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#2 マレーシア不妊治療のリアル

こんにちは、エルです。

わたしは、2023年6月現在進行形でマレーシア クアラルンプールにて不妊治療を受けています。

これまでの治療歴やわたしたち夫婦のプロフィールについては、前回の記事よりご覧ください。

今回この記事では、わたしがマレーシアで不妊治療をしてきて、わたし個人が感じているマレーシア不妊治療の特徴や事実を書いていきたいと思います。

もちろん、クリニックやドクターによって考え方や治療方針が異なる部分もあるかと思います。あくまでわたし個人が体験・体感したことや、情報収集して知っている範囲での話となります。


マレーシア不妊治療の特徴

前回の記事の通り、わたしたち夫婦は渡航前の期間に日本のクリニックで基本的な婦人科検査や精液検査などは済ませていました。

日本では専門クリニックに通っていたわけではないため、一概に比べて語ることはできません。

本を読んだり、ネットやSNSを使って情報収集をしてきたなかや、不妊治療以外の通院経験などで日本と違うと思うところも書いていきます。

いつも患者側に決定権がある

日本の病院の場合、まず検査をして、特に問題がない場合はタイミング法を数回試して、人工授精を数回試して、その後体外受精などへ進む、

といったかたちで徐々にステップアップをしていくのが普通の流れだと思います。

※年齢や不妊理由などによっても異なると思います、これは30代前半のわたしの見知る範囲の意見であることを理解ください。

こちらでクリニックにかかった時に感じたのは、治療をどうしたいかは「いつも患者側に委ねられている」というところでした。

それは不妊治療に限らず、病気や不調で他の診療科にかかったときも同様。

いくつかの選択肢を提示され、「どれがいい?あなたはどうしたい?」と医者側に質問されるのに、カルチャーショックを受けました。

ここで詳しい話までは割愛しますが、それは恐らく国民皆保険制度のある日本とは状況が違い基本的にすべて自費診療になる国だからなのだと、後から気が付きました。

話を不妊治療クリニックに戻します。

まず、日本での検査歴をドクターに確認してもらったときに言われたこと

「まだ夫婦とも30代前半、AMHの値も平均値、初めての治療、特段不妊の原因もなさそう、あなた方が希望するなら最初から体外受精にトライもできるし、どうしたいですか?」

不妊治療にかかわらず、これまで日本では病院の先生に言われた通りに検査や治療をすすめるのが当たり前だったので、

自分で治療の内容や順番を選んでいいの?

というのが正直な感想でした。

これは逆に言えば、自分たちで決めなければならないということ。

わたしたちは日本での検査で特に異常がなかったこともあり、初めから先進医療にトライする勇気はありませんでした。

自分たちの意思で、日本の治療方針にならいまずは人工授精から挑戦してみることにしました。

治療の決断についてドクターは「こうするべき」とは言いません。判断はいつもわたしたちに委ねたうえで、適切なアドバイスをくださいます。

お金さえ払えば豊富な選択肢

マレーシアの不妊治療ではお金さえ払えば、治療の選択肢がかなり豊富です。

具体的に記載すると、日本では認められていない治療も選択可能です。

一発目から高度先進医療が受けることができます。

体外受精へのステップアップを決め、クリニックの担当者やドクターと今後の治療の選択肢について話し、

私たちは初めての1回目の体外受精の方針については、高刺激採卵、そして胚盤胞の着床前診断(PGT-A)の実施を選択しました。

日本の不妊治療クリニックの場合、わたしたちのような年齢・治療歴(初めての不妊治療)、初めての体外受精において着床前診断まで実施することはまずあり得ないはずです。

日本での着床前診断ができるのは、通常以下の条件であるとされています

1. PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)は、体外受精と胚移植を2回以上行っても着床しなかった不妊症のカップルや、流産の経験が 2 回以上ある不育症のカップルを対象としています。
2. PGT-SR(着床前胚染色体構造異常検査)は、男女のどちらかに染色体の構造異常があるとわかっていて、それが不育症の原因となっている、もしくはそれが原因となって今後、流産をしてしまう可能性のあるカップルを対象としています。

日本産科婦人科学会臨床倫理監理委員会チェックシートより

しかしマレーシアの不妊治療クリニックでは、はっきりとした言い方をしてしまえば

「お金さえ払えば、誰でも着床前診断が実施できる」

もちろん、着床前診断の実施は費用的な部分でとても高額です。

金銭的負担、有用性、リスクなども十分調べ検討し、夫婦で何度も何度も話し合いました。

結論、メリットの方が大きいと考えたわたしたちは着床前診断に踏み切りました。

※治療過程や検査結果など詳しい内容は治療記録の個別記事に掲載しました▼

  • 遺伝子異常がないかどうか胚盤胞レベルで移植前に知りたい

  • 特定の性別の子を望んでいる/産み分けを希望している

  • 卵子提供/精子提供での治療・妊娠を希望している

日本ではまだ倫理的に認められていない上記のような希望に対する治療も、マレーシアでの不妊治療では選択肢が幅広くあります。

※治療の倫理的な良し悪しをここで語りたいのではなく、そのような選択肢がこの国では合法で存在している、という事実を記載しています。(2023年現在のマレーシア)

数字としての成功率が高い

これについては、私がいろいろ調べてきた中での個人的な意見も混ぜて書きます。

数字として、日本よりも不妊治療の成功率が高いのは、ある意味当然なのではないかと思います。

一概にマレーシアは不妊治療の技術が高いから、と書かれているサイトも多くありますが、わたしは必ずしもそれが理由だとは思っていません。

むしろクリニックや医師、設備などによっては日本の方が技術が高い場合もたくさんあると思います。

前述したように、マレーシアでは治療の選択肢が豊富にあります。

必ずしも段階をふまなくても、最初から高度先進医療を受ける患者も多いのです。

結果としてそれが時間短縮にもつながり、相対的に成功率の数字に直結しているのではないでしょうか。

またこのテーマについては、わたしもいつも参考にさせて頂いている 胚培養士@ぶらす室長 さんのこちらのnote記事内容が非常に参考になると思います。

妊活・不妊治療においては特に女性の卵子に関し、年齢的・時間的タイムリミットとの戦いになると思います。

そういった意味で、日本よりも制限が少なく幅広い治療の選択肢があるマレーシアでの不妊治療は、日本では叶わない治療が受けたい人にとって、希望の光にもなりえるのかもしれません。

ただ金銭的な負担が大きいことは間違いないです。もちろん、言語の壁もありますし、日本とは何かの数値ひとつとっても考え方や基準が違うこともあります。

最初の記事でも書いたように、日本人にとっていくら魅力的にみえるマレーシアの不妊治療でも、日本人の日本語による情報量の少なさも大きな障壁となっているのではないかなと思います。

だからこそ、わたしがこうやって自分の体験談を残すことにはきっと意味があるのだと思って書いています。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

次回からは具体的な治療内容などについて執筆していきたいと思います。

通っていたクリニックについて書きました▼

初診~人工授精3回分の治療内容の詳細を記事にしました▼

体外・顕微・PGT-A採卵移植~クリニック卒業までの治療内容の詳細を記事にしました▼

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