理想の母親像を演じるのをやめた日
「我が家のおふくろの味って何だろうね?」の質問に
「マックじゃね?!」と返して爆笑する息子たち。
若干傷つく私に「ネタやん!」とフォローしてまた笑う。
何も私がマックを強制的に食べさせてきたわけじゃない。
「何食べたい?」ときくと、申し訳なさそうに「マック」
言うから、ついついマック率が高まってしまっただけで…。
唐揚げ、ハンバーグ、すき焼きなど、息子たちの
テンションが上がるご飯を作らないってわけではないけど
フルタイムで働き続けてきたので、手抜きも多いのは確か。
いそがしさや、精神的余裕の無さ、食欲や気力の低下で、
買い物に行きそびれる日が続いて、日に日に冷蔵庫が
寂しくなり、「あのーそろそろ買い物に行ってもらっても
いいですかねぇ?」と子供に言わせてしまうこともあった。
「まだまだ創意工夫次第で食べられるものはありますよ」
と言いながら、心の中で食べ盛り野球部の子供たちに謝る。
こんな感じで、母子というより、ルームメイト感が強い。
母の鏡の様な、元保育士の家庭的な母に育てられたのに、
とても真似できないどころか、母と呼ばれるには程遠い私。
昔はよく、理想の母を演じようと必死で、から回っていた。
何年位前だろう…まだ子供たちが小学生だったある日、
もうダメすぎる自分が辛過ぎて、申し訳なさ過ぎて、
これ以上がんばれないと諦め入り、開き直ってしまった。
「こんな、ダメなママでごめんねー!でも愛してるよー♡」
その時の子供たち、特に長男の何とも言えない一瞬見せた
ホッとした顔を、今でも忘れない。それ以来、なんとなく
私は子供たちにずっと守られてきた感じさえしている。
理想の母を演じようとする私の前ではきっと、子供たちも
理想の息子を演じようとしなければならなかったのかも。
幼少期からずーっと、私がそうしてきて窮屈だったように。
その日を境に、子供たちとの距離が縮まった気がしている。
親が子に甘え始めて初めて、子も親に甘え始めた我が家。
「仲良いね」色んな人に良く言われて嬉しい言葉のひとつ。
思う様に運ばな過ぎる現実に生きていた頃は、ドラマを
観るのもしんどくて、お笑い番組ばかり観ていた影響か、
子供たちもお笑い好きに育ち、今コントの様な日常がある。
一緒に生活できるのも、残り少なくなってきているけれど、
引き続き、周りの人を笑わせ、楽しませ、幸せにできる
母が定義する、更なるイイ男像に成長して欲しいと願う。
おふくろの味って、認めてもらえるご飯が見つかるまで、
テンション上がるメニュー考えて、作り続けるから。