「けい」制作の学び ”人間賛歌 第1場「人」を終えて” レポート2022.3
初めまして。
関東で役者をしています、
地域密着型一人演劇ユニット『赤キノコ山と蒸したお酢』代表、
創作集団「けい」作家部・俳優部所属のオガワジョージです。
今回はcreate model けい が2022年3月に行った活動”人間賛歌”のレポートになります。
「けい」の詳しい情報は下記のリンクから閲覧できます。
このnoteマガジンはブランディングの一つとして、地域に向けての活動記録を公開し、経験を共有することを目的に行っています。地域への表現活動に関心のあるクリエイターさんに見ていただけたら嬉しいです。
今回は展示に向けた制作面の準備、実際に企画を運営してみての学び、企画書の内容を実際にやってみてどうなったかなど、過去に載せた企画書を振り返りながら、良かったところや改善が必要なところを見つけていきます。
こちらが3月の”人間賛歌「人」”のまとめ記事になります。
合わせてお読みいただけたら!
最後の方にリンク集がありますので、そちらからでも大丈夫です。
また、今回の3月活動レポートは15,000字ほどありますので、興味のあるところだけご覧いただけたら。
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イベント前、制作準備
企画書
「けい」企画書の学び レポート2022.1-2|オガワジョージ|note
前回のレポートでは「企画書の学び」として、企画書をつくる中で意識した方が良いなぁと感じたことを書きました。
ざっくりと
という感じでした。この学びを踏まえ、自分の整理用で書いていた企画書を、色んな人に見せられる様にブラッシュアップする必要がありました。
(僕の場合は特に、地域にいる演劇にあまり触れたことのない人)
こちらは1月~2月活動レポートに登場した理加さんのPR戦略シートを埋めてみたものです。赤キノコ山と蒸したお酢というユニットで進めている創作企画create model けい の戦略シートになります。人間賛歌は「けい」の企画の一部になります。そこそこ長いので、はしょってしまっても大丈夫です…!
このような戦略を立てながら、企画書を直し、フライヤーの作成を行っていました。
さらに(小劇場)演劇界の実態意見交換会でお知り合いになった方に、経堂についての調査をお手伝いしていただきながら、企画書や制作面についてのアドバイスをいただいていました。そのなかで、ネットに載っている企画書の書式をアレンジしていただき、アドバイスを受けながら作っています。
しかし、長期の企画を進めていると、今は目の前のことをやりながらも考え方や企画の方向性が変化したりして、自分のやりたいことをより良く実現させるにはどうすれば良いのかを見直す必要が出てくるなという気づきがあるました。今作成している見せる用の企画書の項目は、
という具合になりそうです。
以上の学びや戦略シートをもとに、外部に向けた企画書を作成します。
長い目線で取り組むとすると、単発の企画ごとだったり、半年・一年後にどうなっていたら良いかなども考えて記載していくのが良いと感じます。
「現状分析」の項目では、”人間賛歌”を行う地域である世田谷区の経堂についてリサーチをかけています。調べた単語は、
・経堂 課題
・経堂 地域活性化
・経堂 つながり
・経堂 交流
・経堂 祭り
などなど。そこで見かけた言葉でさらに調べるようにして、枝葉的に広げていきました。少しずつ経堂の街について知っていき、コンタクトを取っていきたいなぁと思う人や場所についても考えていけました。
そのように、外向けの企画書を書いていくにつれ、地域とつながっていくためにどんなことをしていくべきかがより明確になっていきました。
また、実際にその場で過ごして、そこにいる人々と話すことでしか感じられないことも多々ありました。地域に密着した企画書を書くのだとしたら、まずはその地域と人に直に向き合うことも大切だと気づきました。
その部分を無視することはできません。
フライヤーは、そういった意味で地域の方々や観にいらっしゃるお客様へきちんとデザインしなければいけないよなぁと、感じました。
フライヤー作成
2月の段階で考えていたフライヤーの表面の構想がこちらでした。
こちらのフライヤーで用いている写真は、創作WS「Flash.」で撮影した写真になります。今までの活動を積み重ねつつ、その人や土地と向き合うような企画にしたい思いでつけた”人間賛歌”のタイトルと合っていると感じ、用いました。
