久保建英の選択

2020年8月3日 17:25

今シーズンの久保選手は日本だけでなく世界から注目されていた。惜しくもチームを残留に導くことができなかったが、まずまずのインパクトを残すことができた。久保選手は非常に頭の良い人間で、人生の岐路に立ったとき、尽く正解の道を歩んでいるように思う。
バルセロナで試合に出れなくなってしまったとき、チームに留まることもできたが日本に帰って常に上の年代とトレーニングを積み、FC東京でなかなか試合に出れないときはすぐにレンタルを希望してJ1で活躍するための準備をした。そして実際に次のシーズンは自チームの監督や選手すら驚く程の成長をしてチームの中心となり、あのレアルマドリードに移籍した。こんなマンガのような人生を歩むことができているのは、才能や努力はもちろん、久保選手の「選ぶ力」というのが非常に優れているのだと思う。
果たして来シーズンはどうなるのか。世間の声は中堅チームへ再度レンタルをして経験を積むべきという声が多い。ただ私は最近チャンスがあるならレアルマドリードに挑戦してもらいたいという気持ちに変わってきた。

まず、元々今シーズンもジダンは久保選手をチームに留めておきたかったと報道されていたが、久保選手が１部で実績を残すためにレンタルを希望し、その選択が功を奏した。ただ仮に残っていたらどうなっていたか。結果論となるがベイルやハメスは構想外となっており、アセンシオは怪我。またジダンはモドリッチの位置での起用も考えていたし、なによりこの過密日程だ。ある程度試合に出場できていたのではないか。マジョルカよりは試合で得る経験は少なかっただろうが、毎日ラモスやヴァランとトレーニングを積めるというのは試合での経験より有益な可能性もある。

私が当初世間の声と同じく中堅チームに移籍するべきだと思っていた最大の理由として、東京オリンピックがある。否定する選手もいるが、私は試合勘というのは確かに存在すると思っていて、東京オリンピックで輝いてもらうために試合勘を失わないでほしいと考えていた。しかし、ここ最近の世界情勢を考えると、来年できるとは到底思えない。
大変失礼な話だが、私は久保選手や安部選手がレアルやバルサに移籍できた要因のひとつとして、東京オリンピックがあるからだと考えている。２人が素晴らしい選手なのは間違いないが、この２人の日本人がホームで行われる世界が注目する大会で活躍すれば、アジアだけでなく世界から注目が集まり結果チームが潤う。戦力としてだけではなく、そういう意図もあるのではないかと勝手に予想している。ただのなにも知らない素人の予想だが、特に久保選手を取られて急に何人もの日本人選手にバルサ行きの噂がでたのを考慮すると、あながち私の予想は間違っていない気もする。

コロナの影響で来シーズンの移籍市場は静かだと言われている。レアルの会長であるペレスも今夏の大型補強は否定している。注目はその状況でレアルマドリードが人員整理できるかだ。ベイルやハメスを売却し、大型補強をしないのであれば久保選手にもチャンスはある。
やはり外国人枠というのが最大の障害となる。ヴィニシウスがスペイン国籍を取得するというニュースを以前見たが、それがなくとも久保選手はレアルマドリードに所属できると思うのは私が日本人だからだろうか。

ロドリゴは明らかに右より左の方が躍動している。ただ左にはアザールもいればヴィニシウスもいるわけで、これは決して久保選手だからというわけではなく、ロドリゴを来シーズンレンタルし、今シーズン右で結果を残した選手をチームに残すのが普通ではないだろうか。ただ、ロドリゴはセンターの位置が最も輝くと私は思っている。今季も結局ベンゼマの代わりを務められる選手はいなかった。まああの役を担えるのは世界でも数少ないと思うが。できないわけではないが、ロドリゴは自分で仕掛けてというタイプには見えないため、サイドよりもベンゼマの位置でもっと試してみてほしい。
ミリトンは悪くはなかったが、あまりインパクトを残せなかったと思う。来シーズンもラモスとヴァランのコンビは続くし、ナチョもいる。ミリトンこそスペインのチームにレンタルして経験を積み帰ってくることがチームとしても良いのではないだろうか。個人的にはグラナダでも基本ベンチだったがペペ後の３番を担ったパジェホを戻せば良いと思う。出場する機会が少ないであろう選手に大金を使うのは得策ではないし、既にレアルマドリードを経験している東京五輪世代のキャプテンがベンチにいれば充分だと思う。

いつのまにか話が久保選手ではなくレアルマドリードになってしまっていたが、久保選手が来シーズンどの道を選ぶのかは非常に楽しみではある。おそらくどのような選択をしても久保選手は私にその道で正解だったと思わせるのだろう。序盤に久保選手は尽く正解の道を歩んでいると書いたが、いま思うと仮にハズレの道を選んだとしても、久保選手の成長したいという気持ちが正解の道へと変えているのかもしれない、と感じた。
ただ私では知りもしない様々な理由により久保選手はレアルマドリードを選んだのだろうが、やっぱり私は久保選手にはカンプノウでメッシと共演してほしかった。同じ様に有望な選手が何人もバルサを退団したり幹部が辞任したりとクラブ内部がボロボロのようだが、それでもリキプッチやアンスを観ていると久保選手が共演している妄想が膨らんでしまう。小さいときに着ていたあのユニフォームにもう一度袖を通す久保選手を観たかったというのが本音であり、私は今でも久保選手が1番輝けるのはバルサだと思っている。