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『線香花火』歌詞解釈(空想物語)

『線香花火』

今回の『線香花火』歌詞解釈は、2020年9月初旬にTwitterに投稿していたものを加筆・修正したものです。

歌詞解釈というよりも、私が『線香花火』を聴いて勝手に創り上げた空想物語です。
物語には序章と本編があり、本編が歌詞解釈にあたります。

なぜこの設定・ストーリーなのか、根拠はちゃんとあります。
空想物語の後に、空想物語の解説(物語執筆の背景、根拠)も書いています。

少し長くなっていますが、こんな曲の楽しみ方もあるんだ、という風に読んでいただけると嬉しいです (^^)
本編は是非『線香花火』を聴きながら読んでみてください♪

※あくまで私見による解釈であり、作詞した りえいくん本人が意図する解釈とは異なっている点もあるでしょうし、解釈の仕方は人それぞれ自由だと思います。私の歌詞解釈を読んでくださった皆さんが りえたくの音楽をより楽しめたり、皆さんと りえたくの音楽の素晴らしさを共有したりすることができたなら本望です。

※[]は歌詞からの引用を示します。

◆今回の歌詞解釈は空想物語

これは牧場の片隅で、国語好きの家畜が妄想に暴走を重ねた結果生まれた空想物語です。
りえいくんがこの曲を創るにあたり思い描いた空想とはかけ離れた妄想になっている恐れがあることをご了承ください m(_ _)m

なお、今回の歌詞解釈は、歌詞だけでなく、たっくん・りえいくんの歌声や後ろで鳴っている様々な音からインスピレーションを受けて成立しました。
なぜなら、歌詞だけ読んでいても、意味がよくわからなかったからです…。
(りえいくん、ごめんなさい!滝汗)
また、それくらい、歌声や音から伝わってくるものが大きかったということです!

物語の時代背景としては、江戸時代をイメージしました。

◆構成

1Aメロ→1Bメロ→1サビ→2Aメロ→2Bメロ→2サビ→ラスサビ

◆序章

長手牡丹の線香花火。
牡丹、松葉、柳、散り菊。
火をつけてから落ちるまでのドラマ。
恋は、線香花火によく似ている。
ひと夏の恋、僕は君に恋をしていた。

今年もこの季節がやってきた。大嫌いだ。
我が家は代々、花火師。
両国の川開き花火(現在の隅田川花火大会)があるこの時期は一年で最も忙しい。
夏生まれの僕は毎年寂しく歳を重ねてきた。
今年は違った。

君に出会ったのはいつだったか。
同じく花火師の家に生まれた君は、気づけば僕の傍にいた。
二人で他愛無い話をしながら時間を過ごし、互いの寂しさを紛らわせていた。
いつの間にか、寂しさよりも君への気持ちが大きくなった。

八月の終わり、地元の神社で催される夏祭り。  
「一緒に行こう」
はにかみながら君が言った。
『いいよ』
君の笑顔。
牡丹の花が膨んだ。

◆本編

浴衣で現れた君。紺地の空に鮮やかな花火。
思わず見惚れた。
「何、じっと見て?気持ち悪い〜(笑) 行くよ!」
『…似合ってる』
歩き出した君に聞こえたかはわからない。
でも、その頬は赤く染まっている気がした。
 

神社の奥、盆踊り会場に向かって、
君は何も言わず前を歩いて行く。
綺麗だな…。
気づけば君の手に触れていた。
君は驚き、振り返る。
『あ、えっ!?ごめんね、転けそうになって!』
慌てて離した行き場のない手で頭を掻く。
「ほんと、ドジ!オカアチャンが抱っこちまちょうかぁ?」
君はすぐに戯けて笑った。そしてまた歩き出す。
いつもの距離からの君の背。
どこか寂しげだった。


盆踊り会場。
やぐらに向かい、色彩華やかな提灯が花開く。
立ち尽くす君。
びくびくした。
肩を並べた君、うっとりした横顔。
「綺麗…」
『そうだね』
「ふふっ」
僕の視線に気づき、君は照れくさそうに笑った。
心が和んだ。
「ほんと綺麗」
美しい横顔にドキッとして視線を落とす。
一匹の蛍が通り過ぎた。
なぜだろう。
この手に触れたら消えてしまいそうな気がした。