しかし、何か違うなぁとも感じながら、上記にも書いたように企画書を直しながら、SNSや地域の掲示板に掲載するためのA4サイズのフライヤーの作成にも取りかかっていると、違うなぁと感じていたことが明らかになり、2月段階での企画書に一本軸が通り、色々と見えてくるものがありました。
こちらは変更前・変更後の第1場「人」の部分の内容になります。
僕自身が3月~10月まで経堂という地域で「その人・その土地ならでは」のイベントをするにあたって、まずは僕のことを知ってもらわなければいけないと感じました。変更前の展示目的のところにある「出会い」の部分がふくらみ、「自己紹介」となりました。
「けい」の今までの活動、写真や制作物、小道具で扱うべきこともきっちりとイメージが固まりました。
そんな感じで、フライヤーの構想も全然違うものとなりました。
ここからは訂正し、没になったフライヤー案になります。
街の掲示板にフライヤーを貼れたことは大きかったです。
世田谷区に団体登録をしないと掲示板に掲載することができなかったのですが、経堂アトリエさんが登録をされていたため、貼って回ることができました。
フライヤーは3月27日にネット印刷の依頼を出しました。
色んなことが遅れてしまい、制作期間中に届くという失敗をしました。
遅れてしまったためにSNSでは満足な宣伝もできず、SNSをきっかけにいらしたお客様はとても少なかったですが、とても良い失敗だったと感じます。
予約フォーム・確認メール
フライヤーの準備を行いながら、予約フォームの作成と確認メールの文章を考えていきました。
今回はグーグルフォームで予約を管理しました。
コロナ禍ということで人数把握や情報の管理を徹底しなければいけませんでした。
今回の人間賛歌「人」では”展示”という形式で行いながら、”朗読”を上演するため、〈入場予約〉〈鑑賞予約〉でお客様の人数と情報を管理しました。
宣伝が遅れて1日の来場者数がそこまで多くなかったため、時間帯ごとに制限などを加える必要はありませんでしたが、今後はそういったことも考えなければいけないなと感じています。
お客様のアンケート結果は後程書こうと思います。
ご覧いただいた方々と感想を交換しあう喜びをひしひしと感じました。
パフォーマンス・展示の感想はイベントレポートにありますので、ぜひそちらをご参照ください。
ご予約確認メールは形式を作成して、お客様ごとに一人ひとり打ち込みました。
確認メールでは、誤記がないように何度も確認して作成、お送りしました。
書き間違われて少し不安な気持ちになってしまったことが個人的にあるので、それだけは避けたかったです。
また、固くなりすぎず柔らかすぎない、ちょうど良い具合の文章を目指しました。メールの文章からも、団体のイメージにもつなげていきたいと思いました。
当日制作・運営に必要なもの
当日制作のグッズを用意していなかったため、購入しました。
劇場だともっとたくさんの制作グッズが必要なのではとも感じましたが、以下のものを購入しました。
・小さい金庫(ホームセンターで買いました)
・お金受け皿(100均のもので代用しました)
・記入用10本セットボールペン(100均で買いました)
また、手指消毒用のアルコールや体温計はアトリエのものをお借りしました。自宅から持ってくるのを忘れてしまいました…。
フェイスガードやポリ手袋などは購入しませんでした。
僕が会場内に一人でおり、受付以外のことをしなければならなくなったときに動きにくくなると感じたためです。
他には「自己紹介」というテーマであったため、できれば顔や手といったところをガードせずにいたいという思いもありました。
その分、こまめな手洗いや消毒を行い、近くなりすぎないように注意していました。
以降の企画では、受付と会場案内などの業務を分担し、集中して行えるようにしていけたら良いと思います。
その他に準備したもの
「自己紹介」ということで多くの方に僕を覚えていただけるようにした方が良いと感じ、名刺を作成しました。
フライヤーと一緒にネット印刷をお願いしました。
たくさんの方にご挨拶することができ、これから頑張っていきたいなと感じました。
3月28日~4月3日 人間賛歌第1場「人」開始
展示物
あれこれと準備に追われているうちに始まってしまったなと思います。
制作物はほとんどできておらず、28日~30日あたりまでずっと作業をしていました。間に合わせられないのが一番残念な部分でした。
準備期間中の私生活と創作のバランスがとても重要で、体調を崩したり精神的に落ち込んだりすると手が止まってしまいました。
気がつくと歯を食いしばっていたりしたので、色々とストレスを抱えながらも前半を過ごしていました。
展示が完成してようやく落ち着き、パフォーマンスとして上演する朗読作品に力を入れることができました。
