【対談インタビュー】ART BOX様
自己紹介
中西:
in&no.(インナンバー)というチームで2020年1月から活動しています。
4名の女性メンバーが、特別支援学校の先生と結成したチームです。経緯としては、特別支援学校の生徒さんの作品がとても素敵であるにもかかわらず、社会に露出する機会が少ないというお話をいただき、発信できる場を作ることができたらという想いでin&no.を結成し、活動を始めました。
まずは、店舗様でのアート展示をきっかけとし、派生した色々なイベントをする中で、山本さんと出会いました。
山本:
色々な活動をしているのですが、目標としては、アートを入口にして社会や福祉を少しでも変えていくことをしていきたいです。
現在の活動のきっかけについて教えてください。
岩井:
山本さんが絵を描き始めたきっかけはありますか?
山本:
17歳のときに出会った絵の師匠がきっかけです。17歳までは、絵は全くやってこなかったのですが、高校の授業で美術を選択したことがきっかけでした。
実は、当時は美術が嫌いだったのですが、そんな僕がなぜ美術を選択したかというと、選択科目に、音楽・書道・美術の3科目がありました。その中で、音楽は音符を読むテストがあり、僕は目に斜視があるため、あまり読めず、音楽は選べなかった。書道は先生がめちゃめちゃ厳しいと聞いていたので、選びませんでした(笑)
最後に残ったのが美術でした。先生が優しいと聞いていたので、単位を落とさなかったらいいかなと思い、美術を選択したのが始まりです。初めての授業の日、先生から鉛筆を渡されて。描いたら先生がほめてくださり、始めて3か月くらいたった頃から、「先生のアトリエに遊びに来ないか?」と声をかけてもらい、遊びに行きました。
油絵の絵の具の使い方を教えてもらったのですが、僕が全然言うことを聞かないから、あとは自由にやっていいよって感じで。
当時、単位を取得するため選んだ美術がきっかけで、こんなにも人生が変わるなんて思ってもなかったです。
岩井:
中西さんの学生時代のお話もお伺い出来たら嬉しいです。
中西:
昔から何に対してもチャレンジするタイプで、興味があるものはまずやってみてました。それから、正義感が強かったので、いじめているグループがあったら、直接いじめは良くないと言いにいくようなタイプでした。いじめがなくなったらいいなと思っていました。
誠実か、誠実でないかが自分の中であって、それがあかんやろっていうことであれば伝えていた。
ただ、人からは嫌われたくないっていうのがあって、自分がやりたいこととか好きなことを表現ができるタイプではなかった。どちらかというと人に合わせるタイプでした。
岩井:
今はすごく自分のやりたいことを表現されているような気がします。
中西:
経験を積み重ねていく中で、子どもの頃に戻っていくような、研ぎ澄まされていく感じがしています。経験を積み重ねて、今は心からやりたいことをやれているような気がしますね。
岩井:
山本さんと出会う前までは、何をされていたのですか?
中西:
山本さんとは、in&no.の活動を始めて1年目に出会いました。
それまでは、色々やりすぎて(笑)
仕事でいうとウェディングプランナーを東京でやっていた時期があり、やると決めたらすごく頑張るタイプで、頑張りすぎて体がもたずドクターストップになり(笑)そこからインテリアメーカーで販売員をやってみたり、出版社でナレーターの仕事をさせていただいたり。今は会社員の仕事で保育園の緑化事業にも携わっています。
岩井:
in&no.の活動を始めたきっかけについて教えてください。
中西:
20歳くらいのときに、身近な方との死別が多くて。もともと付き合っていた彼や小学校の親友、祖母、学校の先生が亡くなった時期が同じで。そのときに命のはかなさや、あのときにちゃんと言っておけばよかったという後悔や、反対に伝えておけてよかったなという想いがあり、命や人を大事にするということを伝えていける仕事をしていきたいなと思いました。
当時は大学で社会学を学んでいて、尊厳死や奴隷、人種差別のことなどを積極的に学んでいました。そのときは何の仕事をしたいとかまで分かりませんでしたが、in&no.で今一緒に活動している笹野めぐみさんという方から一緒にやりましょうというお話をいただいて、活動し始めたのがきっかけです。
声をかけてくださった笹野さんのお兄さんが障害をもっており、それまでは障害についてそこまで身近に感じていなかったところがあって。私の中では、障害について(社会的な)線みたいなものはなかったのですが、改めて一歩外に出てみると線みたいなものを感じて、もっと学びたいなと思いで、今一緒に活動をさせていただいています。
他にもカメラマンの寺田弥生さん、デザイナーの吉崎菜月さんがいます。
アートを発信していくにはカメラマンが必要だったり、デザイナーが必要だったりするのですが、みんなの想いが共通している。優しい世界をつくりたい、一人ひとりの特性や障害を持っている方のアーティストさんの発信だったり、外に出る一歩きっかけがほしいなだったり、それぞれの状況や意見を聞きながら『何をやっていく?』と寄り添ってやっていきたいね、と話しています。想いが一緒なので、チーム内の会話がとてもはずみます。
今後の展望について
岩井:
今後こういうことをしていきたいなっていうことはありますか?
中西:
アートを通じて、福祉を気軽に感じていただける時間づくりや関われる機会づくりを今後もしていきたいなと思っています。
子どもから大人までの幅広い世代を対象に、地域で必要とされていることを随時やっていきたい。
もともとのコンセプトを大事にしながら、共感し合える地域の方や企業様と一緒にin&no.の活動をやっていけたらいいなと思っています。
中西:
山本さんは、教育にも昔から携わられていますよね。
山本:
教育的なところでいうと、年2回大学へ『アートと音楽』『アートと社会と福祉とのつながり』というテーマでゲストスピーカーとして呼んでいただいたりしています。障害をもっている方への働く機会、作業所(※1)という社会の枠組みだと賃金が低かったり、社会的価値が非常に低かったりするので、ちっぽけな活動ではありますが、社会の中で働いて僕らの一つの社会的役割っていうものを果たしたいということを思っています。作業所を頼らず自分の発信ができないかなと。
障害という社会的な物理的な障害ではなく、社会的バリアによる障害というのがあることが否めない。そういったところを、ARTBOXさんの活動の中で、発信していくきっかけをつくっていきたい。
障害をもっているだけで、人生のレールが敷かれている。そのレールを少しでも良い方向性に持っていきたいということを目標にやっています。
中西:
1人の人として尊重し合いたいですよね。
岩井:
そうですよね。お2人のお話を伺って、まず知ってもらうってことが大事なのかなと思いました。
中西:
この活動を通して、1人でも多くの方に知ってもらえるきっかけができたらいいなと思います。
ただこの活動は私たちがやりたくてやっている。ボランティアなので、不定期の開催にはなっていますが、必要だなというタイミングだったり、これはやりたいよねっていう私たちがわくわくしたことにはどんどん参加して、輪が広がっていったらいいなと思います。
岩井:
今後とも一緒に活動していけたら嬉しいです。引き続きよろしくお願いいたします。
◾️参考◾️
※ARTBOX様、山本様のご活躍はこちらからご覧いただけます。
▽ ARTBOX様
▽山本様