作り手側から見た注文服の世界とオーダーの異なる様々な点
紳士服のオーダーメイドには種類があり、一般的にイージーオーダー、パターンオーダーやフルオーダーなどご存じな方も多いかもしれません。
ですが、価格帯、クオリティーなど自分の求めているものをどれで作ってもらうことが最適なのかよく分からない方もいらっしゃると思います。
私はフルオーダーを仕事にしており、業界内からその違いなどを綴ってみようと思います。
お悩みの方も多いので、少しでもお役に立てれば嬉しく思います。
オーダーの異なるさまざまな点
最初に大きく分け三つのオーダーがあり
🪡 パターンオーダー
🪡 イージーオーダー
🪡 フルオーダー(ビスポーク)
私はフルオーダーを仕事にしており業界内の作り手側から解説をしていきメリットデメリットなど意見もしていきます。
🪡パターンオーダー
まず、パターンオーダーですが、こちらは採寸後、自分の体型に一番近いサンプルゲージ服を試着し、そのサンプルの着丈、袖丈、ウエスト等の微調整をし、工場のラインで縫製する注文服です。仮縫いはなく、そのまま縫製するため、仕上がりが早く、お手軽に注文できます。
(ある程度決まっているパターンを使うオーダーなのでパターンオーダーです。)
長所
極端な仕上がりのばらつきがなく、サンプル試着時に仕上がりがある程度イメージしやすく、価格帯も比較的安価なところが魅力です。
短所
細部のシワやシルエット等の体型補正が難しく、縫製も工場規定の縫製になるため、お客様の特徴に合った縫製方法を選択できない為、フィット感に個人差があります。
デザインもお店のデザインが決まっている為、デザインの自由度も低いです。
拘りのある方には不向きかもしれません。
備考
釦位置、ステッチのデザインや、裏地、釦の種類変更は可能で、ネーム刺繍は入れられます。
🪡イージーオーダー
次にイージーオーダーですが、パターンオーダーと同じく、採寸後、自分の体型に一番近いサンプルゲージ服を試着し、それをピン打ち補正していきます。(お店による)
その後、工場のラインで縫製しますが、仮縫いすることが可能で(お店による)、パターンオーダーより細かな体型補正を入れることが出来ます。
(ゲージ服の製図からの体型補正になります。)
長所
仮縫いが可能で、体型補正が入れられる為、パターンオーダーよりもフィット感が出やすく、シルエットの好みも入れやすくなります。
(ただしお店により体型補正の限度に差があります。)
短所
補正の範囲はパターンオーダーよりも広いのですが、補正コードの範囲内でしか修正できず、お客様に合った補正が適用出来ない場合が有ります。
※フルオーダー(ビスポーク)だと基本から外れた体型補正を入れられます。
また、変わった衿などのデザインには対応出来ない場合も有り、衿やデザインに拘りのある方は不向きかもしれません。
備考
裏地、釦等の自由度はパターンオーダーよりも有ります。
襟元は背廣の顔になりますので襟や襟周りに他とは違ったこだわりのある方には不向きになります。
🪡フルオーダー(ビスポーク)
最後にフルオーダーになりますが、属している所の贔屓目が多少入るかもしれませんがご了承ください。。。
フルオーダーの制作の流れは、採寸後、型紙を作成しますが、この際、お客様の体型を目視で確認し、その体型補正を取り入れた型紙作成をします。
その後、仮縫いを手作業で組み、仮縫いでピン打ち補正後、職人の手作業による縫製を行います。
型紙作成、体型補正、縫製全てが職人の手作業で行われる為、納品まで時間がかかり、高価になりますが、その分全てが自由であり、お客様の好み、特徴にも細かく対応することが出来ます。
長所
お客様一人一人に合わせ型紙作成を行うので、お客様だけの1点物の型紙ができ、体型にぴったり合わせることが出来ます。
その為、お客様の好みや気になる部分に対処した理想のシルエットに仕上げることが可能です。
縫製も職人が1から手作業で行うため、くせとりと言われるアイロンワークにより、生地を立体的に縫製する事ができ、理想的なシルエットを表現できます。
職人による手作業が多い為、職人の長年の技術を洋服に取り入れられます。
短所
フルオーダーのクオリティは職人の技量によるところが多く、個人や団体の力量が露骨に浮き彫りになります。
その為、型紙作成、着せ付け、縫製共に技術不足の職人が担当すると、不具合の多い洋服が仕上がってしまいます。
その為、良くも悪くも職人次第!なオーダーになります。
恐れ多く語らせて頂くと、オーダーメイドの最高級を掲げているため、実際は本当に難しいのですが、90点以上のものを提供しなければならないと思っております。
しかし、技術者目線だと、素晴らしい洋服を提供しているお店も数多くあるのですが、技術不足によりそのクオリティに満たない洋服を納めているお店も有るように感じます。
なので審美眼を付けることが難しいです。
ただ、物の良し悪しは個人の好みによるため一概に判断できないところもあります。
備考
フルオーダーの場合、実際職人の所用する時間であったり今の技術に至るまでの努力からすると安く思えますが、値段はそれなりにしますので洋服の良し悪しは勿論、仕立る職人がどのような方か知り、人となりを知って作ってもらうことで、仕上がった背廣に対する気持ちもまた違う所にも醍醐味があります。
裏地、釦、シルエット、デザイン全てにおいて対応できるためオーダーメイドの最高級とされています。
まとめ
こうして見ると"蛇の道は蛇"と言った具合に中々分かりづらい所が多いです。
私も注文する側に立った状態を想像しますと、とても緊張します。初めての方なら尚更ですよね。
確かに敷居の高いお店などたくさんありますので、仕方ないところですが自分がどんなオーダーをしたいのか明確に分かり注文される際、注文忘れなど後悔のないよう準備できましたら不安要素は大分と減るかと思いますので、注文されなくてもお気軽に私どもにご相談ください。(気が済むまでお聞きください!)
インスタグラムのDMにてお待ちしております。
最後まで読んでいただき有難うございました。
多くの人が背廣や、クラシックスタイルに興味を持って頂けると嬉しく思います。
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