京大ケッペキさんの舞台をみた
今日の夜に京都大学劇団ケッペキさんの舞台を観に行った。私は今年の2月にケッペキOBの方がかかれた「うかうかと終焉」の演出をやらせていただいていて、ぜひどこかで観に行かねばならないという使命感があったのだけれど、今回「THE BEE」を上演すると聞いて、1番やりたかった脚本で先を越された…!という思いと共に、やっぱり不思議な巡り合わせを感じてしまって、即決で行くことに決めた。
「うかうかと終焉」は退去が決まっているある学生寮の話で、最後の1週間の別れを描くものだった。今回の「THE BEE」は野田秀樹さんが書いた脚本で、あるサラリーマンが家に帰ると脱走犯が妻と子供を人質に立てこもっており、それを知りサラリーマンも脱走犯の妻と子供を人質に立てこもる…という話だ。印象的なのは子供の指を切り落とすシーンで、タイトルにある蜂とはいったいなになのか、解釈を明かしてくれるかなと思っていた。昔本家をDVDで見た時は、ストックホルム症候群といったような、毎日指を切られていく一方で、犯人と同居し日常であった行為をするという、非日常が日常化する異質さ、人の反転する狂気を強く感じたのだけれど、今回はその点に関して少し弱く感じてしまった。女と子の関係性、男の心情、出来事に対する変化をわかりやすく観たいなとも思ったけれど、それは個人的な好みかなとも思う。代わって役の演じ分け、急展開への動き、集団群像としての表現、舞台への昇華が見事で、特にシーン間の入れ替わりや舞台の使い方がとてもよくかっこいいなと思った。一人一人の見せ場もきちっとあり、みんなで一体となって作り上げてきた熱量を感じた。蜂、指を切ることの解釈やテーマはよくわからないように感じたけれど、各々の役者さんがとてもかっこよく際立っていて、こんな舞台に立ってみたい、この脚本をやってみたいと思う満足した舞台だった。私も刑事さんやサラリーマンさんのような独白、個性を出せるようになりたいと役者として思う、最高の舞台だった。子供とどもり犯人役の人もよかった。役を使い分け時に対抗し時に見えない、癖のある大好きな役者さんだった。
いろいろ書きましたが最後に、あの演出も舞台もとてもとても素晴らしかったです。この舞台を作るまでの膨大な労力とやり遂げる力を、私は本当にとても尊敬しました。私が観た中で1番大好きな学劇です。ありがとうございました。