オランダ遠征を終えて

念願の日本代表戦。勝ち負け、試合内容関係なく楽しかったし幸せだった。
やはりクラブチームの試合とは違う特別な感情を抱く。
まずはなによりアフリカ勢を無失点に抑えた守備。特にザハがいなかったとはいえコートジボワール相手にあんなに安心して観ていられるとは予想していなかった。調子の良い板倉選手を観たい気持ちはあったが、吉田選手冨安選手の２人はどこと対戦してもある程度守れるのではないかと思う程の出来だったと思う。また守備だけでなく２人のパスから攻撃がスタートしている場面が多くあり、攻守両面において２人の重要度を再認識する試合だった。元々は冨安選手が右で吉田選手が左だったがクラブでは各々逆のCBを務めており、どうなるか注目していたが今回から冨安選手が左で吉田選手が右になっていた。冨安選手はボローニャで右SBをやっていたときに少し不自然に思えてしまう場面で敢えて左足で蹴るシーンを何度か観たことがある。左足の精度も全く問題ないし日本代表の左CBをこれから担うのかもしれないが、板倉選手もクラブで左SBを務めているため、その２人になった際にどう配置されるのかは今から気がかりではある。CB経験のある人なら分かると思うが、意外と同じCBでも左と右で結構違う。

評価を見ると賛否両論の様だが、個人的には中山選手は２試合とも良かったと思う。コパのときは不安だったが最近はクラブで試合に出れていることもあり、ある程度やれていた。森保監督が左SBで起用したのは嬉しかった。本人はボランチにこだわりがあるようだが、安西選手が結果を出すことができず、長友選手の後釜候補となりえる存在がなかなか見当たらないなか、守備能力があり、パスを出せる中山選手が左SBに慣れたら面白い。若干の不安要素であるスピードもぺぺ相手に戦えていたし、冨安選手がフォローに入ればなんら問題ないことがコートジボワール戦で証明された。
オフェンス面を考えると、上下動を繰り返すタイプではないので久保選手が孤立してしまうシーンが見受けられた。ただそれは久保選手も左が本職ではなく、右でやるときとは違い個人突破をするのに苦戦していたためであり、これが例えば中島選手の様な左が本職のドリブラーを使えば解決する。
実際に上下動を繰り返す長友選手と中島選手のコンビはプレースペースが被る場面が多々あり、あまり合っていないように感じる。
つまり今回の例でいうと上下動を繰り返すわけではなく、左からの攻撃はある程度中島選手に任せ、中島選手の不安要素である守備のカバー、それから個人突破できなかったときのフォローを後ろからするという役割であれば中山選手の左SBは面白い。11月は長友選手も招集されるだろうが、次もSBで中島選手や安部選手、奥川選手との組み合わせを観てみたい。

注目の右サイドは伊東選手に軍配が上がったようだ。スピードと突破力、そしてこれまでより守備意識も高かったように感じる。堂安選手も守備意識はカメルーン戦で光っていたが攻撃面ではあまり目立つことができなかった。久保選手は左で起用され、正直これまで観てきた代表での久保選手の中で最も輝けなかったのではないか。
そしてトップ下は南野選手と鎌田選手が起用された。どちらが優れていたかは難しいが、プレー時間を考慮すると森保監督の中で鎌田選手の評価が上がったのは間違いないだろう。惜しいシーンがあったし攻守の切り替えも早くなっていた。引き続き招集されるだろうが気になるのは鎌田選手は前回FW登録で今回はMF登録となっていたこと。そして本人はMFでもトップ下ではなくボランチやインサイドハーフを希望していることだ。自身が思う最も海外で成功する確率が高いのがインサイドハーフでデブライネやシルバを目標としているという。攻守の切り替えに若干の不安があるが、確かにキープ力やパスセンスを考えるとインサイドハーフでも観てみたい。
遠藤選手や中山選手はクラブでアンカーを務め、堂安選手がインサイドハーフを務めている。選手のクラブでの状況を鑑みると次は４－３－３の日本代表を観たい。海外組と国内組の融合はまだ少し難しいかもしれないが、断トツで首位に立つ川崎も同じシステムのため融合しやすいのではないか。

本当にこの２連戦は危ないシーンは少なかった。守備に関しては素晴らしい出来だと言って良いと思う。酒井選手をCBで起用する変則３バックは事前にあまり練習をしていなかった様だが、なかなか興味深かったしまた観てみたいと思う出来だった。そこに関しては私の中で森保監督の評価が上がったのだが、オフェンスに関しては前々からだが違和感を感じる。コートジボワール戦の２列目は「使う」選手で「使われる」選手がいなかった。案の定サイドからクロスを上げようにも人がいなくバックパスというシーンが何回もあったと思う。そういう意味では初期の【NMD】はバランスが良かった。中島選手と堂安選手が「使う」選手で南野選手と大迫選手が「使われる」選手。なんとも抽象的な表現で伝わりづらいが、このバランスの良さを次戦は期待したい。