浴衣を着て微笑む君。
八月の終わり。
君の手がこんな近くにあって遠い。
牡丹のように大きく膨らんだ想い。
松葉のように燃え溢れて心が染まる。
僕は君に恋をしていた。線香花火みたいに。


盆踊りの輪。途中から合わせ踊る君。
どれくらい待って手繰り寄せ出逢ったのか。
僕のことを本当は馬鹿にしていないこと、初めから知っていた。
打ち上げ花火が上がった。
君が輪を抜け、隣に来る。
寄り添う君と肩だけ合わせて見上げていた。
もどかしさと幸せを感じながら。


時間だけが過ぎていく。
真夏によくある突然の雷鳴。
帰り急ぐ人の群れにポツッポツッと落ちていく。 
僕の手に触れた一雫がやけに冷たくて、初恋の殻は閉ざされていった。


「もう終わりか。」
前を向いたまま君が言う。
「会えてよかった。ありがとう」
真面目な表情でこちらを見る。
『何?急に、改まって…』
戸惑い笑う僕。
「さよなら」


浴衣を着て悲しそうに微笑む君。
『えっ…⁈ なんで⁈』
訳がわからなかった。
八月の終わり。君の手が差し出される。
「握手」
促されるまま手を握る。
「…じゃあね」
ぎゅっと力を込めた後、君の手が離れる。
『待って、好…!』
「わかってた。私も」
光に眩んだ次の瞬間、君はいなくなっていた。
牡丹のように大きく膨らんだ想い。
松葉のように燃え溢れて落ちてしまった。
僕は君に恋をしていた。線香花火みたいに。


浴衣を着て微笑む君が脳裏に浮かぶ。
八月の終わり。
触れたくて仕方なかった君の手が。
触れたら消えてしまった。
牡丹のように大きく膨らんだ想い。
松葉のように燃え溢れて落ちてしまった。
僕は君に恋をしていた。線香花火みたいに。


それでもまたいつか、僕は君に恋をする。

◆空想物語の解説

国語好きの家畜が妄想に暴走を重ね、空想物語を生み出した背景・根拠をお話しします。
この曲『線香花火』は歌詞、たっくん・りえいくんの歌声、後ろで鳴っている音、全てが調和して曲の世界観を創り上げていて、本当に素晴らしいです!!
物語執筆の裏側をお話しすることで その素晴らしさを皆さんと共有できたら本望です。

この物語、一言で表すならSF恋愛時代短編小説でしょうか?
物語執筆のポイントは大きく、①時代背景、②場面・人物、③[君]が消えた訳、④線香花火みたいな恋、の4点です。
それぞれについて解説していきます。

◆①時代背景

私は物語の時代背景を江戸時代に設定しました。
この曲を聴いた時、現代よりも古い時代の恋模様が描かれていると感じました。
それはなぜか?
決めては、たっくんの歌い方と鳴っている音です。

たっくんのサビの歌い方。賛否両論あったようですが、私は大好きです (♡ω♡)
最初に聴いた時「こんな歌い方もできるんだ!」と嬉しい驚きを覚えました。
[ゆかたびら]の[ら]、[八月が]の[が]、[溢れては]の[は]で声を裏返しながら息を吐いていますよね?
その歌い方に民謡っぽさ、古さ、イマドキの歌い方とはまた違う味わいを感じます。

そして後ろで鳴っている様々な音。
サビで鳴っている和音は雅楽を彷彿とさせませんでしょうか?
あと、1Bメロ前〜1Bメロで鳴っている木琴(?)も。

歌い方・音に加えて、歴史を少し勉強した結果、江戸時代でいこうと決めました。
線香花火のルーツを辿ると、どうやら江戸時代のようです。
「玉屋ぁ、鍵屋ぁ」で知られる花火師が誕生したのも江戸時代です。
後述する盆踊りも、江戸時代初期までに現在の様式が確立され、町民・農民問わず日本各地で踊り継がれてきたとのこと。
このような歴史も踏まえ、江戸時代が整合性がとれてよいのではないかと考えました。


