何かしらの「ゆるし」を行いながら生きてきたと思います。わたしは錬金術的アロマテラピーを学ぶ中で、「ゆるし」には2種類あると学びました。
何かを始める前の許可という意味に近い「許し」
何かをしでかした後、あるいは、されたの後の「赦し」
「ゆるし」のベクトルは、自分であることもあれば、他者であることもある。
このことを知った時、わたしは20代で家族との折り合い、自分自身の気質との折り合いがなかなかつかず、この「ゆるし」という学びを通して、豊かな自分であり続ける努力を学んだ気がします。
誰しも一度は誰かを「許さん!」と息巻いたことがあると思うけれど、
こういった強い感情は、自分を苦しめます。
「許さん!」と思えば思うほど、相手が深く反省し謝罪してくれるなら救われるのかもしれないけれど、実際にはそんなことは起こらない。なぜなら、相手は「許して欲しい」なんて微塵も思っていなかったり、そもそもその出来事さえ忘れていることが多いから。
自分のことを振り返れば、誰かに許してほしい。と強く思い続けたことがあるだろうか?人は自分の中の罪悪感を打ち消しながら生きているもの。そうじゃなきゃ、毎日を生きていくことはとても辛いし、忘れながら生きるのことは大切なことでもあるし、忘れることは許されている。あなたが忘れてもいいし、誰かが忘れてもいい。忘却も1つの「ゆるし」なのかもしれません。
心が優しく綺麗な人は、許しと許せない自分の間でひどく葛藤されていることがあるけれど、その方達は、ここでパシっと許して、吹っ切るようなイメージで「ゆるし」を捉え実行しようとされているように感じます。
でも、そんな風に気持ちを吹っ切ることやなだめることは簡単じゃないし、どんな気持ちであれ、あるものをないものにするのは大変だ。だから、男前にやろうとせずに、「許しながら」生きればいいのではないかなぁ、わたしは思います。三歩進んで二歩下がるみたいな感じで十分な気がするのです。
気持ちは簡単に白黒に分けられないし、日常のあらゆることはグレーでそのグレーが、白黒のどちらに靡いていくかは、その時の気分や状態にもよる。
神様モードの自分とブラックモードの自分、その間を行ったり来たりしながら、物事の捉え方に膨らみが出て、感情が少しずつ好ましい方向に淘汰されていくことは、やはり、祝福なのではないかと思います。
あーでもない。こーでもないと右往左往することは、心を内側からストレッチしているようなもので、いつかそのグルグルから飛び出すためのバネになっていくのだとしたら、ぐるぐるも悪くない。
気がついたら、「もう、いいわ。」となっている。そういう穏やかな「ゆるし」もあるな、と思います。もちろん、一刀両断でバシッと決めるような「ゆるし」もあるし、あらゆる感情を愛ながら、ゆるりするりと一抜けしていくような「ゆるし」もあって、心に無理なく選べるといいなぁ、と思います。
最近、つまるところ、「ゆるし」は「自己愛への目覚め」へと繋がるのではないかと感じています。ゆるしが先か。自己愛への目覚めが先か。どちらが先なのかはわからないけど、愛とゆるしは、大きなパワーを持っていて、変容を促すのだと。
「絶対許さない!」そういった強い感情は、その時の自分を奮い立たせるために必要だったかもしれない。だけれど、「絶対許さない!」という強い気持ちは、やはり心地の良いものでなく、心を乱します。
この気持ちは相手に対して飛ばすことができるけど、相手が受け取らなければ、その相手の中にはないのと同じ。受け取る気のない人に念を飛ばしても、相手に届いているという手応えも得られないし、報われることもない。
人間関係において、暖簾に腕押しほど虚しいものはないけれど、強い感情の一番近くにいるのは誰か?好ましくない感情の一番の被害者は、自分自身である。そう考えると、強い感情の取り扱いって本当に大切だなーと思います。
どんな感情と共に自分がいるのか。
それは、その人の幸福度を左右するでしょう?
わたしが怖いなぁーと思うのは、自分が持った強い感情が知らず知らずのうちに宇宙のゲートを通って、その人の願いとして、宇宙との契約として扱われてしまうこと。一度、このオーダーが通ってしまうと、何かをゆるそうとする度に、「ゆるせない状態」をキープしようと宇宙が作用してきて、許そうとしては許せない、というシーソーゲームに苦しんでいく。
契約というのは、解除しない限りその効力を失わない。だからこそ、あの時のわたしは、こういう強い気持ちを持ったけど「あの契約は打ち切りにします!」と定期的に自分のもった感情を見直し、自分を幸福から遠ざける契約の解除を宣言することは大事だと思う。
ゆるせないのは、あなたの人格や性格の問題ではなく、宇宙と無自覚に結んでしまった契約が原因かもしれない。そういう可能性も含めて、ゆるせたり、ゆるせなかったりしつつ、それ自体も「ゆるしながら」心の平穏の方向に自分を進めることができたら、いいですよね。
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