役者として、今まではパフォーマンスのみに集中すれば良かっただけに、人間賛歌の企画を経て、制作の仕事がとても大切で、制作さんたちがいないと全然回らず、上演までこぎつけないのを実感しました。
また、期間中に経堂経済新聞さんにイベントのことを取りあげていただけたことがとても嬉しかったです。今後も地域に向けて情報を届けられたらと思います。
今回制作準備や展示物の作成がうまくいかなかったのは、スケジュール表や香盤表を作っていなかったからだと感じています。
いつまでに何を終わらせればよいのか、どの業務が重なっているのかなど、見て分かるようにしていなかったため、パンクしていたんだなと振り返っています。
振り返りとしては悪いところばかりが思いついてしまいますが、展示物や空間を褒めていただくことが多く、とても励みになりました。遅れてしまったあとではありましたが、丁寧に作って良かったと思います。
展示物はイベントレポートをご参照ください。
スケジュール
人間賛歌題1場「人」の当日の予定スケジュールは企画書の段階ではこんな感じでした。
劇場の公演とは異なり、展示会だったため、お客様がいないときは他の仕事をしていました。
また、最初の数日間はお客様がいらっしゃらず、パフォーマンスの時間も制作時間にあてていました。
ワークショップは4月2日・3日のみで適宜開催するように変更しましたが、
お客様がすでに展示会場に入っていたり、時間の都合でまとまった時間をとれなかったため、行うことはありませんでした。
ちなみに、こんなことを考えていました。
地域の方々は、あまり演劇に触れていない方が多いのではと思って考えていたワークでした。「ウソをホントにするワークショップ」としてフライヤーに記載していました。またどこかでやれる機会があったら、やってみたいと思います。
予算
企画書段階で考えていた予算案です。
会場費は明日香さんのご厚意により、無料で貸し出してくださいました。
本当にありがとうございます…。
制作費は展示物の作成にかかった費用などを合わせると、妥当な金額になりました。
特大画用紙は、そこに名前を書いてもらい、どんな人が来たのかを感じてもらう仕組みを考えていましたが、「良いなと感じたものに名前を書いた付箋を貼りつける」という方向に変わりました。
カーテン・電飾は自宅から持っていき、印刷費用もネット印刷で部数を少なくして、安く済ませることができました。
スケジュールや予算組みは企画の大枠を占めるもので、見通しをもって取り組むためには必要不可欠な要素でした。
ここを具体的にイメージするかしないかで、当日の動きが全然違うものになり、ひいては企画全体の完成度に関わることになると感じました。
アンケート分析
今後の企画の進め方・パフォーマンス向上のために、お客様の情報をデータにしてまとめてみようと思います。
動員
3月30日 1名
4月1日 1名
4月2日 7名
4月3日 4名
年齢層
20代 5名
30代 1名
50代 4名
60代 2名
70代 1名
地域
東京都 7名(うち世田谷区 4名)
埼玉県 5名
神奈川県 1名
イベントを何で知ったか
関係者から 9名
Twitter 1名
掲示板 2名
その他(アトリエのHPから) 1名
次回のイベントに
参加したい 11名
どちらともいえない 2名
4月2日、3日に経堂アトリエで同時開催された「春のフェスタ」のお客様がこちらにもいらしてくださったことで、動員数が増え、関係者からの周知も増えました。
幅広い年齢層に展示・パフォーマンスを観ていただけたことも大きかったです。パフォーマンスで心配していた事柄も、アンケートの感想では触れられず、褒めていただくことが多かったので良かったです。
地域に向けた活動ということで世田谷区のお客様に観ていただきたいという気持ちが強かったです。結果、4名様もいらっしゃったことがとても嬉しく、かつ、街の掲示板を見ていらしてくださった2名様が、本当にありがたかったです。埼玉県からのお客様が5名いらっしゃり、イベントごとに開催地はあんまり関係がないと再確認しました。「面白そう」「楽しそう」「久々に会いたい」など有意義な時間が過ごせそうなら、都合次第でどこからでもいらっしゃると感じました。そのようなイベントに育てていきたいです。
逆にTwitterなどSNSでの宣伝を十分にできていなかったため、とてもさみしい数字になりました。
次回のイベントへの興味も持っていただけたことが嬉しいです。
「どちらともいえない」の方々は「時間の都合があえば」ということを書いてくだった方がいました。
次回の情報を載せていなかったり、終演後に告知をしていなかったため、情報をお知らせするチャンスが限られてしまったことがもったいなかったように思います。
