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スポーツ復帰に向けたシステム作り

スポーツ復帰に向けたシステム作りの重要です。

スポーツ復帰に向けてチームドクター、監督・コーチと連携をとり、どのようにリハビリをおこなていくのかを協議していく必要がある。

・診察(画像所見含む)は必要かどうか。         
・休む必要があるかどうか(どのくらいの期間)。
・患部外トレーニングは何をするのか。
・Running開始の目安は?
・アスリハの強度は?(何分?どのくらいのスピード?)
・チーム練習合流の目安は?
・試合は何分出場する?

構造的な問題の有無、機能面の評価、能力面の評価、何を基準に設定するのか。
基準を設定しそこから微調整、他職種と協議し、より良いシステム、データベースを構築していく。

トレーナー活動する上でチームドクター、監督、コーチ、選手それぞれとコミュニケーションをとりながらリハビリ、コンディション調整していきます。
まずはそのシステム作りが重要になります。

医療機関であれば常にドクターがいて、コミュニケーションを取ることができますが、スポーツ現場では一人で活動することが多く、自分が最初に判断することが多くなります。

また医療の情報を監督、コーチにわかりやすく説明し、復帰プログラムやトレーニングの方向性を統一することや、選手にも情報提供し怪我の予防をすることが求められます。

そのため自分の知識・技術をわかりやすく説明する能力も問われます。

医療の現場での当たり前の知識をいかに一般化させ、現場に落とし込んでいくのか、そのシステム作りの重要性を痛感しています。



診察は必要かどうか

スポーツ現場ではドクターが常駐していないことが多く、外傷障害発生後にどのように対応するかを悩みます。

もちろん診断はできませんので、評価しその後の対応を判断することになります。私がスポーツ現場で評価する際に用いるのが、SALTAPS(イングランドサッカー協会)です。

SALTAPS
見る(See)|受傷機転を見る
尋ねる(Ask)|問診
診る(Look)|視診(陥凹・腫脹・皮下出血の有無と部位)
触る(Touch)|触診(圧痛)
自動運動可動域(Active Range of Motion)
他動運動可動域(Passive Range of Motion)
筋力テスト(Strength)|MMT

以上の項目を総合的に判断し、問題(主に痛み)があれば診察を促します。

特に筋肉の張りや打撲の対応で悩むことが多く、SALTAPSを基に評価を進めていきます。

筋肉の張りは肉離れなのか、筋の緊張が高くなっている状態なのか判断に悩む機会は多くあります。

その際は問診・指診・触診で患部を確認後、可動域、筋力での左右差を確認していきます。

そこで明らかな受傷機転がある、皮下出血がある、局所に圧痛がある、可動域・筋力に左右差があれば受診を促す必要があります。
逆に異常所見が認められない場合はストレッチなどで対応し、経過を見ていきます。

以上の様にSALTAPSを基に評価しますが、大事にしていることは困ったら診察を促すことです。

少しでも悩んだら、監督、コーチ、選手に明確に説明できないためチームに迷惑をかけてしまいます。

現場での評価をしつつも、困ったらまずは診察を促しましょう。


休む必要はあるかどうか。休むのであればどのくらいの期間休むのか。

基本的に①の内容に沿って評価します。

チームではその選手がいつから試合で使えるのかどうかを知りたいことが多く、まずは休む必要性があるのかどうかの判断が必要になります。

また休むのであればどのくらいの期間休む必要があるのかを提示する必要があります。

連携しているドクターがいれば確認するか、コミュニケーションをとりながら復帰目安を確定していきます。

基本的に病態から復帰目安を確定していくため、トレーナーも病態の知識や治癒過程に合わせた復帰プログラムを理解しておく必要があります。



患部外トレーニングは何をするのか

患部が下肢の場合、患部に負荷をかけずに他関節の機能を低下させない、もしくは他関節の機能を向上させるトレーニングを行います。

選手の身体的特徴から、股関節・体幹・上半身のトレーニングなど、障害予防やパフォーマンスに影響する問題に対して取り組むことも行います。

患部外トレーニングを一律で同じメニューをこなすのではなく、怪我をした原因に対してもアプローチします。

足関節捻挫であれば股関節制御を高めるトレーニングを行うなど、機能面を考慮したトレーニングを行い再発予防のトレーニングも行います。

さらに心肺系の機能低下を防ぐ意味でも負荷設定を有酸素の強度で設定することも重要な要素となります。



ランニング開始の目安は?

ドクターからランニングの許可が出た際に、トレーナーの視点で何を基準にランニングを許可するのかが大事になります。

機能面が改善せずにランニングをすることで、症状が悪化した経験は恥ずかしながら何度もあります。

その経験を基に、現在の私が考えるランニング開始の基準になります。

①Full ROM|異常運動なし・Tightness test 陰性
②MMT左右差なし|Full arc testにて左右差なし
③Special test 陰性|靭帯損傷であれば、痛みだけでなくend pointがhardになっているかは重要な指標となる。
→可動域・筋力の左右差が改善されても組織が修復されていなければ再発のリスクは高くなります。
④パフォーマンステスト左右差なし
片脚リーチ(外方・後方)左右差なし
片脚Squat・Forward Lunge(異常動作なし)
片脚Calf raise(異常動作なし)

なぜこのシステム作りが必要かというと、自分が毎日チーム帯同するわけではないからである。
メディカルチーム、トレーナーチームで方向性を共有し、共通理解のもと選手にリハビリを提供する。

より良いシステム作りをしよう。

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平 純一朗|タイラ ジュンイチロウ

Medical Fitness Ligare(https://ligare-matsudo.com)GM 2016.10-
L-fit.(https://www.l-fit.training)代表 2017.10-
アスレティックトレーナー養成校非常勤講師 2011.4-2023.2
社会人関東サッカーリーグ1部所属チームトレーナー 2016.1-
V2リーグ女子所属チームトレーナー 2016.10-2022.3

【資格】
理学療法士
日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー

【SNS】
Twitter|https://twitter.com/tjichiro
Instagram|https://www.instagram.com/l_fit.training/
YouTube|https://www.youtube.com/channel/UCdnjiX5VhcSStxcO1P9v0xg/featured

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平 純一朗|理学療法士×アスレティックトレーナーnote
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