◆②場面・人物

私は恋模様が繰り広げられる場面を神社で開催される夏祭り(盆踊り)に設定しました。

1Bメロに[夏祭り]が出てきますし、[君]は[湯帷子]を着ていますし、夏祭りというのはすぐにイメージできます。

しかし、[夕暮れ夏日始まる夜明け夏祭り]、このフレーズの意味が中々掴めませんでした。
複数の情景を並べているのでしょうか?
それにしては順番に違和感を覚えます…。
そんな中、岐阜県の盆踊りに徹夜踊りというものがあることを知りました。
日が暮れた後の夜から、夏日の日差しが差し始める夜明けまで続く夏祭り=盆踊りのことか!と、半ば強引にこじつけました (^^;)
でも、2Aメロに[途中で合わせ踊る君に]と出てくるので盆踊りで矛盾なさそうかなと。

盆踊りの舞台を神社に設定したのは、音からのイメージです。
1Aメロでシャンッと鳴っている鈴やサビの雅楽っぽい和音が神社っぽいなと感じました♪

神社って神秘的・幻想的な場所で歴史、時代、過去から現在までの時の繋がりや時空を超えられる不思議な力を感じませんか?
そんな点も幻想的なこの曲のイメージに合うと感じました。
図らずも、「ジンジャーズラブ」になりました♡

※「ジンジャーズラブ」とは、りえたくの神社での休日デート動画を、りえいくんがTwitterで告知した時に生まれた言葉だと思われます。

次に登場人物の設定について。
歌詞に主語はないのですが、YouTubeで『線香花火』初披露の際、"ひと夏の恋、僕は君に恋をしていた"と流れたので、主人公は"僕"です。

(『線香花火』披露は7:56~)

"僕"と[君]の関係性ですが、1Aメロに[いつもの距離]とあるので、知り合った後、ある程度関係性が出来上がっていることがわかります。

[馬鹿にしたように戯けて笑っていた]のは[君]だと捉えた私は、[君]は明るくて少し強気なイメージ、[君]の方が"僕"より少し優位な立場?友達以上恋人未満みたいな関係性なのかな?と妄想しました。

[はぐらかした手][手に触れて][君の手が]
手に触れるかどうかというピュアな恋模様が展開されているように感じられるので、二人の年齢は10代かなと想像しました。
序章では花火も絡めて、二人の関係性を肉付けしました。

◆③[君]が消えた訳

物語の終盤、[君]は突然"僕"の前から消えました。

Q. なぜ消えたのか?
A. タイムワープです。

[君]は江戸時代から見た未来、つまり現代からタイムワープして"僕"と出会っていたのです。
タイムワープにはタイムリミットがあります。
そのタイムリミットが盆踊りの日だったのです。


なぜこんなSFな展開を思いついたのかというと、素敵な音からなんですよね (*^^*)♪

♪1Aメロ初っ端:カチャッ(カシャッ)という音
…時空の門の鍵が開いた
♪1Aメロ1Bメロ2Aメロ:金属音みたいな音
…時空が歪み(ひずみ)始める
♪1サビ2サビ前:シュルルルという音
…時空の歪みに吸い込まれる
♪サビ前:シュルルルの後の一瞬の音の空白
…時が一瞬止まる
♪間奏:ベルみたいな音
…タイムリミットを告げる
♪間奏:不規則なリズム
…時空が歪む
♪間奏最後:ウィンドチャイムの音
…時空の門が消えた
♪アウトロ
…現代へ切り替わる

全体的に古風な曲調でありながら、間奏以降は現代的な感じもします。
間奏が古い時代と現代を繋いでいるみたい。
そんなインスピレーションからタイムワープを発想しました。


[君]はひょんなきっかけでタイムワープして何らかの目的で"僕"に会いに来た。
私はそんな風に思います。

物語の最後「それでもまたいつか、僕は君に恋をする。」はタイムワープを知った"僕"の切ない希望です。

◆④線香花火みたいな恋

[溢れては染まる君に恋をしていた 線香花火みたいに]
線香花火みたいな恋ってどんな恋でしょうか?