長期の企画で、継続して興味をもって、次回にも来ていただくようにするためには情報を渡すチャンスを作り、取りこぼさないようにするのが良いと感じました。
また、人間賛歌の全体目標の一つとして演劇人(俳優・スタッフ・観劇者など)以外の方に作品を届けることも掲げています。
そういったところでは、展示のみ観覧されたお客様も含め、半数ほどが現在の演劇と距離のある方々でした。
昔下北沢で観劇されていた方や、知人の舞台をたまに観に行くという方、
演劇ではなく人形劇をされていた方など、距離の近い方もいらっしゃいました。
全体的に、このイベントに満足していただけたようで、安心しています。
今後はさらに満足していただけるようにがんばります。
イベント後、レポート作成など
create model けい では、企画したもののレポートをできるだけ書くようにしています。創作ワークショップのレポートだったり、今回の「人」のレポートが主にそれにあたります。
さらに、月ごとの活動をまとめたレポートがあります。
今回のレポートのように、企画を一歩引いた目線で書くようにしています。
最終的に年間レポートとしてまとめを書きます。
企画レポートは、企画に来ていないお客様に雰囲気が伝わり、興味を持ってもらえるように試行錯誤をしています。追体験のような感じを意識しています。今回は4月3日のみの撮影でしたが、スゲノくんに撮ってもらった写真は素晴らしく、温度や空気感を感じられる写真でした。ワクワクしながら作成を進めました。投稿した後も、少しずつ追記を行いました。
より詳しく書いたり、感想を載せたり、記録映像をYouTubeにアップしたりしました。
動画は限定公開にしました。レポートを読んで雰囲気をある程度感じた方に観てもらいたいなという思いがあります。
イベントレポートは現在100回ほど閲覧されており、とても嬉しい気持ちです。今後も少しずつ興味を持っていただけるようがんばります。
まとめ、次回に向けて
良かったところ
・企画書の展示目的に沿って制作できたこと。
・地域の方に一定数来ていただくことを目標として、実際に来ていただけたこと。
・経堂経済新聞さんに取りあげていただけたこと。
・グーグルフォームなどの文面をこだわれたこと。
・展示、パフォーマンスがある程度満足していただける内容だったこと。
・「はじめまして」「おひさしぶりです」「またいつか」「ありがとうございました」とたくさんご挨拶ができたこと。
・予算組みが想定内に収まったこと。
・イベント終了から約2週間経ち、コロナ関係のご連絡がないこと。
もっと工夫が必要なところ
・スケジュール表、香盤表を具体的に作成して見通しをもつこと。
・フライヤーデザインにおいて、何が必要な情報なのか、どうデザインするのかを見る人の立場になって考え、学ぶこと。
・フライヤー作成をすませ、ネット印刷をいつでも頼める状態にし、早い段階から余裕をもって宣伝に力を入れること。
・制作作業は役割を分担するなどし、余裕をもたせる仕組みを整えること。
・当日運営で自信をもつこと。
・アンケートや当日パンフレットなどに次回以降の情報を載せること。
・(助成金、補助金の申請をすること)
3月の活動の総括ですが、まずは自分を褒めたいと思います…!
常にキャパオーバーな状態だったと言わざるを得ません。
それもすべて自分の計画性のなさが招いたことで、
そこからご迷惑をかけた部分もありますが、
ひとまずはお疲れ様という感じです。
そして、「人」に関わってくださったすべての方々に感謝をしたいです。
本当に、本当にありがとうございます。
まだまだな部分がたくさんありましたが、人間賛歌終了まであと6ヶ月、今後ともよろしくお願いいたします!
現在は5月30日~6月5日開催予定の「間」に向けて、打ち合わせを進めている状態です。
次回のテーマは「距離」です。
人と人、人と街との「心の距離」を測ります。
具体的には「対話」をします。
人同士での対話は、この人のここが好き・嫌い、共感できる・できない、考え方が理解できる・できないと、その人のことを「知る」行為だと思っています。「知る」ことで自分と同じところ、違うところが分かる。
「知る」ことで主観的・客観的に、心が近くなったり遠くなったりしながら、人という相手を見ていく。
知る相手を経堂に住む人や街そのものにしてみたいなぁ、というのが狙いです。
街との「対話」ってなんだろう、というところからスタートしています。
少しずつ面白そうな案が出てきています、もしよろしければ気にかけていただけると幸いです。よろしくお願いいたします!
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。