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流産という出来事

【妊娠から流産が分かるまで】

4月下旬。
月経の遅れにより、妊娠していることが分かり、
2人目を産んだ産院で胎児を確認してもらいました。

5月13日。
先生『う〜ん…どうやら双子ちゃんのようなんやわぁ』
おじぃちゃん先生がそう言うのです。

衝撃の事実。そんなことが…私の身に起こるなんて。
初めはわくわくドキドキ、な気持ちだったと思います。
浮かれ気分で実母に連絡すると
母『あなたにそれだけの器があるってことね』
と言われ、私自身も
『育てられる人に赤ちゃんは来てくれるんだ』
と思っていたので、自分で自分の器の大きさを
不思議に思いながら、疑っていました。

5月16日。
大きい病院に転院し、胎児の心拍を確認。
しかし、ひとりは心拍が弱いらしく、流産する可能性が
高いと言われました。
私の心境は、『あぁ、そうなんだ』と言われるがままに
受け入れていたのかもしれません。

6月6日。
その時はあっという間にやってきた。
ひとりの赤ちゃんが流産。
私は健診に行くたび毎回のように言われていたので
覚悟はしていました。
初めは2人だったのに、1人になってしまった。
それは、やっぱり悲しいことでした。
赤ちゃんのためにも悲しんであげよう。
そして、感謝の気持ちを胸に。
双子だと分かってから3週間ほどしか
一緒にいられなかったけれど、私のもとに
来てくれてありがとう。


6月20日。
もうひとりの赤ちゃんも流産。
先生『今見てみたけど、もうひとりの赤ちゃんの
   心拍も…ないみたいなんや』
正直、ビックリしました。そんな…ふたりともなんて。
いたずら好きの私の遺伝子を継いで、健診のときだけ
息を止めてたとかじゃない??…なんて
苦しい言い訳を探しながら、先生や看護師さんからの『大丈夫?』に、強がりな私は『はい、大丈夫です。』
と答えていました。
待合室で座り、ひとりになると涙が込み上げてきて…
『ううん、大丈夫なんかじゃない、私、悲しいんだ』
インターネットで流産のことを調べると、多くの記事に
赤ちゃん側の原因が多いから、ママは自分を責めないで
と、書いてあります。
自分を責めるところは少しあるかもしれないけど、
実母からの連絡で
『今いるふたりを大切に育ててあげてねと
 言っているんだよ』
と言われ、『うん、そうしよう。』
と少しずつ、流産という出来事を受け入れて
気持ちを整理していくことができました。

【子宮内容除去術】

6月27日。
子宮内容除去術、つまり流産手術を行いました。
午前9時半。
前処置として、水分を吸収して徐々に太くなる
細い棒状の器材を子宮頸管に入れて、頸管を拡張。
『入り口を少しつまみますねー。』と言われて、
子宮の入り口をつままれた時…
こっ!これはっ!!
チクチクして、なんとも気分がよろしくないわよ。
『力抜いて、深呼吸ねー。』と言われるが
先生はカーテンの向こう側にいるので
誰もみていないからか、私は思いっきり顔を歪ませ、
『フーーー…フゥーーー。』
器材を入れ終わり、綿を詰め込まれ、いよいよ
入院病棟へ。

午後2時。
手術の時間だ!…と思いきや
他の患者さんの手術が長引き、予定開始時刻より
40分ほど遅れで手術室へ。
麻酔が効いてきて、意識がだんだん遠のいてゆく。
しかし、うっすら意識は残っていて、手術の痛みを
感じながら、10センチ足らずの我が子たちを
取り出してもらいました。

先生『終わりましたよ』
看護師『薬を置いておきますね』などなど
頭がボーっとする中、言われたことに対して
『はい…はい…』と弱気な返事する私でした。

【双子の種類】

双子のひとりが流産になったとき、先生から双子の
種類のお話を聞きました。
双子には様々なパターンがあって
1つの胎盤で2人がママと繋がれていたり
2つの胎盤でそれぞれがママと繋がれていたり
1つの胎盤だけど、羊膜が1つで仕切られていたり…

インターネットで調べたら詳しく書いてあり
なるほど納得。双子の仕組みってすごいんだなぁと
思いました。
そして、私にされた説明は一絨毛膜性双胎。
つまり1つの胎盤で2人がママと繋がれている。
羊膜が1つか2つかは分からないけど、胎盤が1つ
だということは、確か。
ひとりの子が流産したとき、先生はこう言いました。
『生きている子から流産した子に血液が流れているので
 もしこの状態が続くようなら15,6週くらいで治療を
 しましょう』と。

2人とも流産した後、インターネットで
『双胎間輸血症候群』という病気を知りました。

一絨毛膜性双胎の場合、胎盤の中に
吻合血管(ふんごうけっかん)という
赤ちゃん同士で血液を送り合う血管があり、胎児循環の
バランスが崩れた時、2人の赤ちゃんは受血児と供血児の関係になるという。

そして、受血児となった胎児は、循環血液量が増加し、高血圧、多尿、羊水過多を合併し、次第に心不全が
進んでいき

供血児となった胎児は、循環血液量が減少し、低血圧、腎不全、乏尿、羊水過少となり、循環虚脱(循環血液量が極めて減少した状態)となる。

無治療で放置した場合、受血児の羊水過多が進むことで、子宮が大きくなり陣痛が引き起こされて流産や早産に至ります。文献的には無治療での児の死亡率は80%以上と言われているそう。

私はひとりの流産がわかった時、この病気のことは
知りませんでした。
また、他の記事を読むと
『子宮内で一方の胎児が死亡した場合に
 生存している胎児から吻合血管を介して
 死亡した胎児に向けて急激な血液の移行が
 おこる場合があります。
 その結果生存している胎児が大量出血と
 同様の状態になり、死亡に至ったり、神経の
 後遺症が発生したりすることがあります。』
と、書いてありました。

大量出血と同様の状態…
そんな残酷なことがお腹の中で起こっていたなんて…
先生から『双胎間輸血症候群』だと診断されたわけでは
ないけれど、私は勝手にこの病気で双子ちゃんは
死んでしまったのではないかと考えていました。

今日、2人の赤ちゃんはお空へ帰っていきました。
それは私も夫も子どもたちも悲しいこととして
受け止めることでしょう。
しかし、私は、双子と分かってから流産までの
1ヶ月余りという期間に
私たちの元にやってきてくれたことへの感謝や
やってきてくれた意味を考え、前向きに
生きていこう、とより強く思うようにしました。

本当に本当にありがとう。
私のお腹に宿った2人の命、決して忘れることなく
心に刻んで、日々を大切に過ごしていきます。

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