線香花火の燃え方には起承転結があると言われています。
燃え方は4段階あり、牡丹・松葉・柳・散り菊と名付けられています。

花火はいつか燃え尽き、終わりが来ますが、線香花火の場合、いつ火の玉が落ち終わるか予測不可能です。
燃え盛っている途中で突然終わりが来ることも。


1Aメロの歌詞は牡丹みたいだなと感じました。
"僕"も[君]も互いに好意を持っていそうなのですが、戸惑いや恥じらいがあって燃え切らない。
淡い恋模様が描かれている気がしました。

[いつもの距離からの君の背]にどこか寂しげな感じを漂わせたのは、[君]は恋の終わりが来ることを、タイムワープのタイムリミットを知っていたからです。


"僕"と[君]の恋が儚いものであることは、1Bメロの歌詞から感じ取れます。
[手に触れて消えてしまえば蛍の光に拐われて揺れる蜃気楼]
この歌詞の解釈がまた難しいのですが、実っても消えてしまう幻の恋、私はそんな風に感じました。

ここのりえいくんの歌い方、[蜃気楼]の[ろう]のかすれた感じが儚くて好きです♡
歌声からもインスピレーションを受けました。


サビに入ると"僕"の恋心が松葉のように激しく燃え出しているように感じました。

たっくんの[君の手が]の[が]に気持ちの強さを感じます。素敵な歌声 (♡∀♡)
[君の手]に触れたいと強く求めているけれど、届かないもどかしさがあるように思いました。

[溢れては染まる君に恋をしていた]
私は牡丹から松葉の状態なのかなと考えました。

1サビの[みたいに]の[に]は音程が平行で、まだ線香花火が燃えているとイメージしました。
でも、たっくんの歌い方はすごく繊細で儚さがあります。


2Aメロでは"僕"と[君]の距離が縮まるような感じがしました。
はっきりとはしていないれけど、多分心が通っていたんじゃないかな…(*´ ᵕ`)

手には触れず[肩だけ合わせて]いた。
もどかしい〜!でも幸せなひと時。


そんな時間は束の間。
2Bメロは恋の終わりを予感させます。
[この殻は閉ざされていった]という歌詞とりえいくんの歌い方から、ああ、この恋終わっちゃうんだ…(;ω;)と。

2サビとラスサビの[みたいに]の[に]は音程が下がっているんですよね。
このたっくんの歌い方から線香花火の火の玉が落ちてしまった、"僕"と[君]の恋が終わってしまったと私は感じました。


でも、決して悲しいだけの恋ではなかったと思います。

ラスサビの[ゆかたびらを着て微笑う]のたっくんの歌い方、優しいです。
"僕"が[君]のことを愛しい気持ちで回想している、そんなシーンが思い浮かびます。

そして、最後の[それでもまた恋をする]のたっくんの歌い方がまた最高で (*≧∀≦*)
とても切ないです。

この歌い方からは、私は、"僕"が[君]と現実的に恋をすることはもうないなと感じました。
でも、いつか、どんな形であれ、また恋をする。
そんな"僕"の希望も感じました。


"僕"と[君]の恋の行方は、たっくんとりえいくんの歌声が決め手でした。
りえいくんの歌声にヒントをもらい、たっくんの歌声が決定打になりました。


この曲はたっくんの歌声が舵取りをしている。
そんな風に感じたのは今回が初めて(『線香花火』が配信された時点で)です。

りえいくんが創り上げたメロディ、歌詞、世界観はとても素晴らしいです!
でも最終的にたっくんの歌声が世界観・ストーリーをリードしているように感じます。

たっくん、凄いよ!!
とても嬉しくて、とても感動しました (´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)♡♡


とても長くなってしまい、すみません…。

ここまで読んでくださり ありがとうございました (* ᵕᴗᵕ)⁾⁾

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